秋吉亮に期待したい倍返し〜ノンテンダー戦力外から執念のNPB復帰

そうか、その手があったかと思わずうなった。ソフトバンクが元日本ハムの秋吉亮の獲得を発表した。ソフトバンクは中継ぎの軸、又吉克樹がまさかの骨折で長期離脱が濃厚。投手陣の立て直しが急務なのだ。

面白い抜てき

全く同じフォームではないがサイドスローで、中継ぎ経験も豊富(NPB通算379試合)。往年の輝きを取り戻せるならば、という但し書きは必要だが、面白い抜てきだと思う。


そもそも秋吉は錆び付いてしまっているのか? ファミリー的なイメージがあっただけに衝撃を感じたのだが、日本ハムは西川遥輝、大田泰示、秋吉の3選手を「ノンテンダー」として契約せず。戦力と見なせなくなっているとしたら、秋吉はパ・リーグの猛者たちを抑えることはできまい。さらにこの半年は独立リーグで過ごした。NPBみたいに恵まれていない環境で、NPB並みに整えよ、という方が無理な話。秋吉の加入を喜びたい反面、不安は拭えない。


藤井皓哉という前例

独立リーグからの復帰という意味では、ソフトバンクには藤井皓哉がいる。広島を戦力外となり独立リーグ高知を経てNPB復帰。プレー年数を除けば秋吉も同じパターンだ。藤井の場合は可能性を秘めたままブレイクできず、高知で自分を見つめ直したパターン。秋吉の場合はNPBでバリバリやってから見離されたパターンだ。まだまだやれるという自己評価と客観的評価にどのくらい差があるのか。


仕事場を奪われるつらさ

そのあたりは現場が考えることなので、ファンとしてはまず秋吉の気持ちに期待したい。突如仕事場を奪われたつらさは当事者にしか分かるまい。この点、プロ野球選手よりはリストラされたり不本意に持ち場を取り上げられた経験がある社会人の方が感情移入できそうだ。まさにリアル半沢直樹。秋吉は七夕の飾りにNPB復帰を願ったという。仕事場をNPBに得たからには倍返しには燃えるに違いない。



となるとファンとしてはぜひ日本ハム戦での当番が見たくなる。マスコミはこぞって「因縁の対決」とはやし立てることだろう。チームスポーツに個人的な感情を持ち込むことのぜひはあるだろう。しかし人は気持ちで生きる。戦力外の悔しさは、活躍することでしか晴らせない。ソフトバンクはそこまで考えて獲得した訳でもなかろうが、日本ハム戦で登板させる時、秋吉の気持ちを分かって送り出してもらいたいものだ。


ぜひモチベーションに

ファンとしてはやり返す気持ちをいい方に持っていき、勝つためのモチベーションにしてもらいたい。年齢的にも33歳というベテランだ。這い上がってきた闘争心と重ねてきた経験をぜひソフトバンクの投手陣に還元してもらいたい。9回をモイネロが締めるなら、その前は森唯斗と秋吉で。球威も変化球のキレも、往年の輝きそのままにはいかないだろう。だとしても、苦杯を舐めた2人がもう一度やり返すところが見たい。後半戦に向け、さらにソフトバンク戦を楽しめる要素がまた増えた。

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