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【シルクロードS(G3)回顧~その先へ】血統篇

【シルクロードSの結果】
レースは、ルガル(2人気)が好スタートから道中は2番手につけ、直線で一頭抜け出す形になったが、中団から脚を伸ばしたアグリ(1人気)に3馬身差をつけ優勝。さらに1/2馬身差の3着にエターナルタイム(3人気)が入り、本命決着!!

傾向面からみると、まずは「4歳牝馬」が出走機会3連勝中。今年該当馬3頭(9着バースクライ、12着ジューンオレンジ、17着リバーラ)すべて全滅。次に「前走重賞1~5着馬」が過去10年で7勝をマーク。今年の出走予定馬では前走阪神C3着アグリ(2着)、前走京阪杯2着ルガル(1着)と馬券に絡む。最後に「浜中俊騎手」が過去10年で5度騎乗して[2-1-0-2]勝率40%、連対率60%。今年は久々のコンビ復活となるショウナンハクラクに騎乗も5着敗退。

血統面からみると、「ストームバード゙系の血を引く馬」に注目。4代系統で出走馬18頭中6頭内3頭(1着ルガル、2着アグリ、3着エターナルタイム)でワンツースリー決着。単純に「父欧州型」に注目。出走馬18頭中10頭内3頭(1着ルガル、2着アグリ、3着エターナルタイム)でワンツースリー決着。

トラックバイアスからみると、頼りになりそうなのは、きれいな馬場の高速決着に強いタイプではなく、時計を要するパワー優先の馬場をこなせるタイプ。シルクロードSが3~4角での立ち回りが肝となる内回りで行われることを考慮し、京都芝内回り1200mのレースにおいて好走経験(3着以内)を持つ馬を重視。

【血 統 傾 向】
Danzig/ダンチヒ系の血を引く馬
ディープインパクトの直系または、サンデーサイレンスの直系
Storm Cat/ストームバード゙系の血を引く馬

近5年1着〜3着の父、母父の系統

2024年(京都で開催)
1着ルガル
父ドゥラメンテ(ミスプロ系/欧)×母父ノーザンダンサー系/欧
2着アグリ
父カラヴァッジオ(ノーザンダンサー系/欧)×母父ノーザンダンサー系/米
3着エターナルタイム
父ロードカナロア(ミスプロ系/欧)×母父サンデー系/日
2023年(中京で開催)
1着ナムラクレア
父ミッキーアイル(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/米
2着ファストフォース
父ロードカナロア(ミスプロ系/欧)×母父ナスルーラ系/欧
3着マッドクール
父Dark Angel(ノーザンダンサー系/欧)×母父ヘロド系/欧
2022年(中京で開催)
1着メイケイエール
父ミッキーアイル(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/欧
2着シャインガーネット
父オルフェーブル(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/米
3着ナランフレグ
父ゴールドアリュール(サンデー系/日)×母父ロベルト系/欧
2021年(中京で開催)
1着シヴァージ
父ファーストサムライ(ノーザンダンサー系/米)×母父ナスルーラ系/米
2着ライトオンキュー
父ジャマーダル(ノーザンダンサー系/欧)×母父ミスプロ系/欧
3着ラウダシオン
父リアルインパクト(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/米
2020年(京都で開催)
1着アウィルアウェイ
父ジャスタウェイ(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/欧
2着エイティーンガール
父ヨハネスブルグ(ノーザンダンサー系/米)×母父サンデー系/日
3着ナランフレグ
父ゴールドアリュール(サンデー系/日)×母父ロベルト系/欧

【シルクロードS 血統背景】

ルガル(牡4、栗東・杉山晴紀)は、父ドゥラメンテ×母アタブ(母父New Approach)。ヴィンテージS(英G2・芝7F)2着イブンマリクの甥。3代母イーストオブザムーンは仏オークスなどに勝った名牝で、子孫にアルファセントーリやアルパインスターといった欧G1馬が出る。牝祖はマイルの女王ミエスクで、キングマンボやラヴズオンリーユーも同牝系。本馬は父がキングマンボ系ドゥラメンテなのでミエスク4×4をもつ。短距離の力強い差し脚はミエスク譲り。

500㌔オーバーのたくましい馬体の持ち主で、調教での動きもひときわ目立つタイプ。良馬場のスピード勝負も苦手ではないが、他馬が苦しむような水分を含んだ馬場状態のほうが、自身のパワーをより生かせる!?

同馬は、抜群のスタートで一旦ハナに立ったが、行きたい馬を活かせて2番手で道中、マイペースで追走。直線で追い出されると、抜群の手応えで抜け出し、3馬身差で完勝。序盤の流れが速くても失速しないのは、充実期にある一級スプリンターとして、昨年から絶好調の杉山晴紀厩舎が育成。当然、G1高松宮記念でも注目!?

アグリ(牡5、栗東・安田隆行)は、父カラヴァッジオ×母オールドタイムワルツ(母父War Front)。米9FGIのQE2世チャレンジC勝ち馬のトゥギャザーが祖母で、4代母まで遡るとアベイドロンシャン勝ち馬のインペリアルビューティがいる血統。父カラヴァッジオはストームキャット系のスキャットダディの後継で、欧州スプリンターとして活躍。母父のウォーフロントはダンジグの後継で、様々な分野で活躍馬を出すオールマイティな種牡馬。スピード+パワーで急坂コースに強い印象。1400mベターと常々書いてきましたが、今の京都の時計の掛かる馬場はプラスになるかもしれません。道悪よりは乾いた馬場で。

10㌔増だった前走時の馬体重は、数字通りに少し太め残り。どこまで絞り込めるかが最初のチェックポイント。京都コースを走るのも今回が初。直線平坦コースへの適性があるかどうかも鍵になる。

同馬は、スタートでジワッと行かせて中団で折り合って追走。直線で外へ出すと、手応え抜群に伸びるも2着まで。GⅠ以外は2、3着と崩れない実績馬も抵抗できる力はあるものの、今回は完敗…。以前より控える競馬が目立ち、自在な立ち回りやレースを支配する力を欠く点は気になるだけに、頭では狙えない。

エターナルタイム(牝5、美浦・中川公成)は、父ロードカナロア×母マジックタイム(母父ハーツクライ)。クロノメーターの甥で、母マジックタイムはダービー卿CT勝ち馬。母母タイムウィルテルはフローラS2着で、ゲシュタルトやクリスザブレイヴも同牝系。ロードカナロア×ハーツクライはケイデンスコール、トロワゼトワル、ヴァルディゼールなどが出た有力ニックスで、本馬はヌレイエフ≒サドラーズウェルズの3/4同血クロスも光る。富士SはHペースで好位追走し弾けず。前々走の1400戦が完勝だったし、1200への距離短縮で新味が出るか。

1200㍍の距離はもちろん、関西への遠征競馬も初。さらに右回りを走るのも、直線の短いコースを走るのも今回が初めてとなる。初物尽くしの一戦だが、逆にプラス材料となれば、パフォーマンスを大きく上げることもありそうだ。

同馬は、スタート良く先行6番手で折り合い追走。直線で前が壁も、スペースができると手応え良く抜けて3着。レース後、ルメール騎手が「1400㍍以下では重賞レベル」とコメント。マイル戦だと追って伸びきれない面があっただけに、今後は1200、1400㍍で狙いたい逸材。


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