天使の園

私が生まれ育った大阪は生野区にあった保育園の名前である。
私が５才で、仕事に行く母を見送り、園長先生に抱かれた3才下の妹が泣いていたのを覚えている。おそらく、私の最初のはっきりしたメモリである。私は寂しいとは感じなかった。色白で平安美人、黒髪をまとめ、地味なスーツを着た園長先生の上品で優しそうな雰囲気が好きだったからだろう、きっと。
カトリック系の保育園だったので、神父様が居た、それも双子の。
多分、どちらかの神父さんが園長先生のお父さんだったのかそこまでは知らない。
しかし、その3人の優しい雰囲気は50年以上過ぎた今でも、記憶の中に残されている。
私はクラスで一番背が高かったので、マリア様に抜擢されてしまった。自慢じゃないが主役？を演じたのは生涯でこの時だけである。
白いロングドレスを着てベイビーのイエスキリストが入ったと仮定された樽を膝に抱えて正面奥に座った私に
ヨハネ役のおさむ君が目の前に跪く。

私の頬が赤らんでいたのかどうかは覚えていないが、おさむ君の凛々しい姿が焼き付いている。と言うことは、あれが私の初恋だったのかな？インターネットで
天使の園を調べても何も見つからない。
牧師先生は既にご高齢だったし、
園長先生も中年以降だったから、もうなくなっていてもおかしくないが、

何故か思い出される
今日この頃