スタンフォード式_人生デザイン講座_帯

「大失敗」の人生にさようなら!! スタンフォードで学ぶ成功する人生設計術『スタンフォード式 人生デザイン講座』訳者あとがき公開

「人生、死ぬこと以外はかすり傷」という言葉があります。

人生で失敗する恐怖は、とても大きいです。失敗は、よい人生と悪い人生の根本的な定義とかかわっているように思えます。
人生を成功・失敗でとらえるとすれば、だれも敗者になんてなりたくないですよね。葬式でだれかに成功と失敗の審判を下される光景を思い浮かべたら、たまりません。

冒頭の言葉は、そんな恐怖心を和らげてくれる言葉です。

では、かすり傷を負いながらも、命に関わるような大失敗を避けるにはどうすればいいか? 唯一の正解がない人生で、試行錯誤しながら成功にたどり着くにはどうすればいいか? 

それを教えてくれるのが、『スタンフォード式 人生デザイン講座』です。

本書では、日々の仕事から、就職・転職という転機まで、人生のプロトタイプ(試作品)をつくって、小さな失敗を大きな成功へとつなげる方法を教えています。

「失敗の免疫をつける」という章には、こうあります。

 安心してほしい。ライフデザインに失敗はありえない。目標を達成できない──つまり〝失敗〟する──プロトタイプや体験はあるかもしれないが、そもそも、そうしたプロトタイプや体験の目的は、なにかを学びとることだ。あなたがライフデザイナーとなり、ライフデザインの創造プロセスをつづけているかぎり、失敗はありえない。

ここでは、本書のエッセンスを伝える、訳者・千葉敏生さんによる「訳者あとがき」を公開します。

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どうして人生がうまくいかないのだろう? 今の仕事をつづけるべきか? これからの人生をどう生きよう? 

誰もがそんな疑問を抱えながら生きている。

本書『スタンフォード式 人生デザイン講座』(原題: Designing Your Life: How to Build a Well-Lived, Joyful Life)は、デザイナーの発想法を用いて自分自身の人生をデザインしていくスタンフォード大学の人気講座「Designing Your Life」で著者たちが教えている方法論や演習がぎっしりとつまっている一冊だ。

本書の最大の特長は、なんといっても「ライフデザイン」という名のとおり、人生やキャリアの設計に「デザイン思考」の考え方をとり入れている点だろう。すべての人々に画一的なアドバイスをしがちなふつうの自己啓発書とはちがって、本書では読者一人ひとりが実際に頭、手、そして体を動かしながら、自分に合った人生を「デザイン」していくことを目的にしている。

数学の問題を解いたり高速な列車を設計したりする場合には、究極の正解を突きつめるエンジニアの視点(収束的思考)が必要になるが、商品のデザインや社会問題の解消など、さまざまな答えがありうる複雑な問題を解決する場合には、それとは逆のデザイナーの視点(発散的思考)が必要になってくる。目の前の問題を別の視点からとらえなおし、いろいろなアイデアを出し、実際にプロトタイプ(試作品)をつくりながら、試行錯誤を繰り返していく――こうしたデザイン思考のプロセスは、唯一の正解がない「人生」という問題と向き合うには打ってつけの考え方といえる。

この唯一の正解がないという点は、本書の根底にある考え方のひとつではないかと思う。唯一の正解がないからこそ、自由に発想を広げられるし、試行錯誤を繰り返せる。そして、ひとつを選んだあとも、不正解を選んだという後悔の念に必要以上にとらわれずにすむ。この楽観的な視点は、きっと人生をデザインするうえで大切な要素だ。絵の描き方に正解がないように、人生の描き方にも正解はない。「最高の自分は何通りもある」という著者の言葉には、私自身も訳していて勇気を与えられた。

さて、そんな講座を考案したふたりの著者について、少し紹介しておきたい。

ビル・バーネットはスタンフォード大学でプロダクト・デザインを専攻後、数々の新興企業や大企業で働いた経験を持つ。アップル社に7年間勤務し、賞を受賞したラップトップや蝶番(ヒンジ)のデザインにかかわった。現在はスタンフォード大学デザイン・プログラムのエグゼクティブ・ディレクターを務めている。

デイヴ・エヴァンスもスタンフォード大学を卒業後、アップルで初のマウスの開発にかかわったのち、エレクトロニック・アーツ社を創設し、多くの経営者たちにコンサルティングや助言を提供。その経験を活かして、カリフォルニア大学バークレー校では、8年間計14学期にわたり、「天職の見つけ方」というプログラムを担当した。

そんなふたりがスタンフォード大学にライフデザイン・ラボを共同で創設し、「Designing Your Life」プログラムを教えることになったきっかけは、2007年、エヴァンスがバーネットと昼食をとっているときに提案したなにげないアイデアだった。彼は卒業後の進路が明確ではなく、職業選択で苦労しがちなスタンフォード大学のデザイン課程の学生たちのために、キャリア設計のアドバイスを提供したいと考えていた。

ふたりはすぐさま意気投合し、さっそく夏期に2日がかりの夜間ワークショップを開催。1日目、ワークショップは盛況のまま進んだ。2日目、ワークショップは止められなくなった。学生たちは夜遅くまで演習にのめりこんだ。終了予定時刻が過ぎ、ふたりがそろそろワークショップを切り上げようとしても、学生たちはいっこうに話し合いをやめようとしなかった。「もう少しだけ。だって、こんなことについて語れる場所なんてほかにないですから」

人生や仕事について真剣に語り合える場所がなかなかないというのは、どの国の人々にも共通する悩みなのかもしれない。

こうして生まれた「Design Your Life」プログラムはたちまち学生たちの人気を博し、キャンパス内で1、2を争うほどの人気選択講座となった。これまでに数千人のスタンフォード大学の学生がこの講座を受講してきたほか、現在ではそれ以外にも門戸を開け、すべての人々を対象とした同名のワークショップを開催している。

この人気のワークショップを擬似的に体験できるのが本書だ。ぜひみなさんも、本書をただ読むだけではなく、章末のワークシートに書きこみながら、頭、手、体を総動員して演習を実践してみてほしい。「実践する」ことはデザイン思考に欠かせない一部だからだ。ワークシートは早川書房のサイトからもダウンロードすることができる。そして、著者が勧めるように、お互いにライフデザインを発表し合える仲間(ライフデザイン・チーム)が見つかればいっそう効果的だ。日本でも、読書会や大学の講座などでライフデザインが実践される日が来るのを願っている。

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スタンフォード式_人生デザイン講座_帯

目次

文庫版まえがき――日本の読者のみなさんへ
  日本人はライフデザイナー向き?
  世界100大学が採用
  ようこそ、人生デザイン講座へ
はじめに――ライフデザインで人生の問題を解決しよう!
  三人に二人が仕事に不満を抱えている
  問題にぶつかったときが前進するチャンス
  人生にイノベーションをもたらす人気講座の始まり
  疑問の見方を変えると答えが見えてくる
  人生を変える画期的な方法
  ライフデザインの効果
  人生がうまくいく五つのツール
  情熱を見つけられなくても大丈夫!
  理想の人生を歩むには?

第1章 現在地を知る――だれも自分の問題をわかっていない
  自分の本当の問題を知ろう
  大学の選択でのつまずき
  なぜ問題が解決できないか?
  あるがままを受け入れる
  ワーク・ライフ・バランスの四つの分野
  いまの働き方に満足している?
  人生のエネルギー源を知ろう
  人生のバランスを考えなおそう

第2章 人生のコンパスをつくる――なぜ、一流のひとは正しい方向に進めるのか?
  ブレない自分になる
  仕事観がやりがいにつながる
  人生観について考える
  仕事観と人生観を一致させる
  ブレない一点に向かって

第3章 熱中できる道を探す――消耗しない働き方
  人生の迷いは突然訪れる
  地図ではなくコンパスをもって道を探す
  熱中する瞬間を知ると知らないとでは大違い
  いきいきと働くひとはフローを体験している
  エネルギーを高める仕事VS消耗しやすい仕事
  仕事で消耗しきった男性が気づいた本当に大切なこと
  人生の目的は?
  自分の情熱に気がつくグッドタイム日誌をつけよう
  「ズームイン」を使って貴重な発見にたどり着く
  自分の新しい面を知るためのAEIOUメソッド
  過去のピーク体験を掘り起こす
  人生の旅を楽しもう!

第4章 行きづまりから抜けだす――いつでも新たなキャリアは築ける
  仕事にやりがいを感じられない男性の悩み
  「正解」よりも大胆なアイデアを!
  どんどんアイデアがわくマインドマッピング
  新規プロジェクトで行きづまった女性を救った発想の転換
  夢の旅行を実現できなかった父親から学べること
  人生の可能性が広がるグッドタイム日誌の活用法
  クリエイティブな発想を身につける

第5章 人生プランを描く――「最高の人生」を諦めるまえに考えるべきこと
  「第一希望」以外の人生はダメなのか?
  何通りものベストな自分を受け入れよう
  いまの仕事がなくなると想定した人生プラン
  冒険プランの描き方
  セカンドキャリアを考える女性の例
  冒険プランを立てよう
  三通りのプランをだれかに発表する

第6章 プロトタイプをつくる――人生を成功へと導く魔法の道具
  仕事ばかりの半生を後悔する女性がつくったプロトタイプ  
  なぜプロトタイプをつくるのか? どうやって?
  開業に失敗した女性から学べること
  なぜ、聞く力のあるひとは成功するのか?
  成功に近づけるプロトタイプ体験
  ブレインストーミング──プロトタイプ体験のアイデアを出す

第7章 仕事探しの落とし穴――ほかの応募者を出し抜く就活術
  エリートでも就活に全滅する
  ネットは本当に究極の就活ツールか?
  職務記述書のカラクリ
  目立つ前に「フィット」させよう
  「スーパーヒーロー求人」にご注意
  「幽霊求人」にだまされるな
  人気企業に応募するときの注意点
  本当の仕事探しとは

第8章 夢の仕事をデザインする――仕事のオファーが舞い込む驚異のアプローチ
  就活に全滅した学生が引く手あまたになったワケ
  人脈はもうひとつのワールド・ワイド・ウェブ
  仕事ではなくオファーに注目する
  夢の仕事なんてない

第9章 幸せを選びとる――「幸福なひと」と「不幸なひと」を分けるもの
  幸せを呼びこむ選択プロセス
  人生の岐路で決断し、心から納得するには?
  もう、堂々巡りから抜けだそう

第10章 失敗の免疫をつける――「やり抜く力」を伸ばすには?
  人生は無限ゲーム
  〈ある〉と〈する〉
  なぜ、彼は「失敗」つづきでも成功できたのか?
  失敗を成長につなげる3ステップ
  現実と闘うな

第11章 チームをつくる――一流の仕事の共通点
  チームを見つける
  チームの役割とルール
  メンターの力を借りる
  チームからコミュニティへ

最後に──理想のライフデザインに向かって
  人生を新しいマインドセットで
  最後にもうふたつだけ
  もういちど質問──「調子はどう?」

【全国書店にて好評発売中】

『スタンフォード式 人生デザイン講座』(ハヤカワ文庫)
ビル・バーネット&デイヴ・エヴァンス
訳/千葉敏生
 ISBN:9784150505462
価格:880 円(税込)

https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014336/


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