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J3入門ガイド作ってみた③<宮崎・岐阜>

今回は第5節、第6節で対戦するテゲバジャーロ宮崎、FC岐阜について(順番は直近の試合を先にしている)

<FC岐阜>

■直近5年の成績と監督遍歴

17年:大木武 J2・18位
18年:大木武 J2・20位
19年:大木武(1月-6月)、北野誠 (6月 - 12月) J2・22位
20年:ゼムノビッチ・ズドラブコ (1月-9月)、仲田建二 (9月-12月) J3・6位
21年:安間貴義  J3・6位

22年監督:三浦俊也

17年から大木体制でショートパスを中心とした特徴的なサッカーを貫いてきたが、成績不振により北野監督に指揮官を交代。J2残留に向けてよりシンプルなサッカーにシフトしたが、確立されたスタイルからの方向転換は容易ではなく、最下位で降格に。J3では資金面、選手層ともにトップレベルのクラブなので毎年昇格候補を考える時に無視できない存在になっているが、結果的には2年連続6位、監督もこの3年で4人目と不本意な結果に終わっている。

今年でJ3も3年目、監督には経験豊富な三浦俊也氏が就任した。ハードワーク・デュエルの部分は"できない選手は一切使わない"を実行するほど重視しており、時にはかなり割り切って守備に重きを置いた戦術を採用することもJサポ界では有名。
3ラインの規律が取れた442が代名詞となっているが、直近のベトナム代表では541を採用。442のイメージからはアップデートが必要になるかもしれないが、いずれにしろ根底のサッカー観は変わらず、ブロックを組むところからのスタートというところも変わりはないだろう。

■去年のスタメン

・第1節

・16節

・30節

勝ち点41 12勝5分11敗  38得点35失点 得失点差3 6位

3421、352を基本としていたが、中盤の選手をFW起用したり、WBをSBにしたりと他のポジションからのコンバートも多く、状態の良い選手からポジションに当てはめていくというやり方に見える。

今年はガラッとメンバーも戦術も変わりそうなので正直あまり参考にならなそう……。

■現スカッド・オフの雑感

【GK】
多くの即戦力を加えた岐阜で唯一と言っていいほど変化のなかったポジション。終盤出番を増やした松本と桐畑で競う。

【DF】
J3屈指のCB甲斐(→岩手)とセットプレーの得点源にもなっていた三ツ田(→松本)がチームを離れ、残留した藤谷も4バックであればSBが主戦場の選手。計算という意味ではやや不安なポジションに。ベテランの竹田やパウロン、カルフィンヨンアピンも契約満了になっている。
ただ代わりになるのもフレイレ(長崎)や岡村(北九州)、へニキ(山口)(※登録はMF)ら豪華な面々。個の実力は間違いないのであとはこれらの選手を束ねる軸となるような選手で、三浦監督の守備戦術を高いレベルで理解出来る存在が早めに出てくるかが重要になってくる。

【MF】
このポジションでもJ3得点王の川西(→富山)、甲斐川西三ツ田に次ぐ出場時間だった中島(→相模原)ら主軸の選手が放出に。吉濱、柏木、本田拓ら既存のメンバーも実績豊富な実力者だらけだが、そこに大木時代の中心メンバーである庄司(京都)が加入。J2とは思えないようなメンツになっている。三浦監督がボール保持率にこだわらず、闘志を全面に出す選手を好むタイプの監督なのと年齢層が高めなのが若干の不安要素か。

またMF登録ではサイドにも宇賀神(浦和)、菊池(栃木)といった浦和関連の強力なアタッカー(SB?)を補強。こちらも昨年のレギュラーは船津、橋本和と30半ばの選手達なので年齢バランスの課題は出てきそう。

【FW】
前半戦は中盤の川西(→富山)が中心になっていたFWのポジション。夏以降は補強した深堀(→水戸に復帰)も多く起用されていたが、どちらもチームを離れることになった。また、昨年ブレイクした粟飯原も熊本に個人昇格を果たしている。
一方、補強では昨年のJ3得点ランク上位組のンドカ(YS横浜)、藤岡(宮崎)に加えて、畑(長崎)、田中順(神戸)といった中堅、ベテラン層の実力者を補強。主力のアウトもありながら他のポジションと比べてもかなり実績・バランス両方で効果的な補強ができているように感じる。戦術上、FWの負担は多くなるが前線の質量で殴れるようだと優勝も見えてくるかもしれない。

■予想スタメン

開幕から第3節まではほぼほぼ同じようなメンバーで戦っていたが、その後、陽性者が選手7名、チームスタッフ2名出たため、チーム活動は休止に。選手は水曜日に1名、木曜日に4名、金曜日に2名という内訳になっており、今週はチーム活動には復帰・メンバー入りも可能になっているが時間は限定的になりそうか……。スタメンにはいない前提で組んでいく。

?は前節不在メンバー

システムは三浦俊也監督の代名詞にもなっている4-4-2(前節は柏木が下りてくる4-4-1-1)。

GKはベテランの桐畑。ハイボールやコーチングなど安心感がある。ただチームのスタイル上、ビルドアップに関わる機会が多いが元々そこに強みがあるタイプではなく、完敗した沼津戦でもトラップミス・判断ミスから失点している。

CBでは藤谷・フレイレで組んでいたが前節は藤谷が不在。開幕以来となる岡村・フレイレの組み合わせに。ベテランコンビらしく保持・非保持ともに安定感があって空中戦も強いが、絶対的なスピードを持った藤谷がいる時と比べてどちらも速さは苦手としており、年齢や経験値なども含めて絶好調の横山とは真逆の存在となる。
SBは左は宇賀神が前節も出場。さすがに全盛期ほどではないとは言ってもスプリント能力やドリブルからのシュート→クロスなどはJ3でもトップレベル。右は元々FWやSHを主戦場としていた山内寛がコンバートされた。しかし前節はチーム事情で本職の船津に。攻撃的センスは持っているがSBとしては粗削りだった山内にはない円熟味のあるプレーを見せていた。
もしも予想通り(前節通り)の組み合わせとなれば平均年齢34.2歳とJ屈指の年齢層のDFラインとなる。

DHはヘニキ・庄司が起用されていたが、前節はヘニキが不在でルーキーの山内彰がプロ初先発。圧倒的なフィジカルと前線への飛び出しが特徴のヘニキがド派手な存在だったのに対して、山内は目立つほうではないが安定感があって縁の下で力を発揮するタイプ。庄司・柏木・ヘニキ・吉濱らがいるポジションで出場時間を得ているだけあって実力は確か、J3に長くはいないのではないか。
SHは藤岡、畑が開幕から起用されていたが、前節は左には菊池、右に窪田と途中出場で出ていた2人が初先発に。ハーフスペースに侵入して宇賀神の攻め上がりを促す菊池とサイドの縦突破を得意とする窪田でサイドの組み合わせとしては悪くないように思えたが、前節前半はチームの流れもあって機能したとはいえず。後半から左に村田が投入されて縦突破から逆の窪田にアシストを記録するなど評価を高めた。このポジションはまだ読めない。

FWは開幕からスタメン出場を続けていたンドカ・田中順也が不在で、右SBを務めていた山内(本職はこちらだが……)と柏木が縦関係で並んだ。ンドカ・田中がこれまで無得点だった中、同点ゴール、逆転ゴールを決めるなどストライカーとして大仕事をやってのけた一方、チームの構造上、前線でターゲットとなって独力である程度時間を作る役割が求められることになるのでその点はンドカと比べられたときに難しさがあった。劣勢時は特に山内にラフなボールが入れられることも多いのでそこではしっかり潰し切りたい。

■試合展望

ここまで4試合で2勝1敗1分けの勝ち点7、6得点3失点。延期により1試合少なく、平均勝ち点では山雅に達していないがこの試合で勝利すれば1試合少ない状態で順位が入れ替わる可能性もある(逆に山雅が勝てば延期分の結果に関わらず、順位は入れ替わらない)

上記のシーズン前の項で書いた通り、新任の三浦監督の色が強いチームに生まれ変わった。ポゼッション(リーグ1位の58.3%)&442のブロック守備というJリーグ全体、特にJ3ではかなり異質のスタイルでクローズな展開になりやすく、必然的に後ろからの繋ぎが多くなる。故に(現状では)自分たちの攻撃回数、チャンス構築率がそれほど多くない代わりに、相手の非攻撃回数、非チャンス構築率も多くない。完敗となった沼津戦では両CBが100回を超えるタッチ数を記録するなど点差に関わらず、とにかく保持時は焦らず、後ろからボールを回し続けるのがチームに浸透している。

ここまでの相手だと鹿児島や宮崎を想像しそうだが、ポジション間の移動は少なく、攻撃でも守備でも442の基本形は崩さないことが多い。あるとすればボランチの縦関係、FWの縦関係を多く作ってくるくらいか。縦にも早かった2チームとは違い、強いて言えば相模原に近いイメージになる気がする。

山雅としてはトランジション(攻撃の切り替え)時にはこれまで通り最前線、特に横山の裏を狙い、相手のCBとのスピード勝負に持ち込みつつ、ラインを押し下げられればOK。保持時は4-4-2ブロックの外にいるWBをしっかりと使いながら、今年の攻撃のテーマの1つになっている『システムのズレ』を突いていく。かつて「4バック殺し」「4-4-2殺し」と言われたミシャ式のようにWBが高い位置を取り、一時的に5トップになれればより最高。3ラインを保ちたい岐阜にとっては一番やられたくない攻撃のはずで、対人の強いDF陣相手にもこちらは優位に戦っていけるだろう⇩

非保持時はとにかく中盤の経由地を潰す。
これまでの試合では縦ずれ・横ずれをキーワードにあげることが多かったが、そこは継続しつつ、とにかく中の選手がアンカー役(庄司、または前節は山内)をマストで捕まえて、CBにボールを繋がせつつ、相手にミスがあれば前線の追う枚数が数的不利な状況でも出ていく、気持ちプレスを仕掛けていくくらいのスタンスが良いのではないか。90分続けるのは厳しいとしても、前線の激しいプレスから良い流れを作って前半11分、23分と得点を重ねた沼津のような立ち上がりを目指したい。

そして、最後に。多少の先入観もあるかもしれないが、やはりまだベテラン組のコンディションが上がってない影響かスタイルの影響か、あまり試合のペースを早めたくない、オープンな殴り合いはしたくないという振る舞いがところどころに見える
前節もアクチュアリープレーイングタイム(ファールなどで止まった時間を引いた実際のプレー時間)はわずか42分、去年のJ2平均が52分、最低でも栃木の43分だったことからも試合がいかに中断されていたかが分かる。

(勝手ながら引用させていただきました……🙏)

(相手が富山だった関係もあるとはいえ)保持スタイルのチームではなかなか見ない数値なのではないか。前節は恐らく人が揃っていないことも相まっていると思うので、リスタートやセットプレーでそのスタイルを逆手にとるということもやってみたら面白いかもしれない。

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<テゲバジャーロ宮崎>

■直近5年の成績と監督遍歴

17年:石崎信弘 九州リーグ 1位 <昇格>
18年:石崎信弘(1月-6月)倉石圭二(6月-12月) JFL12位
19年:倉石圭二 JFL5位
20年:倉石圭二 JFL2位 <昇格>
21年:内藤就行 J3 3位

22年監督:髙﨑 康嗣

17年からスタートした石崎体制で九州リーグからJFLへ昇格。JFL初年度では低迷したことから石崎監督は解任、ヘッドコーチ(HC)だった倉石監督がその後を引き継いだが、そこ以外はかなり順調に「目標設定」→「ライセンス取得」→「昇格」の流れが続いている。

JFLからJ3に昇格に導いた倉石監督はS級ライセンスを所持していなかったため、監督は内藤監督に交代、倉石監督は再びHCという形でチームに残ったが、昨年の昇格1年目での躍進はこの倉石HCの働きはかなり大きかったと言われている。しかし、今シーズンは長くチームに関わってきた倉石HCが横浜FCのコーチに就任。宮崎は今オフ多くの選手が抜かれているが、個人的にはここが最もリカバリーが難しい引き抜きだと思っている。

また、内藤監督はアカデミー真摯コーディネーターに異動。後任は新潟医療福祉大学サッカー部の髙崎コーチになったが、Jのトップチームの監督は初。2年目のジンクスを打ち破れるか。

■去年のスタメン

・第1節

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H岩手 ●0-1

・第16節

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H長野 ●0-2

・第29節

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H熊本 〇1-0

勝ち点53 16勝 5分け 7敗 得点44 失点31 得失点差13 3位

JFL時代から6人放出5人加入のみ。内訳を見ても主力の放出は無し、新たに主力となったのはJ3福島からの前田のみという"あえてそのままのメンツを維持"しての戦いとなった今シーズン。チーム得点王の藤岡や月間MVPも獲得した梅田、司令塔の千布、DFリーダーの代、守護神の植田など中心選手はほぼJFLからの継続組となった。スタイルがあるので一概には言えないが、過去の結果から見ても「JFLを制したチームがそのまま上がってくればJ3でも上位に食い込める」と言われているが優勝争いを繰り広げた宮崎はこの先もその事例の代表になるだろう。

戦術面ではJFLから積み上げてきたポジショナルプレーの原則に基づいた配置の移動や立ち位置のずらし方、さらにSPLYZA TeamsやGPSシステムなどのツールを使った緻密な映像分析によって相手より優位に試合を進めてきた。元々J1・J2に比べるとオープンで、攻守が次々と変わっていくジェットコースターのような展開が起こりやすいJ3の性質も相まって、この再現性の高いスタイルはハマりやすかったのだろう 。16勝と44得点はいずれもJ3最多となっている。

■現スカッド・オフの雑感

【GK】
去年出場の植田・石井は揃って残留。ビルドアップの入り口は健在。

【DF】
CBのレギュラー格である井原(→鹿児島)、大畑(→富山)は揃って同カテ移籍。しかし、実績のある瀧澤(水戸)やいわきのJFL優勝に貢献した奥田らを補強。そして、何よりDFリーダー・代の残留は大きい。
隼磨の息子で、山雅的にも注目度の高い新保(山口)はDF登録になっているが、SHやFWでも出場可能。どちらかというと前のポジションの方が移籍した選手も多く、勝負しやすいような気がする。

【MF】
前田が水戸に個人昇格したため、千布との鉄板コンビは解体。代わりとなる実績のある選手の補強はまだないままだが、阪南大で1年から14番(エースナンバー)をつけていた期待のルーキー江口やJ2・秋田の10番だった下澤と昨年同様、またはそれ以上のクオリティを期待できる選手は控えている。また左SHの主力・渡邊龍も八戸に移籍し、このポジションで出ていたチーム得点王・藤岡も岐阜に移籍している状態。新保(山口)や西田(金沢)らが候補か。

【FW】
前線の2枚看板だった梅田(→水戸)、藤岡(→岐阜)が移籍、4年間10番としてチームを支えてきた水永は引退に。儀保(→琉球にレンタルバック)やサミュエル(→未定)といった途中から出ていた選手もチームを離れたため、残るは大卒ルーキーにして6ゴールを記録した橋本のみ。実績を残してきた選手を加えたかったところに元日本代表の工藤(無所属)、J3で91試合31Gの薗田(鹿児島)という違った実績を持つビックネームを補強。北村(熊本)、佐藤(北九州)と合わせて戦力の充実度的にはむしろ高まったのでは?とすら思えるFW陣になった。ここが実績通りの得点数をあげていくようだと今年の宮崎も怖い存在となるだろう。

■予想スタメン

開幕からメンバーは基本固定。さらにコンディション不良(?)で出遅れた選手が復帰後いきなりスタメンで起用されるなど開幕時点からある程度序列は固まっているように思えた。

システムは4123。スクランブルで昨年の442にする可能性はあるが山雅にとってはオーソドックスな形の方が好都合かもしれない。

GKはここ4試合先発の植田。だが、何らかのアクシデントがあって前節は控えにGKがいないという状態に。元々3人体制なのでかなりカツカツかもしれない。

DFではCBは第2節まで鹿児島からの神野、水戸からの瀧澤が組んでいたが、第3節からはキャプテン・代が復帰して即スタメンに。代・神野のコンビになっている。ちなみにこの代の憧れの選手は松田直樹選手。アルウィンに対して何か特別な思いは抱えているかもしれない。
右SBは昨年からレギュラーだった青山が4試合連続フル出場。左SBは同じく昨年から在籍していた大熊が務めていたが、ここ2戦はベンチにもおらず、WGだった新保が左SBとして攻撃を組み立てている

MFは昨年からチームの心臓として君臨する千布がアンカーとして4試合連続フル出場中。パスのレンジが広く、試合の流れを読める選手なので非常にいやらしい。
また、その前には多くの選手が移籍した前線のレギュラー組では唯一の生き残りとなった10番徳永法政大・秋田で10番を背負っていた下澤が並ぶ形に。のちにも記述するがこの2人がサイド攻撃や最後の仕上げでカギを握る。

FWは3トップの右には薗田が今年のチームの第一号となる得点をあげるなど活躍していたが前節は不在。代わりに西田が起用された。この西田は金沢時代には下川とサイドでコンビを組んだこともあるのである程度は知った仲だろう。
左は新保がポジションを移してからは熊本からの北村、町田からの岡田が起用されている。どちらが先にしろ、もう一方の選手も交代で早いうちに出てきがちなので(何事もなければ)試合には絡んでくるはず。評価が高まっていて前節もゴールを決めた岡田が優勢か。
CFは元日本代表の工藤が4試合連続で起用されている。J3で特別圧倒的なプレーをしているわけではないが、ゴール前での嗅覚やハードワーカーっぷりは何ともいやらしい。宮崎のスタイルもあって安定して点を取り続けていくのではないかと予想している。

ただし、現在は近年世間を騒がしている諸事情で選手5名が療養、2名が隔離中。メンバーは恐らく流動的になる。

■試合展望

ここまで1勝1敗2分けで9位。開幕戦で八戸を相手に2-0で勝利をあげてから北九州(2-2)、相模原(2-1)、鹿児島(1-1)と勝利から遠ざかっている。が、昨年最多得点だった攻撃の再現性の高さは健在で、At3rdの侵入が多くない割に1試合あたりの枠内シュートもリーグ3位と多い。FWの顔ぶれは変わっているがそこに至る攻撃のデザイン性は引き継がれているため、前線が点を取れているといえる。

また、具体的には昨年同様、5レーンを意識したサイド攻略、特に両IHがうまくボールを引き出して、サイド2枚をうまく動かしながら敵のブロックを攻略しているシーンが目立つ。
攻守でインテンシティ高く戦ってくるため、動き出しの鋭さや攻守の切り替えの早さ、SBやIHからの追い越しなど厚みのある攻撃、奪取からのカウンターなどに対して、気持ち的にも守備のライン設定的にも押されすぎないことが鹿児島戦の二の舞にならないポイントとなってくる。

その分、後半は全体の走力が落ちてしまい、まずい奪われ方をしたり、個の力で押されてシュートまで持ち込まれたりするシーンが目立つ。先ほど序列についても触れたが、基本的に先発+1、2人のメンバーで90分近くまでやり切ることが多いので、この点は次々とメンバーや配置を変えていき、途中出場の選手が結果を残せている山雅が付け入れるポイントになりそう。

また、個々に目を移すと特徴的な動きをしているのは田中隼磨の息子・新保。今節の親子対決は現実的ではないが、それでもこの選手の動きは勝負の分かれ道になる可能性が高い。
元々宮崎は片方のSBを肩上げするような形を得意としているが、新保が起用されてからは特に左上げ、または左を起点にしてボールを配球することが多い。攻撃的な位置でも起用されることの多い新保は精度の高い左足やドリブル、さらにボールを持ってない時もWGやIHのような動きでボールを受けようとしてくるので翻弄されないように捕まえなければいけない。

だが、この左SBの裏のスペースが弱点でもある
ここまで宮崎が喫している今シーズンの5失点のうち4失点がこの左SBが高い位置を取っている時にこのスペースを突かれて得点を奪われている。特にそのうち3失点はロングカウンターのような形から。左CBが晒されて4バックでズレができたところでグラウンダーのボールを通されてゴールに流し込まれるというのが失点パターン。山雅としてはロングカウンターから相手の裏をFWが突く形は1つの得点パターンとして確立しつつあるので特に右の裏のスペースをいかに突くか?はポイントになりそう。特に左サイドでは相手に主導権を握られる時間も多くなるかもしれないが、常に『一刺しのチャンスがある』と捉えてコスパ良く得点を決めきりたい。

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※掲載順・目次


①カマタマーレ讃岐・YSCC横浜

②鹿児島ユナイテッド・SC相模原

③テゲバジャーロ宮崎・FC岐阜
④アスルクラロ沼津・ギラヴァンツ北九州
⑤AC長野パルセイロ・FC今治
⑥ガイナーレ鳥取・藤枝MYFC
⑦愛媛FC・いわきFC
⑧ヴァンラーレ八戸・カターレ富山
⑨福島ユナイテッドFC・松本山雅

(データはfootballlabより)

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