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阿蘇カルデラと中岳噴煙

南北25キロ、東西20キロの阿蘇カルデラは、8万7000年前の阿蘇4火砕流噴火でいまのかたちになった。地下から大量のマグマが火砕流として一気に噴き出したので、マグマだまりの天井がストンと陥没してできた。中央にそびえる高岳や中岳などの中央火口丘は、そのあとの噴火でできた。

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阿蘇カルデラ縁から外に向かって放射状に緩やかな斜面が広がる。27万年前の阿蘇1火砕流、11万5000年前の阿蘇3火砕流、そして8万7000年前の阿蘇4火砕流がこの斜面をつくっている。左遠方に見えるのは九重山。阿蘇4火砕流のあとにできた。

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カルデラ北縁に突き出た大観峰。展望所があって、毎日多くの観光客が訪れる。

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大観峰の西にある内牧温泉の大きな湾入。カルデラ陥没のあと、内側の急崖が徐々に後退してできた。噴煙を上げるのが中岳。最高峰が1592メートルの高岳。その左の根子岳は中央火口丘ではない。徐々に後退した急崖がカルデラ内に取り込んでしまった火山だ。陥没前からあった。山頂部分がよく浸食されて険しいことからも、その古さがわかる。

中岳から上がる噴煙の動画。この噴煙は白いので、火山灰をあまり含んでいない。

中岳火口底の動画。噴煙は小さな穴から出ている。右側にも白色噴煙を弱く出している領域がある。

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上の画像をクリックすると、中岳火口の球面パノラマを見ることができる。画面を動かして望む方向を観察できる。放っておくと自動回転してしまうが、右クリックで止められる。

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2019年5月からの火山灰によって厚く埋もれたシェルター。火山灰の表面に雨水によって深く刻まれたガリーができている。

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中岳火口縁のシェルター群と空き地。ここにあったロープウェイ山頂駅は、2016年10月8日のブルカノ式爆発のときに火山弾がいくつも落下してひどく損傷した。被災した施設を撤去して、全面ガラス張りの新しい駅舎と新しいロープウェイを建設する工事が2019年5月に始まったが、同年12月に中止断念が発表された。

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大駐車場の隣に山麓を新設する工事もストップした。急斜面を覆った青緑色のシートが見える。気象庁が発表する噴火警戒レベル2のいま、観光客は、中岳噴火口から1キロをわずかに超える距離にあるこの大駐車場まで自分の車で行ける。阿蘇駅などと結ぶ路線バスの発着も頻繁にある。今後はこの大駐車場を整備して、ここから観光客をバスに乗せて火口縁まで運ぶのだそうだ。

(2019年12月28日観察)



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