マガジンのカバー画像

Jun Yamamoto 音楽を語る(2)

123
クラシック音楽のいいとこどりをして語ります。
運営しているクリエイター

2016年11月の記事一覧

"Love is over" by Kaoru Ito arranged by Akihisa Matsuura

昭和歌謡の名曲、欧陽菲菲さんの絶唱で有名な「ラブ・イズ・オーバー」をJUJUさんがカバーしているのだが、これの編曲者が松浦晃久さんで、そのリハモナイゼーションがチャーミングなので、コピーしてみました。音はこちら。

最初の部分はほとんど原曲を忠実になぞっている。

さびにはいって、18小節目の後半I7(B7)の代わりにG#7#9を配して一瞬C# minor(嬰ハ短調)を響かせる。

20小節目の後

もっとみる

Saint-Saens "La Cynge" from "Le carnaval des animaux"

いまさらながらの「白鳥」である。サン=サーンスの曲の中でも一番聞かれているのではないだろうか。おびただしい編曲があるし、アンコールなどでの演奏機会も多いだろう。

シンプルな一息の旋律。特に形式もなく、転調を経て冒頭部分がもどってきてすんなり終わってしまうのだが、フランスの和声課題にも似て、音楽のエッセンスが凝縮して詰め込まれている。旋律は見易さを考えて一オクターブ上げてあり、和声付けも骨組みだけ

もっとみる

Hall & Oates "Kiss on My List"

気になるコード進行というものがある。どうなっているんだろう、と思いながら長年放置してあったりする。耳のいい人は楽譜に印刷されたように聞こえているんだろうが、こちらはなかなかそうはいかない。なんどもピアノで確かめて、ああそうだったのか、ということになる。

AORの名曲"Kiss on my List"もそのような曲の一つである。メジャーとマイナーが交錯して、微妙な陰影をかもし出している。曲はダリル

もっとみる

Sibelius String Quartet op.56 "Voice Intimae" Movt. 2

これを最初に聞いたときはびっくりしました。楽譜はたしかにイ長調らしいのですが、機能的な和声を書こうという意思はまったくないし、対位法的に書こうという意思もみとめられない。絃楽器で勢いよく演奏されるとなんとなく納得してしまいますが、そうとう実験的な音楽です。しかも、成功しているのがすごい。

この冒頭部分(練習番号1まで)はすべて16分音符ですが、見易さのために最初だけ16分音符で書いてあります。音

もっとみる