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産後ママの応援者たちー私がメルカリを通して見つけたもの

産後、特にはじめての産後というのは孤独だった。
それは、政府、家族、友人、助産師さんたちがどんなにサポートをしてくれていてもである。

例えば産後1ヶ月で基本的に外出を控えているときや、授乳や夜泣きで夜薄暗い中抱っこをしてあやしている時なんかは、特に孤独だった。
2人目の時なら知ったことでそうでもなかったのだが、1人目の時に私はそう感じた。その頃はまだ「産後パパ育休」というものがなかったから、子供と1:1で日中を過ごしていた。

私の場合は、誰かと話したいがために、食べるものは家にあるのにドライブスルーで昼食を買いに行くこともあった。それほどまでに会話に飢えていた。これからどうなるんだろう?と、我が子の顔を見ながら期待と不安の入り混じった感情で過ごしていた。

そんな中でやることといえば、子供とひたすら日中にお昼寝することである。私は添い寝が好きだったので、寝室で横になりながらスマホを見ることが多かった。メルカリもその一つだった。

私がよく検索していたのは新生児用のおもちゃだった。産前におもちゃは用意していたが、いざ子供が産まれてみると“あの時売り場にあったアレは、こういう時に使いたいのか”と納得するものがちょこちょこあって、それを検索することが多かった。少子化のためか、売り場で見かけたアレはネットショップだと売り切れていて、メルカリを頼った。意外と新作の新品未使用品も出品されていた。

私がはじめてメルカリで頼んだおもちゃは、新生児用の布製のガラガラだった。店舗で見たそれは音が綺麗で、肌触りも良く、何より洋服ブランドの商品だったのでオシャレだった。新生児はまだ手で握ることが出来ないので、マジックテープの付いたリストバンド型のガラガラだった。

寝室からワンクリックで注文した商品は、早くも2日で家に届いた。(宅配のお兄さんと会話するのもありがたい状態の私。)

そして開けてみると、シワのない綺麗な透明フィルムの袋の中に、品物がひとつ入っていた。袋はナチュラルな葉っぱ柄のマスキングテープで止められていたのだが、よく見ると袋の中にはメッセージカードが同封されていた。手書きの文字でこう書かれていた。

「ご注文ありがとうございます。そしてご出産おめでとうございます。お子さんと一緒に沢山遊んでもらえると嬉しいです。またご縁がありましたらよろしくお願いします。」

産後のことは、購入後の取引メッセージにて自然と伝えていたことだった。私は産前からメルカリを利用していたが、メッセージカードが同封されていたのは初めてだった。しばらくカードを眺めて、持っていた指先がじんわり温かくなったところで、手紙を保管する引き出しにそっとしまった。私の目は少し潤んでいた。

その後も、育児用品をメルカリで買うと、毎度同じだった。使用未使用に関わらず、綺麗に包装されて、手書きのメッセージカードが同封されていた。これが「ベビー・キッズ」カテゴリの文化だった。

このカードが届くたびに、私はどれだけ励まされただろう。この場を借りて、当時の出品者の方々、あの時は本当にありがとうございました。

このメッセージカード文化は、感傷的な産後に、かつこの時代には珍しい手書きだから、余計に嬉しく感じるのかもしれない。でも、産後や育児を経験した私たちは同じ仲間に対して、労いの言葉をかけずにはいられない。その心遣いが包装ひとつ取っても伝わってくるから、強く励まされ、心に響くに違いない。そしてその“応援のバトン”はモノを通して、新しい家庭に引き継がれているのである。

「ベビー・キッズ」カテゴリでは、産後のサポーターの方々が待っている。はじめての出産で心細いご夫婦に、メルカリを少し覗いてみることをお勧めしたい。リンク先の出品者様は、当時私がガラガラを購入した方。敬意を込めて。

追記
現在では「産後パパ育休」という男性向けの産休制度があり、産後を孤独に過ごすママを減らすように、社会は動いています。
ですので、母親に限定する孤独の表現は最後まで悩みましたが、このままにすることにしました。私が第一子を出産した頃はまだこの制度はなかったので、私の原体験としては本文の通りになります。(ちなみに、第二子出産では夫や実家のサポートもあったけれど、産後のホルモンバランスのせいか、ふと孤独を感じる時もありました。それくらい、産後ママは危ういものだと思います。)

しかし、現在制度はあるものの会社の風潮として取得しづらい人がいることや、給付金が100%ではないために父親が産休を取得できない家庭事情もまだ多くあり、私と同じような体験はまだまだ存在すると言えます。そのような社会事情が一刻も早く改善されることを願います。

加えて、父母揃って産休を取っても育児の大変さはあいも変わらずで、メルカリの取引を通じて出品者から育児のエールを送っていることには現在も変わりありません。今年も娘は、メルカリで譲っていただいたドレスを着てピアノの発表会に出演しています。これからもメルカリの有無に関わらず、そして男女の差に関わらず、育児のエールを送り合える社会であることを願っています。

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