久保建英が去ったFC東京が本当に面白い理由


久保建英が去ったFC東京は終わる。

優勝争いの夢は泡沫と消え、首位からの残留争いが始まる。


そんなことを思っていた時期が私にもありました。

しかし!まさかの久保建英抜きトーキョーが強い!!

久保ロス直後の神戸戦では、イニエスタのボレーシュートに決められるという事案があった。仙台戦では、アフリカのしまおまほこと、シマオ・マテにディエゴオリヴェイラが肉弾戦で押し負けるという事案があった。

一方で、セレッソ、マリノス、ガンバと勝ち点を重ねることが出来た。

最初はやばいかなぁと思って見ていたのは、強力な攻撃カードを失ったからだ。

すなわち久保建英。

前線で久保建英にボールを受けさせれば、常に最適な解答が導き出されるので、高確率でチャンスに繋がる。

この確率の高さはまさしく一級品で、対戦チームからするとピッチのどこであっても久保建英にボールを触らせたくなかったはずだ。ただし、そこは久保建英で、ボールを触らせないようにディフェンスすることは難しかったようだ。

特にカウンター時は非常に強力で、オープンスペースで、かつ、攻守共に高速になっているシチュエーションではまさしく無双の活躍であった。

FC東京で無双というと、かつて所属していた武藤嘉紀を思い出すが、武藤はあくまでも個として強かった。たった一人でディフェンスを二人分ぶち抜いてゴールまで決めるという意味での無双であった。

しかし、久保建英は違う。もちろん一人で二人を抜くことも時にはあるのだが、それは、他に選択肢がないか、そこを抜ききれば得点が見える時だけである。

久保建英がボールを持つと、周囲の選手群の価値があがる。つまり、辺り一帯の青赤の群れが強化されるのだ。ゲームで喩えるならば「軍師」による支援効果のようなものだろうか。

パスがうまいとか、ドリブルがうまいとかいうことを超えた価値が久保建英にはあって、その一つが「見えていること」だ。

恐らく久保建英は、前線の選手全ての動向を把握していて、どこにパスをすれば最適かを常に考えているのだろう。恐ろしいのは選択肢の中に自分で抜いて決めるというものが含まれている点で、だからこそレアルマドリードまで上り詰めたわけだが、それはさておき。

サッカー選手は「無駄走り」をし続ける仕事である。それも仕事だから仕方がないと割り切って走り続けるわけだが、やはり「無駄」をするのは精神的に辛い。

だからこそ、ボール保持者に「見られている」という感覚は大切だ。見られてもいない場合には、走ったところでパスは絶対に来ない。だから、周囲を見ておらず、ドリブルばかり考えている選手にボールが渡ったときは、サポートに走るのがちょっとしんどい。

一方で、良いポジションに入れば確実にパスが来るという信頼があったときには、フルスロットルで走ることが出来る。このわずかな差が、一歩の差となり、攻撃を有利にする。時にはゴールを生み出す。

久保建英がいることで、永井謙佑が覚醒したのは偶然ではない。どこで走ればいいのか、どうやってゴールを狙えばいいのかが、死屍累々のオフェンスミスの中から生まれてきたのだ。

最初の頃はパスが良すぎて取れないとか、ポジションが悪いとか、トラップが出来ないとか色々あったのだが、夏が訪れる頃には永井謙佑は日本代表になり、2得点を決めてスターになってきた。名古屋の皆さんそろそろ永井を許してあげてください。


ただし、久保建英はもういない。戻ってくることもない。

だからFC東京は終わった。

そう思っていた時期がぼくにもありました。


でも、久保建英が抜けてもFC東京は強かった。いや、戦力が抜けた分、確実に弱くはなっているので、優勝争いの意味では決して楽ではない。ただ、そう絶望するような状態でもないことに気づいたので、運命の川崎戦の前に一筆したためている次第だ。

川崎フロンターレは今年も圧倒的な優勝候補であって、この試合でたたけるかどうかで東京の運命は決まると言ってもいい。そのくらいの覚悟で選手も、長谷川健太監督も望んでいるはずだ。

というわけで、今日は例によって育児があってスタジアムにはいけないのだが、いつも以上に必死にDAZNを見ることになりそうだ。

さて、久保建英を失ったFC東京は、2列目の英雄を欠いた状態になっている。その結果、かなり厳しいことになるんじゃないかと考えた。

のだが……。

2列目がいなくてもあんまり関係なかったー!!


というのも、ディフェンスのために帰陣している東慶悟や小川諒也が、ボールを保持するとすぐに前を向いて、バシュッっとロングフィードを最前線に送るからだ。

先ほど久保建英の強みとして、前線の選手を「見ている」ということをあげたのだが、よくよく考えるとこの二人もそこを見ている選手であった。

2列目を省略するような形で、フィジカルマッチョのディエゴオリヴェイラや、走り出したら止まらない快足永井謙佑、そして、野心に溢れた攻撃マシーンのナサンホに繋がる。1ロングフィードから1つ2つのパスで決定機が訪れる。

まるでバスケットボールの速攻のような気持ちの良い攻撃が展開される。ぼくはこのサッカーが好きだ。面白い。ちまちまパスなど繋がなくて良い。

ただし、このオフェンスをするには、ディフェンスからのポジティブトランジションで素早くピッチを把握した上で、正確にロングフィードを供給できる選手が不可欠だ。


ひがーし!!!おまえがいたんだよ!!

東慶悟という人は、視野の広さとパスセンスの人なので、なるだけ前線に置く方がいいと思っていたのだけど、下げておいてロングフィードを出させるほうが機能するとは!シュートの入らなさにも定評があるので、むしろそのほうがベストマッチかもしれない。

固い守り → 東or小川 → パシュ前線へ → 身体を張るディエゴ or 走りに走る永井

雨の中で、この攻撃は嫌なはずだ。というわけで今日の川崎戦の大勝に期待しつつ、そろそろ隣でアンパンマンのYoutubeを見ている娘の攻撃もきつくなってきたのでこのへんにしたい。

「パパ!!!みーーーて!!!」


なお、この記事はノーミルク佐藤さんと井上まーさんによるミルクアカデミーのFC東京特集での知識を元に書いている。東京サポは是非聴いてみてください。


最後に1つだけ告知を。

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サッカーツーリズム、スポーツツーリズムの記事だけではなく、久保建英を追っていこうとも思っています。

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中村慎太郎 旅とサッカーを紡ぐOWL magazine

作家・Youtuber。偏差値30からの大学受験を経て東京大学文科Ⅱ類(経済系)→文学部に進学(宮沢賢治の生命観)→大学院は理転して農学系(アワビ類の行動生態および繁殖生態の比較)→自主退学しスポーツ系の物書きに。著書『サポーターをめぐる冒険』がサッカー本大賞2015を受賞。

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