見出し画像

Adobeはクリエイターの仕事を奪わないっていうけど、奪われないためにはクリエイターが変わらなければならない

ラスベガスでAdobe Summitが開催された。Adobe Summitっていうのは、Adobeが持っているクラウドシリーズのうちのデジタルマーケティングに特化している製品群、Adobe Experience Cloud の年次カンファレンスだ。クリエイティブに特化している Adobe Creative Cloud の年次カンファレンスはMAXと呼ばれていて、僕はクリエイター側なのでMAXには過去4回ほど参加している。

以前、@ITでAdobe関連の記事を書いていたときに、PRの方からどんな縁かでマーケティング製品の発表会へ招待されたことがあった。著名な会社のWeb担当が複雑なワークフローをどうやってツールで解決していくか、そしてAdobeはどのようなソリューションを提供するのかという話がされていて、いたく感心したものであった。

当時は機械学習などがまだメジャーではなく、どちらかというとビッグデータやレコメンドエンジンが使われており、ここで紹介されていたツールも、たとえばキャンペーン内容に応じたデザインの各要素に適したアセット候補を提案してくれるといった機能が紹介されていた。

それからしばらくしてからサンディエゴで開催されたAdobe MAXでクリエイターは衝撃の発表を目にする。機械学習によって進化する新しいプラットフォーム、Adobe Senseiだ。Adobe SenseiによってPhotoshop マジックは更に手品めいたものになった。これまで手動で行っていたコピースタンプツールは、職人的な「この辺の要素とこの辺の要素を半透明でコピーして重ねると自然になる」といったテクニックがSenseiによって学習され「コンテンツに応じた塗り」という機能になって生まれ変わった。

AIが介在してくるようになると人の仕事が奪われるのかという心配がどうしても出てくる。サンディエゴでもそういった心配の声が聞かれた。僕はその場では「Adobe が自分たちの顧客であるクリエイターの仕事を奪うようなことはするわけがない」と考えていた。これは間違いではなかったようで、翌年、ラスベガスで開催されたAdobe MAXでは似たような趣旨の説明がされたと記憶しているし、ツール群もクリエイターを支援する機能がたくさん盛り込まれていた。

ところが、Adobeは自らのメールマガジンなどで、インハウスデザイナーを活用する方法といった趣旨のコンテンツを提供することがたまにある。だいたいのクリエイターはクライアントの希望をあらゆる手段で叶える仕事をしているわけだが、クリエイティブがインハウスで完了してしまうようになると、取れる仕事の絶対量が減り、結果としてマーケットが小さくなってしまう。

さて、話をSummitに戻そう。ここでは顧客の体験をより良いものにするために、ツール群がアップデートされたという話が出てきた。例えば、広告キャンペーンを作る際、ターゲットとなる顧客の属性などから最適なデザインのテンプレートをSenseiによって仕様を決定。これをクリエイターに渡してバナーなりなんなりを作ってもらうというようなものが紹介されていた。

これまではキャンペーンを打つとなってもクリエイターは企画段階から関与して、これまでの経験からこんな感じで攻めてみてはどうでしょう?という提案をすることが多くあった。それが、これからは企画部分はAIに置き換わり、クリエイターはまさにクリエイトするのみになってしまう。

こうなると単純に企画費が見積書からなくなり、売上が下がってしまうかもしれない。寛大なクライアントなら浮いた費用は制作費に乗せてもっとイケてるコンテンツ作りましょうとなるかもしれない。が、Adobe Experience Cloudは最近値上げをしたという情報があり、クリエイティブにかけられる予算は殆どの場合下がっちゃうのではないか、と思ってしまう。

Senseiが発表されたとき、まっさきに脳裏に浮かんだのはExperience Cloudだった。(当時は別の製品名だった)広告キャンペーンを打とうとしたとき、Senseiに寄ってはじき出されるクリエイティブの雛形と、その雛形に適した制作スタジオが画面上にリストされる…という妄想を一人ホテルでしていた。

そう、間違いなくクリエイターは、AIに選ばれるような何らかの手段がこれから求められることになる。これまでの仕事の一部はAIに置き換わる。そして、新しい仕事が生まれる。

僕はサンディエゴの頃からAdobe Summitの情報も追うようにしている。さすがにこれらのツール群を個人で利用することは難しいのだが、ユーザーがどのようにしてコンテンツを生成し、利用しているのかを知ることは、これからのクリエイターに必要とされていると思っているからだ。今のままだと仕事がなくなっていくだけだ。AIが関与するワークフローに合わせたクリエイティブができるように、我々も変わっていかねばならない。

Adobe Summitの公式ページでは基調講演やセッションの内容が随時アップデートされている。
https://summit.adobe.com/na/

あわせてMAXもチェックするといいと思う。
https://max.adobe.com/

なお、ここにアーカイブされない情報が困ったことに存在する。イベント2日目の夕方に開催される、次世代機能を披露するSneaksがそれに当たる。最近はSneaksの内容をリアルタイムにTweetしてくれる人がいるので、情報を追ってみてもいいだろう。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

よろしければサポートをお願いします。得られたお金は社で飲むコーヒー豆や撮影機材の購入費用に充てようと思っています。

よっしゃー!
28

岡本 紳吾

東京の表参道で小さな制作プロダクションを経営しています。ブラウザで表現できることなら何でもやる会社です。企画、コードを書いたり撮影、編集もやります。Web系やカンファレンスレポートなど、国内外を問わず取材対応が可能です。お気軽にお問い合わせください。ほぼ毎日ゴールドジムにいます。

#デザイン 記事まとめ

デザイン系の記事を収集してまとめるマガジン。ハッシュタグ #デザイン のついた記事などをチェックしています。広告プロモーションがメインのものは、基本的にはNGの方向で運用します。
1つ のマガジンに含まれています
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。