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2023年4月の歌  テーマ 「驚く」


長谷寺の桜

ひととせはこれ程長きものなのか亡くせし人を想ふがゆえか        長谷寺の舞台に広がる満開の桜吹雪は驚がくの美           
山下ふみ子   

枯れいると置き去りにせし蘭の根にとんがり帽子の新芽の出づる    
展示会に生けんと選りし木蓮の蕾は春日に笑(え)まうがごとし 
楽満眞美

驚きの回復嬉し義母(はは)は明日コロナ乗り越え九十になる      春爛漫されど毎日ダイエット渋茶すすって枯淡の境地         
六甲もこ

 WBCを観て
諦めず9回裏に村上は二塁打飛ばし逆転勝利             
周東の足の速さに驚いた優勝賭けた勝ち越し点を          
伊藤美枝子

身を焦がし砲火にさらす運命に人は産土(うぶすな)を恨めしいかと
バルボアの満開の櫻舞い散るにところ変われど祖国の養花天      
今森貞夫  

冷凍庫の奥に潜めるもののあり早くも一年経ちし鶏肉       
「将来は僕も結婚するんだ」と真面目な顔で三歳言い来る     
鵜川登旨

初めてのアザラシのような寝返りを親にほめられ微笑む赤子      
サンダルの足の小指をビッと刺すたった二ミリの浜の赤蟻       
大室やよい

思いがけぬ友現れし誕生会音量デシベル六十を超えぬ 
木蓮を生け花展に見つけたり郷さと(さと)の白き花見しはいつぞや   
岡まなみ

雪富士の広がる裾をしたがえて今は盛りの鉄路の桜          
緑葉に黄色の丸み三つ四つ春を迎えるママレード作り         
小野貴子 

ラッキーの恋は激しく一日中ココの後ろを追いかけまわる       
夜を通し鳴き続けるラッキーの恋の強さに驚かされぬ         
小島夢子

驚きは桜に花芽葉芽ありて色づくまでは区別つかない         
友よりのメールの写真生き生きと大きな花の福寿草咲く        
近藤秀子

こわごわと重い扉を押し開けるそこには青きおぼろ月         
めんどりが雛を引き連れ道を行くよそ見をするな迷子になるな     
関本なつ

おどろきの老化現象あらわれたまだまだ先のことではないね      
しあわせはマインド次第自分のねいいことずくしまだまだあるよ    
田中えり

乗客はどっとあふれる 渋谷駅に押され揉まれて身を縮めたり 
花曇りの桜吹雪の公園を青い帽子の園児等が行く           
筒井みさ子

くれないの花散らしつつ降る雨は花筏のごと驚きながむ         ほのぐらき夏の夕ぐれコキが鳴くコキ―コキ―と合唱はじめる      原   葉
 注:コキは親指大の茶色のカエル、鳴き声が睡眠妨害になるほど 

手に取りし卵パックを戻したり値札二度見し しばしたたずむ     
まん丸いおしりをじっと水につけアボカド一年葉は十二枚       
藤代敏江

驚きは明治天皇に謁見し政略結婚要請せしカラカウア王        
フラ愛し国民愛せし国王は「メリーモナーク」その名も今に       
三浦アンナ

メリーモナーク・フェスティバル

畦道にとんがり頭の土筆たち摘み取りて今日は春の一品        
ヒット出た不調に苦しむ村上に侍ジャパンのドラマに酔えり      
森田郁代




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