見出し画像

原作を殆ど知らないにわかファンが劇場版シティーハンターで冴羽獠に堕ちました

先日「劇場版シティーハンター」を観てきました。

私自身はシティーハンターどんぴしゃ世代ではなく、中学生くらいの頃にCSでやっていたアニメが好きだったなあくらいのおぼろげな記憶なにわかファンです。しかし、声優好きとして、「キャストが当時と全く変わらないだと」「御年72歳である神谷さんがどんな風に冴羽獠に声を充てるのか聞きたい」という、正統派ファンからすればやや邪な動機で観に行きました。

ストーリーラインについてはややベタというか、お約束というか、そういうメタ的なものを感じながらも、爽快感のある結末でしたし、中学生のときにはわからなかった登場人物の心の機微なども味わいながら観ることができて、とても楽しい鑑賞体験でした。

というのはすごくきれいな感想です。

実際タイトルにも書きましたが、いまさらながら冴羽獠に見事に堕ちました。マジもうほんと性癖にぶっ刺さりすぎて、観終わったあとは正気を失い、友人に「リョウちゃんかっこいい・・・すき・・・香と幸せになって」とうわごとのようにメールしていました。

冴羽獠ファンは獠香過激派になるところまでがテンプレ。

それはさておき、真面目不真面目織り交ぜつつ、個人的によかったところをいくつかピックアップします。前半真面目、後半は不真面目なのでお好きな方をお読みください。

神谷明さんがすごすぎる

ほんともう、これに尽きます。

正直、非常に申し上げにくいのですが、予告編で聞いたときはどうしても、やはり少しはご年齢を感じると思ってしまい、鑑賞前はやや不安でした。

しかし、本編では驚くほど違和感がなく「え、年齢、一の位と十の位、逆じゃない!?」と思うほど、テンポ、キレ、それに加え静かに話すときのあの色気がもんんんのすごい。

正直うそでしょ!?と思うくらいかっこよかったです……。

声優と言えど役者。声質を決めるのは声帯ですが、音の響きや感情など表現力の幅を決めるのは全身です。そう考えれば、30年前の状態を維持するのが如何に大変か、誰もが想像に難くないはずです。

私は観終わったあと、とにかく神谷さんへの尊敬の念でいっぱいでした。神谷さんだけでなく、一線で活躍されているベテラン声優さんたち全てに対してなのですが。

興奮冷めやらぬ感じでいろいろとインタビューを漁ったのですが、どうやら予告編のセリフは、本編では再録されているそうです。確かに「俺を呼んだのは、君だろ?」のセリフ、本編は予告編と少し違いました。本編のほうがよりかっこよかったです。

当時の音声を聞いて、それに近づける。生半可なことではないと思います。本当にものすごい努力をされています。

過去に一線で活躍していた方々でも、今も当時の声が出る方というのは一握りです。プロの声優とはいえ人間です。肉体の衰えは誰しもあります。そしてもちろん、その方それぞれに人生がありますし、それ自体が良い悪いという話ではないのです。それに加え、元々声優業界はあまり平均寿命の高くない業界です。

そんな中、72歳というご年齢ながら、あのハリのある声を維持され、かつ変わらぬキャラクターの魅力を届けられるというのは、本当に尊敬しかありませんし、これからの益々のご活躍を願わざるを得ません。

スタッフの作品愛とこだわり

神谷さんだけではありません。他のキャストの方々も素晴らしいお芝居でした。

オリジナルキャストのまま行くということ、テーマソングを「Get Wild」にしたり、他にも当時の曲をたくさん使うこと。丁寧な画作り。あらゆる点から、スタッフが作品を大事にされているのだな……と、にわかファンでも感じることができました。残念ながら、キャッツアイの3人は藤田淑子さんがお亡くなりになってしまい、代わりに戸田恵子さんが一人二役をされていましたね。

もちろんそうでない作品のスタッフさんたちに対して「作品を大事にしていない」というつもりはありません。ですが、リバイバル作品というのは声優やスタッフの入替えが行われることが多いです。その背景には声優さんご自身の事情、新しいファンを取り込まなければいけないという商業的な側面、制作側の事情等、様々なものがあるかと思います。

それでもやはり、当時のキャストやテーマソングをそのまま使うというのは、実現が困難な事情がある以上、ファンサービスとしてこれ以上ないものだと思います。

そして、変わらないものもありますが、あえて変えたものもありました。
獠の、ある銃を扱う動作についてです。

これね、本当に……すごい愛を感じました。ぜひ全文読んでほしいです。

一応、念のため解説しますと、「スナップロードアクション」というのはリボルバーのシリンダーに弾を装填したあと、シリンダーを銃の本体を持っている手首のスナップだけで戻す動作のことです。弾入れて片手で銃傾けてガシャンってやるやつね。

「あれがかっこよかったのに何故やめたんだ」という批判が起こったようで、監修に携わったスタッフさんがツイッターで解説されたものが上記にまとめられています。

この改変を行った理由に、ものすごく作品への愛と敬意を感じました。

以下、一部引用します。

獠は、プロのツールとしてパイソンを”酷使”はしても”粗雑”には扱わないと思うのです。リボルバーで最も重いパーツであるシリンダーを、手首のスナップでフレーム部に叩き込む動作を繰り返せばフレームやクレーンに微妙な歪みが発生し、獠のような精密射撃を行う銃としては致命的になるのです

今回NGとなった「スナップロードアクション」は、銃に負担をかけ、命中精度を落とす行為です。そしてこの精密射撃は獠のスイーパーとしての実力を示すものであり、獠の大きな魅力です。つまりこれは、冴羽獠の魅力を表面的ではなく本質的に捉え、この2019年に公開するにあたって、よりリアリティのある形に変更したという話なのです。

私個人としても、本当に面白い作品というのはフィクションの中にリアリティを見出すからこそ魅力的だと思います。だからこそ、この方の解釈には「プロのスイーパーとしての獠」に対する敬意が感じられました。

「フィクションなんだからそこまでこだわらなくても、かっこいいんだからいいじゃないか」という意見があるのもわかります。しかし、リアルとフィクションの塩梅というのは創作において非常に重要で、それが面白さを決める要素として確実に働くのです。

そして、どこまでをフィクションにしどこまでをリアルに沿わせるのかというのは、制作者の好みや作品の雰囲気などにも左右されます。しかし、そこが一本筋が通っていたりマッチしているものはやはり面白い。

「シティーハンター」は舞台が新宿という実在の街で、作中では連載当時の街並みが忠実に描かれ、キャラクターも歳を取るなど、リアル志向の作品です。ならば、たとえそのアクションがかっこよかったとしても、銃の扱い方をキャラ解釈と2019年という時代背景に沿わせた形で「あえて変える」というのは、この作品の軸にふさわしい改変であり、英断であるなと感じました。

冴羽獠の性癖ポイント

さて真面目な感想はここまでです。

ここからは「冴羽獠のなにが性癖に刺さったか」という話をひたすら語りたいと思います。

ストーリーの核心に触れる記述があるため未視聴の方はご注意ください。
また、にわかファンなので解釈が間違っている可能性があります。

冒頭にも書きましたが、鑑賞前の私は「シティーハンター」に関する知識は曖昧な記憶しかなく、冴羽獠に対しては「シメるところはシメるかっこいい男」くらいの認識でした。

しかし本編では思いの外「もっこり」って言ってて結構スケベ全開だなと。時代背景やシリーズのお約束なんだろうなとメタ的な理解をしつつも、人格形成の観点から見たとき、シリーズファンからの反感を恐れずにいうと最初は正直「サイコパスかな????」と思ったりもしました。

亜衣を励ますために連れて行った先が風俗街だったり裸踊りだったりと、「おまえ女子大生に何やらかしとるんや…!!」という気持ちが拭えなくてですね(笑)

連載当時の事情など、メタいことを言えば「売れなかったからテコ入れされてギャグ成分が増えた」「二枚目とギャグのギャップが魅力」とかそういう話になるんですが、あとから調べた獠の生い立ちとかを考えると「彼にとってはエロも何もかも本気だ」ということなのかな、と今は解釈しております。要は他の世界を知らない人なのだと。

だからこそ、だからこそですよ。

香に対してああいう態度を取るのかなと。

もう本当に、香に対するこじらせ方があまりにも性癖にどんぴしゃでした。

私は「屈折した男が好き」で、かつそれに対して屈折した愛情を抱くという、捻れに捻れた性癖の持ち主です。

だからもうね、あのウェディングドレス着た香に「いつもと変わらねえじゃん」とか抜かすところは言うまでもなくですよ。言うまでもないけど語りたいこといっぱいあるけど言うまでもなくですよ。

「おまえほんとそういうとこやぞ〜〜〜〜〜ばか〜〜〜〜〜!!!!」ってなりました。

っていうか劇中で最初にその反応見た時、いくら作品のことをほとんど知らない私でも「あ、この人は香に対してはこういう反応するんだ。実は香のこと大好きなのでは???」って思ったよね。

香が御国に口説かれている間は、しきりに亜衣に構います。まあボディーガードなんで仕事も兼ねてなんでしょうけど。でも相棒なんだから、もうちょい信頼を表に出してもいいものじゃないですか、大人なら。

初見の身からすると、ともすれば香には対して無関心、みたいにも見える演出をあえてしてるようにも見える。亜衣に、御国と香のデート現場に連れて行かれたときも「どうでもいい」みたいな顔してるんですよ。

でもさ〜〜〜〜そんな顔してるくせにさ〜〜〜〜〜〜。

2回めのデートから帰ってきたとき、獠ちゃん、ビールの本数が増えてるんですよ!!!!!!!

はあ〜〜〜〜???

おまえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!ほんと、そういうとこ!!!!!

っもう、ばか!!!!!!!

あまりにも不器用で屈折した男すぎてクッッッッッッソ萌えました。

大事すぎるものに対して、どう対応していいかわかんないし、素直になれない。臆病で、本心もストレートに伝えられない。

戦闘に関してはプロで、冷静なくせに、全然関係ない女性には「もっこりちゃ〜〜〜ん」とか言うくせに、そういうところだけはずっと不器用で未成熟なんですよ!!!

で、あれだろ???最後の最後に「俺にとっての大事なものはいつだって変わらねえよ」って言うじゃん???

「わざわざ言わなくても知ってるよ!!!!!!!!!!!」

って思ったし、ニヤニヤが止まらんかったですよ……。

あーーーーもうほんとすき。結婚して。香と。

まあ、他にも、アクションシーンの動きとか、軍事用ドローン相手に頭をフル回転させて立ち回る天才的な戦闘センスとか、全体的にいい身体しているのにフィット感のある衣装とかいろいろと眼福というか、とにかくかっこいいんですが、もう何よりもあの香へのこじらせっぷりや不器用さに、本当にもうなんか「この男どうしようもねえなあオイ!!!!(すき)」と一瞬で沼に転げ落ちました。

私の性癖をほぼ完璧に把握している旦那からは、鑑賞後に「お前、冴羽獠好きやろ???」って訊かれました。劇場を出てすぐ、鑑賞の余韻に浸りたいけど気を抜くとニヤけてしまうのが恥ずかしいからと必死にそれを押し殺していたのにしきりにいじってくる旦那に対し、最終的には「好きに決まってんだろ!!!!!空気読めアホ!!!!」とブチギレるほどでした。

(ちなみに旦那はかわいいおっさん好きなのでファルコン好きです)

で、辛抱たまらんくなって、ツイッターでいろいろ調べていたら、公式アカウントのこのツイートを見てしまいました。

こんなん無理じゃない!!?!?!!??

はあ・・・好き・・・公式が最大手かよ・・・・。

ちなみにこの感想を書くにあたって、友人と語り合ったメッセージのログを見返したんですが、萌えすぎてIQ3以下になってたのでほとんど役に立ちませんでした。(残念な頭)

余談 エンジェルハートについて

ちなみに、既に北条司作品を追いかけていらっしゃる熱心なファンの方々としては、獠香沼にハマりたてホヤホヤのオタクが、エンジェルハートについてはどう思うのか、気になるかと思うのですが、ハイ。

私はエンジェルハートはタイトルだけ知っていて、シティーハンターのスピンオフ?くらいのふわっとした認識でした。この劇場版を観たあと、既にエンジェルハートを読んでいた友人に「エンジェルハートを見たあとで香を見るのは辛いものがある」と言われました。

私「えっ」
友人「あっ」

みたいな気まずい感じに一瞬なりましたが、友人はそもそも、私がシティーハンターを詳しく知らない事を知らなかったのでうっかり口を滑らせてしまっただけで、彼女に非はないです。私としても、作品ネタバレは避けたい人間だったので「なんか察するものがあるけど、せっかくだからちゃんと作品を追う」と言い、なんとかググることを踏みとどまりました。

そしてアニメで追いかけようと思ってHuluで「シティーハンター」と検索した私。TVシリーズも3まであるし、劇場版もあるんでかなりの数出てきたんですよ。そして中にはエンジェルハートもありました。

スマホの画面って罪深いですよね。

スクロールしなくてもファーストビューが縦に長いからさ。

エンジェルハートのあらすじ、目に入っちゃいました。

おのれHulu。

ネタバレ避けようと思っていたオタクの純粋な心を何だと思っているんだ。

というテンプレのような流れをたどったことをご報告しておきます。

友人の「『獠と香幸せになって』は全人類の願いだから」という言葉を糧に、強く生きたいと思います。

「獠のプロポーズ」でマジ泣きした獠香過激派より。

現場からは以上です。

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

最後までお読みくださりありがとうございます。この記事が気に入ったら♡を押してくださると嬉しいです🙂SNSでのシェア、サポート等もとても励みになります。