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【イベントレポ】Fate/stay night HF 2章 キャストトークショー付きビデオマスター版上映会レポ+α(追加感想と考察)

今年1月に公開された劇場版Fate/stay night[Heaven's Feel]第二章(以下HF2章)のBlu-ray/DVD発売に向けて、キャストトーク付きビデオマスター版の上映会に行ってきました。

ビデオマスター版とトークショーの個人的なレポと感想と、そして最後に本編を改めて見て気付いたことなどを備忘録がてら記しておきたいと思います。

※本編ネタバレありなので未視聴の方はご注意ください。
※あくまで個人の感想と解釈であることを御容赦ください。

HF2章公開時の感想やキャラ考察等はこちらのマガジンからご覧いただけます。

イベント概要

2018年8月17日 19:00〜 新宿バルト9での上映と、30分ほどのトークショーという内容でした。

まず「ビデオマスター版」とは何かというと、円盤に収録するために、劇場公開された映像からさらにスタッフの方々がブラッシュアップされた映像のことです。

第一章のときも劇場公開版からかなりのカット数ブラッシュアップされていたので(エフェクトの追加など)、今回もかなりのブラッシュアップされているのだろうと期待して臨みました。

なお、TVアニメFate/ZeroやUBWのBD-BOXにあったオリジナルエディション(TV未放送分)のような追加映像はこちらにはありません。

個人的には、3章全ての公開が終わったあとに出るであろうBD-BOXあたりに収録してくれないかなと期待しています。笑

たとえ追加がなくても、あの映像をまた劇場の環境で観られるのはなかなかない機会なので、思いっきり堪能してきました。

ビデオマスター版の映像を見て気付いたこと

私は素人なので、これがにブラッシュアップよるものなのか明確にはわかりません。もしかしたら記憶違い、劇場の設備の違いによるものかもしれないのですが気付いたことをかんたんに書いておきます。

・映像が鮮明かつ高コントラストになっている

たとえるなら、DVD画質→ブルーレイ画質くらい。劇場公開時よりも作画の線、色の鮮やかさ、明るさなど、全体的に鮮明になっていた気がします。

夜の暗めのシーンはなおのことわかりやすかったですね。ギルの足の断面とかもハッキリ見えました。これはスクリーンでなくテレビ画面で観られることを考慮しての調整なのかなあ、とも思いました。

撮影処理だけでなく背景美術も一部少し変わっていたような気がしました。ものすごい細かいところなんですが、アインツベルン城で士郎が城壁に隠れているところの右下あたりの草とか、劇場公開時より明るくなっている気が。

・SE大きくなってる

SEのボリュームが全体的に大きくなっている気がしました。細かい足音とか、衣擦れの音とか、前よりよく聞こえる感じ。

・その他ところどころ気付いたところ

ここから先は全部語尾に「気がする」をつけてください。本当に細かい違いすぎて、自信がないです!でも、もし観た人で同じことを思ってた人がいたら嬉しいな!!!!

冒頭シーンの士郎が柳洞寺でセイバーを追いかけてさまようシーンにチラつく雪の感じが、より奥行きがある感じになっていました。

「OPの高速道路でカラーコーンを片付けるところの動きがなめらかになっていた」一緒に行った旦那が言ってたんですけど、私もなんかリアルな動きになってるように感じました。中割り足されてるんでしょうか?

凛が図書室に飛び込んでくるところのガラスがより細かくなってました。

同じく図書室のシーンで、桜が手前に映っていて、奥の慎二にピントが合わないカットがあるんですが、そこの慎二のボケ具合が増えていたような……?(もしそうだとしたらしんどすぎるブラッシュアップでは)

あとこれは冒頭で気付いてアインツベルン城のところで8割確信したのですが、3Dの触手の動きがよりおぞまs……じゃない、なめらかになってた…!!!!

「アレに追いつかれれば終わりだぞ」

ほんとそれな〜〜〜〜!!!と言いたくなる恐ろしさでした。

後半はもうぶっちゃけストーリーに入り込んじゃっていたので、うろ覚えですゴメンナサイ…!

いやほんとこれ全部気のせいレベルだし「神は細部に宿る」って言うけど細部すぎて自信がなくなってきたよ……!!

でもとにかく映像が美しくて本当によかったです!!!(雑なまとめ)

ちなみに本編上映後には、3章予告と先日FGOフェスで公開された特報映像が流れました。特報、大きいスクリーンで観られて嬉しかった〜!

そして上映終了後には、大きな拍手が沸き起こりました。そういえば、公開初日深夜の最速上映でもそうだったらしいので、あの場には熱心なファンが結構多かったのかな。好きなものを多くの人と共有出来る感覚っていいな〜と思いました。

アニメーションマテリアルを観ながらのトークショー

本編上映が終わり、トークショーへ。

司会の方に紹介され、杉山さんと下屋さんが登壇されました。

冒頭の挨拶にて、今回のビデオマスター版に関する概要を説明されていたのですが、この2章では劇場公開版から250カット手直ししたそうです。

一時停止されても、どのカットも綺麗な映像になるようにと細部までこだわり抜かれたものだそうですので、円盤買われ方はじっくりご覧になってください。私もじっくり観ます。

また、印象に残った3シーンとして「レイン」「パワーゲーム」「悪夢」について、それぞれのアニメーションマテリアルをバックで流しながらのトークとなりました。流れる前には冒頭に撮影監督の寺尾優一さんからのコメントも公開されました。

トーク内容は、公式サイトに完璧なまでのレポがあるのでぜひそちらをご覧下さい。

後ろでアニメーションマテリアルを流しながらトークされるので、耳はトークを、目はスクリーンを、と非常に情報量の多いトークショーでついていくのが精一杯でした。(しかもアニマテ、映像が早いし。笑)

おまけに今回座席が前後左右ド真ん中で、杉山さんの立ち位置からド正面になっていて、自意識過剰なオタクは絶対認知されないとわかっていたのにめちゃくちゃ緊張しました……!!

・レイン

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HFを熱心に追いかけられている方はご存知かと思いますが、須藤監督のコンテが書き込みがすごいです。

中でもこのシーンは特に、コンテの段階から表情が細かに書き込まれていて、本当にこだわり抜いて作られたんだなあと感じられました。

他にも背景美術、作画、CGで作られた雨粒、何重にも重ねられていく過程が映像で見られました。

同時進行のトーク内容はアフレコに関するエピソードに。

個人的に印象に残ったのは、杉山さんのコメント。以下引用します。

「このシーンは桜が主軸で。士郎が知らなかったことを、桜が打ち明け、思いをぶつけてくる内容ですよね。だから、下屋さんが(須藤)監督や(奈須)先生に確認されて、演じられたものを、作中の士郎と同じように受け止めて。自分の中で感じたことをお芝居にしていきたいなと思っていたんです。だから、あえて収録前に(桜のセリフを)どう受けるかを確認したり、相談したりすることはしませんでした。テスト収録のときに演じてみて『そのままでOKです』というリアクションをスタッフさんからいただいたので、自信をもって本番収録に臨みました」

あえて前もって話し合いをせず臨み、士郎と同じように受け止めて芝居をする、というこのアプローチに、心底「流石だな」と思いました。

特にこんな重要なシーンで……肩の力を抜いているというか……。

臨み方として最適解だと思いますが、誰にでも出来ることじゃないですよね。杉山さんが衛宮士郎役として積み重ねてきた年月と、杉山さんの役者としての技量があってこそ為せる技だなと。

そして出来上がったシーンのお芝居は、ご覧の通りですよね。私ももう10回以上観ているのにここだけは毎回泣いてしまいます……。

・パワーゲーム

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アニマテでは、アインツベルン城の3Dモデルの空撮し、俯瞰でセイバーオルタとバーサーカーの動きを追ったものが流れました。

正直劇場公開時にはただただすごすぎて、何が起こっているか完全にはわからなかったんですが、俯瞰の映像を見ていると、アインツベルン城かなり広いし、バーサーカーとオルタはめっちゃ動いてたんだなー!!!となりました。

このシーンは結構な尺ですが、ほとんどキャラが喋らないためお二人のトーク内容はシーンの演出についてのものに。

アニマテの空撮映像を観ながら、下屋さんも杉山さんも興奮気味に話されていました。

この時もそうですが、特に杉山さんは舞台挨拶などでも映像制作技術のお話になると、本当に楽しそうに語られていて「お好きなんだなぁ」と感じて微笑ましいです。

失礼かもしれないですが、まさに「好きなことになると早口になるオタク」感がありました。笑

・悪夢

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こちらのアニマテでは、桜の周りにいるメルヘンな人形の設定画が公開されました。

歩いていく桜の後ろで結構な量の設定画がさらさら〜っと流れたので、正直リモコンが欲しくなりました。お二方も「あっ、早い〜!!」とおっしゃってました。

届いたら一時停止しながらゆっくり見ようと思います。

せっかくなので公式のレポでは省かれていたエピソードで覚えているものをひとつ。

桜が入った広間が実は路地裏と全く同じ広さと壁の高さ、というのはパンフやこのトークでも語られていましたが、アニマテでは実際にドレス姿の桜とくす玉人形の映像に、路地裏の3D背景が合成されて、一気に不穏な空気に。笑

くす玉人形が桜にデコピンされてはじけた時に、確か杉山さんが「まあ、そういうことですよね」みたいにおっしゃって、会場に笑いが起こっていました。

・最終章に向けて

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アフレコはまだですが、御二方とも、FGOフェスでもお話があったシナリオを読まれていて、とにかくすごかったというお話でした。

同時にアフレコに向けての意気込みを語られていましたが、その時のお二人の「とにかく楽しみで仕方ない」という空気が伝わってきて、本当にこの作品を好きでいてくれるんだなと感じられて、嬉しくなりました。

下屋さんは今回の特報映像のための収録でいくつか台詞を録ったそうなのですが、桜の感情の段階を確認するために、原作を確認しなおしたそうです。

一章の時に、一から桜を構築すると意気込んでいらっしゃいましたが、いよいよその集大成となると、感慨とプレッシャーもひとしおだと思いますが、応援したいですね。

お二人とも「期待に応えられる、いや、期待以上だったと言ってもらえるような演技にしたい」とおっしゃっていました。

今回は全体を通して、メインキャストのお二人ということで終始落ち着いた雰囲気だったのですが、長くご一緒されていて、お二人ともすごく熱心に作品を愛してくださっているので、話題が尽きないというか、自然に話しているだけでもうファンサービスになっているというか……。

改めてこの作品の奥深さと積み重ねてきた年月みたいなものを感じてしまいました。

今から春が楽しみです。

以下、改めて気付いたこととおまけの感想と考察

1月の公開時にはあまりの衝撃で1万文字クラスのクソデカ感情を複数垂れ流してしまい、それ以降も毎週何かしらのテキストを垂れ流していました。

トータルで何回観たか覚えてないんですが10回は確実に観てます。

普通何度も見ると粗の方が気になってくるもんですが、HFはむしろどんどん気づきが増える一方で、人間ってこんなにクオリティを突き詰めるものを作ることが出来るんだなって。

粗なんてせいぜいで、「冬木市の南北が逆じゃない?」とか「騎乗位でその手の繋ぎ方は無理じゃない?」とか「桜のおっぱい、そうは動かなくない?」くらいなんですよ。

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そういうのを差し引いても何回でも泣いてしまうシーンもあるんですが、公開当時は士郎の泣きの様にあまりにも衝撃を受けてあんな記事まで書いた美しいアリア(士郎が桜を殺そうとするとこ)では全然涙が出なかったのは、自分でもびっくりしました。

感情が全く動かなかったという訳ではなく、むしろあまりにも自然に馴染みすぎた。もしかして、この半年で私の中に「人間としての選択をした士郎」が馴染んだのか……?と。

凍らせた心であたたかな幻想をすれば、当然、凍らせた心は溶けてしまうでしょう?とか思ってました。

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レインでは相変わらず下屋さんのお芝居が素晴らしすぎて、ぐぐぐっと引き込まれてやっぱり泣いてしまいました。

あとこのシーンの最後、原作の地の文に「この恋の結末はきっと、苦しいものになる」みたいな、士郎のモノローグがあったことを思い出しました。(細かい言い回しはうろ覚えです)

あんなに力強く桜を抱きしめているのに、士郎の中には「この先がない、救いがない」という予感が確かにある訳です。

でも、映像だと雨粒に反射する光や桜の顔を照らす街灯がやたら明るかったりと、光を沢山使われていて。この演出自体は意図したものだと思います。後の展開を際立たせるための。だからなおさらしんどいなと思いました。

実際あの時点であの二人は詰んでるのは事実です。「許す」と言葉では言っても士郎は半人前の魔術師で、肉体はもう、アヴァロンの効力もないわけです。桜は修練で肉体はもうまっさらな人間のそれではないし。それでも互いの肉体の温もりだけを頼りに繋がっている。

初夜のシーンでも顔に光が当たるのは桜だけ。士郎の顔は陰っているんですよ。おまけにここで、桜の影が歪んでいることから目を背ける。

トークショーでキャストのお二人はレインのシーンで光の演出について「希望」「救い」というふうに仰っていました。それは確かだと思います。でも、この映画における光が「光が強ければ影も濃くなる」という示唆のようにも、私には思えてなりませんでした。

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あと「まもるべきもの」の最後。アーチャー自分で腕切り落とすんですよね。この演出自体はアニオリだけど、それでもアイツならやりかねないよなーと思いました。

死ぬほど今更ですが、サーヴァントの中には、既に死者だからこそ生に執着せず命を捨てるキャラもいますが、彼はサーヴァントだからああいう決断をしたわけではなく、きっと生前からこういう合理的な自己犠牲をしていたよね??と改めて思ってしまいそのしんどさに吐きそうになりました……。

そうだよね、おまえ笑顔で絞首台に立つ男だもんね!!!知ってた!!!!!辛い……。

アーチャーに関してはかなりこじらせてるので、家帰ってからふとした瞬間に時間差でショックが来るのでほんとやめてほしいなって。弔い……って言いながらまたオムライスおにぎり買ってしまったやんか(知らんがな)

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それとすみません、ちょっとだけ言峰綺礼の話していいですかね……。

私は言峰綺礼が大好きです。聖域と崇めています。公開当時は、言峰綺礼のシーンがかなりカットされたことにそれはそれはショックを受けていました。(イリヤもな)

でも今回、久しぶりに動く言峰を見られて、満足でした……。凛が魔術師として桜を殺す覚悟をしてる所のニコニコっぷりとか、まじで推しが幸せで私も嬉しいってなったし。

あとufotableの言峰は表情が最高で完璧すぎて、これ以上この濃度と解像度で言峰を摂取したら多分オーバーフローを起こしてしてしまうんだろうな、となったので、なんかもう、本当この量で満足でした。

二章でこの調子なので、見せ場がたくさんたくさんあるはずの三章では生き残れる未来が見えないです。ってか特報映像で既にやばい。

ってかあのシーン、用語集の没案では…!?と思ってしまうのは私だけか。

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ここからは勢いにまかせて言峰綺礼の個人的な解釈をちらっと書いておきますが、ぶっちゃけ読まなくても生きていけると思うので読まなくていいです(唐突に卑屈になるオタク)。

第四次聖杯戦争で、ギルガメッシュに自らの性質を自覚させられ、そのように振る舞うことに躊躇はなくなりました。それは一見、受け入れているように見えますが、私は完全には達観していないのではないか、と思っています。

ここで言う達観とは「自らの在り方について外に答えを求めない状態」のことです。悟りとも言えますかね。自分の性質を受け入れていて「自分はこれで良し」と胸を張って言える事。

その定義からすれば、言峰は自覚をしているし、そのように振る舞う事に以前より葛藤はないにせよ、完全には達観はしていない。何故なら彼は「善悪の所在」をこれから生まれ出る「聖杯の中身」に求めているから。

受け入れているなら、求める必要はないはずなんです。

言峰綺礼は、他者の絶望でしか生の実感を得られないこと、美しさや愛の基準以外は、道徳的で良識のある人間です。私は、破綻していなければ聖人にすらなれたかもしれないと思っています。

セイバールートの「私ほど人間を愛している者はいまい」というセリフも、皮肉のようでいて、そうでもないんだと思っています。

考えてみてください。良かれと手を伸ばし続け、人生をかけて求めたものが手に入らず、あまつさえ己自身の正体が最も忌み嫌うものだったら、自覚こそすれ、それを完璧に受け入れるのは難しいはずです。むしろ、並の人間なら心が砕けてしまうレベルのショックだと思います。

底が知れぬ昏い瞳と、屈強な肉体と強靭な精神、これまでのラスボスムーヴから、達観しているようにも見えるかもしれませんが、言峰は奥底では刻み付けられた道徳心と、歩むべきと定めた信仰の道に縛られている。

おそらくギルガメッシュだけではピースが足りなかった。彼は超越者であり、人の側ではないものだから、彼には「人の善悪」では言峰綺礼は裁けない。だからこそ、第五次での言峰は「善悪の所在」を「答えを出せるもの」に求めている。

目の前に自分の存在意義を証明できるチャンスがあるならば、それに縋るのは、あまりにも人間らしいというか……。

言峰についてはマジでクソデカ感情を発酵させているので、三章公開時にまた改めて書くことになると思いますが、これ以上書くと、止まらなくなりそうなのでこの辺で。

***

レポより+αの方が濃いってどういうことですかね!?!?

いつも書きたい放題書いてごめんね!!

全然まとまってないけど、ここまで読んでくれた方がいたら本当にありがとうございました。

愛してるぜ!!!

ほかの記事はもっとまともに書いてる(のもある)ので、よろしくね!




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