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【ステイヤーズS(G2)回顧~その先へ】血統篇

【ステイヤーズSの結果】
レースは、2番手から1周目3コーナーから先頭に立って大逃げに持ち込んだアイアンバローズ(8人気)が、中団から脚を伸ばしたテーオーロイヤル(2人気)に2.1/2馬身差をつけ優勝。さらにクビ差の3着にマイネルウィルトス(3人気)が入り、中波乱決着!?

傾向面からみると、まずは「過去ステイヤーズS1~3着」リピーターレースとして有名で、今年は2021年2着アイアンバローズ(1着)が該当。次に「上がり最速馬」が[7-1-1-2]複勝率81.8%のハイアベレージ。今年、上がり最速(推定33.9秒)を使ったテーオーロイヤルが2着入線。最後に「W.ビュイック騎手」は過去2度の騎乗で馬券率100%。今年は手塚厩舎の管理馬キングズレインに騎乗も5着敗退。

血統面で、注目したのは「オルフェーヴル産駒」。今年出走馬16頭中3頭内1頭(1着アイアンバローズ)が馬券に絡んだ。次に「父欧州型」を検証すると、出走馬16頭中5頭内2頭(2着テーオーロイヤル、3着マイネルウィルトス)が馬券に絡んだ。ちなみに、優勝したアイアンバローズは母父欧州型で、2着テーオーロイヤル共に母母父がRobertoの血を引く馬でもあった。

トラックバイアスからみると、中山競馬場の内回りコースを2周するレースで、ゴール前の急坂を3度通過する最長距離戦。長距離をロスなく走り切ることができるタフな精神力が求められるレースで、過去10年間で逃げ馬も3頭が連対を果たしているが、推定上がりの最速馬は【7-1-1-2】と瞬発力も要求される。ただし、1着馬10頭すべてが2周目4コーナーで7番手以内につけており、後方一気の馬では届かない。

【血 統 傾 向】
中山芝内3600のマラソンレース。とにかく最近はオルフェーヴル産駒が走りまくる重賞!! 全体としてはノーザンテースト、トニービン、ロベルトの血を引く馬の好走が目につく!?

2023年
1着アイアンバローズ
父オルフェーヴル(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/欧
2着テーオーロイヤル
父リオンディーズ(ミスプロ系/欧)×母父サンデー系/日
3着マイネルウィルトス
父スクリーンヒーロー(ロベルト系/欧)×母父ヘイロー系/米
2022年
1着シルヴァーソニック
父オルフェーヴル(サンデー系/日)×母父ナスルーラ系/欧
2着プリュムドール
父ゴールドシップ(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/米
3着ディバインフォース
父ワークフォース(ミスプロ系/欧)×母父サンデー系/日
2021年
1着ディバインフォース
父ワークフォース(ミスプロ系/欧)×母父サンデー系/日
2着アイアンバローズ
父オルフェーヴル(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/欧
3着シルヴァーソニック
父オルフェーヴル(サンデー系/日)×母父ナスルーラ系/欧
2020年
1着オセアグレイト
父オルフェーヴル(サンデー系/日)×母父ナスルーラ系/欧
2着タガノディアマンテ
父オルフェーヴル(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/欧
3着ポンデザール
父ハーツクライ(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/米
2019年
1着モンドインテロ
父ディープインパクト(サンデー系/日)×母父ロベルト系/米
2着アルバート
父アドマイヤドン(ミスプロ系/米)×母父サンデー系/日
3着エイシンクリック
父ルーラーシップ(ミスプロ系/欧)×母父ターントゥ系/欧

【ステイヤーズS 血 統 背 景】

アイアンバローズ(牡6、栗東・上村洋行)は、父オルフェーヴル×母パレスルーマー(母父Royal Anthem)。ジャスティンパレスの半兄で、こちらは父がオルフェーヴルとスタミナ志向が強い血統。典型的な長距離馬で、一昨年は2着、昨年は4着とこのレースでは上位。母系がレッドランサム(ロベルト)を持つのも中山内回りを2周するのに適していそう。前走も当然ここに向けた感じの仕上がり、1度使った上積みで今年も好走可能。

半弟が今年の天皇賞(春)を制し、先日の天皇賞(秋)でも2着に好走したジャスティンパレス(父ディープインパクト)。母系はスタミナ色が強く、本馬も2年前のステイヤーズSで2着に逃げ粘っている。得意舞台での復活にかけたい。

同馬は、2周目からハナを奪い先頭へ。他馬を引き離して逃げ、早めに並ばれるも、直線で突き放して優勝。3度目の正直で重賞初制覇!! 勝利に導いた石橋脩騎手の好判断もあり、理想的なペースに結びついた。ただ、展開が嵌った感が強く、次走は狙いづらい。

テーオーロイヤル(牡5、栗東・岡田稲男)は、父リオンディーズ×母メイショウオウヒ(母父マンハッタンカフェ)。メイショウハリオの半弟で、メイショウカドマツやメイショウキョウジの甥で、メイショウベルボンやメイショウジブリのイトコで、4代母はコートリーディーという名門牝系。リオンディーズ×マンハッタンカフェはリプレーザやテーオーラフィットと同じ。母母父がクリスエスだから、リオンディーズをエピファネイア風味にした配合ともいえる。天皇賞(春) 3着など長丁場の実績は最上位だが、ステイヤーズSよりはダイヤモンドSというタイプではある。

約11か月ぶりの実戦となった前走のアルゼンチン共和国杯は中団追走から10着だったが、本来は好位で器用に立ち回れるタイプ。休み明け2戦目の上積みがあれば、行きっぷりも違うはず!?

同馬は、好位で折り合い、直線で上がり最速(推定33.9秒)の末脚を繰り出すも2着まで。前走を約1年の骨折休養明けで使い、得意の長距離で変わり身をみせ復調。今後も長距離戦ではアテになる1頭だけに要チェック!?

マイネルウィルトス(牡7、美浦・宮徹)は、父スクリーンヒーロー×母マイネボヌール(母父ロージズインメイ)。マイネルラウレアの半兄で、母マイネボヌールはJRA4勝(芝1400~1600)。母母コスモフォーチュンは北九州記念勝ち。コスモプラチナやファイトガリバーなども同牝系。スクリーンヒーロー×ロージズインメイはマイネルグリットやマイネルジェロディなどと同じでよく走る配合だ。23年AR共和国杯2着、22年目黒記念2着、21年AR共和国杯2着と東京芝2500の重賞で気を吐いているが、ロベルト系だし中山内回りでも捲っていけるかも。

祖母は2006年北九州記念を勝ったコスモフォーチュンで、母系は短距離色が強いが、本馬は前走・アルゼンチン共和国杯(2着)など、長距離戦で確かなスタミナを示している。3000㍍以上のレースは初めてだが、楽しみは大きい。

同馬は、序盤中団の馬群外を追走。2周目で位置を押し上げ、手応え十分に直線で伸びてはいるが、ゴール手前で交わされて3着。舞台を選ばないタイプで大崩れが少なく、芝2500㍍前後が適性距離。晩成タイプとはいえ、7歳で重賞2、3着と充実期なのは、穴馬として要注意??


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