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3月生まれに「自信のサプリ」を

イギリスのウルトラランナー、Ian Sharmanが、8月生まれのウルトラランナー多いかも?」とツイートしてた。フェイスブックで誕生日のお知らせが多いから、という理由だけど、フォロワー1-2万の有名人、競技者の友人も多そうだから、統計的信憑性ありそうだ。欧米は9月入学なので、日本なら3月の「早生まれ」にあたる。パワー系競技(野球など)は学期始まり=日本でいう4-5月の「遅生まれ」が有利という話も紹介している。

どうすればいいか?とうと、現実にできるのは、「自分が(=お子さんが)有利になる環境」を探し、その場にいること

このことは、子供のスポーツに限らず、勉強とかでも、大人でも、「自分以外の要因によって不利な競争条件にハマっている」全ての人に重要ではないだろうか?

4月生まれ vs. 3月生まれ

両者には最大364日の成長差がある。普通スポーツは大きくなるほど有利なので(卓球など技術種目は別)、4月生まれは、試合に出れて、活躍でき、おもしろいからさらに熱中し、パフォーマンスもさらに上がってゆく。そして自信がつく。

早生まれは全てが逆だ。特に男の子は野球とかバスケとかでかっこよく活躍したいわけで、なのに学期の設定という自分には何の責任もない理由によって封じられてしまう。その結果、活躍の機会を得られない、その体験喪失によって自信も得られない。格差はさらに拡大してしまう。

だから3月生まれとかの子には、不利を補正するための対策が必要。さらには、自分以外の要因によって不利な競争条件にハマっている全ての人にいえることだ。

長距離ランナー=パンダ仮説

さて、この虐げられた早生まれな子供たちから、ウルトラランナーが高率で生まれてくるわけだ。

ウルトラランニングとは「フルマラソン以上の距離」と定義されるのだが、まあ100kmで短距離、モンブランや富士山をぐるっと160km廻ったり狭い室内トラックを24時間グルグルし続けるので普通、長いと6日間走とかアメリカ縦断4000kmとか。「マラソン42kmでは短すぎて力を出しきれません」的なこと言う人が目立つけど、つまりは、そのように体質改造されるような練習をしてきた、という歴史あってのことで、それができるようなメンタル要素が大きいと思う。

ではどのような歴史的ないしは心理的構造なのか?と考えると、かつてパンダが熊同士の生存競争に敗れて竹藪に逃げ込んで生き延びたかのごとく、野球で活躍できない小さな身体の男の子がランニングへと退避したのではないだろうか(長距離ランナー=パンダ仮説)。その現象は少年時代に発現することもあれば、スポーツ苦手意識を抱えたままオトナになって、30代を過ぎたあたりで当時の鬱屈を思い出しそのリベンジとして現れることもあるであろう。長距離の苦行に入っているのか?

単に、暑い時期の生まれで、暑さに強いだけなのかもだが。(私は蒸し暑い8月の愛知県生まれ、スポーツ苦手だったけど唯一できた水泳に逃げ場を求めたハイブリッド型で、スポーツで活躍できるのは気持ちの良いものだと30後半になって理解できたのでした)

4月生まれと東大生

・・・などツイッターで書いてたら、「東大合格者は4−5月生まれが多い」というコメント来た。たしかに今、東大入試は、首都圏の中高一貫トップ校が強い。別にここからじゃないと行けないわけじゃなくて、「みんなアタリマエのように東大とか医学部とかに行けると思っている」という環境要因が大きいからだ。そんな中高一貫校は、高校からの参入枠が減る傾向にあるようで(女子はほぼ消失)、つまりは小6での成績差が、進学先の大学に大きく影響する。

小6の1歳差というのはとても大きいわけで、実際、

中高一貫校では"4月生まれの生徒の数が3月生まれの倍だった”という例も多く

と一橋の川口大司教授(労働経済学)が言っている。小5と小6が同じ条件で競争するのは正直フェアではない。小6の入試成績と高3での成績とを統計処理して、誕生日から点数補正する数式くらい、トップ校の数学教師なら簡単にできると思うのだが。

たとえば慶應幼稚舎の入試は生年月日順にグループ分けしているそうだ。幼稚園の1歳違いは全然違うよね。(中等部の入試はどうなんだろう?)

逆転の日

この状況が逆転するのが、U15〜23あたりで本格化する国際ジュニアカテゴリだ。12月31日時点の年齢で決まるので、1月生まれが「実質1歳上」というアドバンテージを得る。

小中を通じていつも格上相手に鍛えられきて、いよいよ日本代表への選抜スタート!という時に、本来の階級に戻れるわけだ。代表レベルなら、自信のくじきようのないほど圧倒的実力あるわけで、このトレーニング効果はむしろプラスに作用するだろう。

この過程の先、フル代表の世界でも、サッカー日本代表は1−3月生まれが多いとか、最終ゴールでは逆転する。

リオ五輪金メダリストも、1月生まれが最多。

この記事での陸連コメントが真の原因に迫る。

全国小学生大会出場者は4~6月生まれが40%を超すのに対して、1~3月生まれは10%以下。年齢が上がると平均化するが、高校総体でも1~3月は少なく「将来性のある才能が早期にドロップアウトしているおそれがあります」

まあ12月生まれはどちらでも不遇なのだが。。

結論1: ちょっと余分な「自信」を、1−3月生まれに

これだけの証拠が存在する以上、対応は必須だよね。1−3月生まれの早生まれ組、あるいは、他と比べて成長タイミングが後ろ倒し気味な子には、ちょっと余分な「自信」を与えてあげるといい。いわば「サプリメント」のようなものだ。

サプリメントとは、それ単体に頼るべきではないが、健康的な食事ができていることを前提に、さらに補強したい場合に使うものだ。そういうものが、「活躍の場と自信の獲得」についても、必要ではないだろうか?

(元のツイッターでは【自信のドーピング】という言葉を使ってみたけど、あんまりなので笑)

結論2: 枠を外す

この方法は「学年という枠」を前提に、その枠内だから起きるショックを和らげるものだ。ということは、枠を外してしまえば、そもそもの問題が発生しえない。そこで、学年という枠を超えた環境に身を置くのがもう一つの手だ。

たとえばドイツ・ベルリンに、15歳まで、学年や時間割りが存在しない公立学校「Evangelical School Berlin Centre」があると教えてもらった。

日本でも過疎地の小中の合同学級は、時間割はあるけど、学年は超えてる。やむをえない措置といった位置づけだろうけど、実はもっと可能性があるのかもしれない。

結論3: 自信を与えるコミュニケーション

子供に限らず、自信をつけさせるために、「褒める」のは有効。ただ、やみくもに褒めることは、たとえば「褒める人=評価者の顔色をうかがうようになる」とか、「評価されるようなことだけしようとする」とか、副作用的な影響もありうるので、正しいコミュニケーション技法は学んでおいたほうがいい。

本を紹介しておくと、年齢に関わらない基本として、小説仕立ての名作「ザ・コーチ」谷口貴彦(2009, プレジデント社)は僕の周りでもファンがいて、著作以上にリアル講座での説得力が最高に高い方なので、二重にオススメできる。

(言葉についての個人的感覚として、学年内では早い4月のほうが「早生まれ」と思ってしまうのだが、同じ暦年なら3月のほうが4月より早いともいえて、このように基準点をどこに置くかで逆転するような表現は適切ではなく、単純に「4月生まれ」とかでいいと思うのだが、まあ言語とはややこしいものである)



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