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Jun Yamamoto 音楽を語る(2)

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クラシック音楽のいいとこどりをして語ります。
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#bartok

Bartok String Quartet No.4 Movt. 3

バルトークの弦楽四重奏曲第4番。第3楽章は、基本的に6音のクラスターの上でソロ楽器がメロディーを奏でるという形になっている。クラスターがどのような和音になっているか調べてみたいので、簡略化した譜面を作ってみた。音はこちら。

最初に導入されるクラスターはほぼ全音間隔で配置された和音である。この上でチェロが民謡風の旋律を奏でるが、背景和音に含まれない音を選ぶように旋律が運ばれる。音の重なりは絶対に避

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Bartok String Quartet No.5 Movt. 2

第二楽章は上からと下からと離れた音域から徐々に歩み寄ってきて始まる。そのあと、もろに協和的な三和音が出てくるところ。ただし、第一バイオリンのメロディーラインは原則的に協和音にはならず(青の○で囲んだ音だけ例外)第二バイオリン以下の和音を踏まないように慎重に探りを入れながら歩いているような。

Bartok String Quartet No.1 Movt. 1

バルトークの弦楽四重奏第1番を聞いていると、ドビュッシーやラヴェルのフランス音楽と直接つながっているような印象を受けるところがある。例えば45小節目からの次の部分。音はこちら。

45-46小節目はほとんどモーダルであり、さらに一つ一つの和音も極めてオーセンティックな長三和音であったり短三和音であったりして、耳に厳しいところがひとつもない。47小節目はそれまでGbであったものがGナチュラルになって

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Bartok Violin Concerto No.2 Movt. 1

ハープの話になって思い出したのがこの曲である。冒頭、ハープのnon arpeggio の4つ打ちから始まる。スコアを見ていて、ハープが効果的に使われているなぁと思っていたら、284小節目からの4小節は相当厳しいのではないかと思った。

楽器の数が少ないので、expressionを全部はずして骨組みだけ示す。音はこちら。

作曲者は、ハープのペダリングを示していないので、仮にペダリングを付記してみた

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Bartok String Quartet No.5 (1)

バルトークの6曲の弦楽四重奏曲はどれをとってもすばらしいと思うが、特に5番が好きだ。

第一楽章の14小節目からの一節だが、いかにも対位法でございという顔をしているのだが、よく見てみるとよく言えば融通無碍、悪く言えば結構ご都合のなんちゃって対位法であることがわかる。そこがバルトークのテクニックなのだが。音はこちら。

14小節目、チェロのF#の上に順番に動機の入りが積み重ねられており、非常に混みあ

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Bartok String Quartet No.5 Movt.1 (2)

バルトークの弦楽四重奏曲第5番の第一楽章の180小節目から8小節。



これは既に何度も出てきているモチーフだが、改めて全楽器の斉奏で示され(A Cb B C D Eb) このあと15回、「入り」がある。



1 A から 上行

2 D# から 上行 

3 Eb(D#) から 下行

4 A から 下行

5 A から上行

6 D# から 上行

7 Eb(D#) から下行

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