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チョップリンの単独ライブ

松竹芸能所属のコント師・チョップリンの20周年記念単独ライブを観てきた。
https://www.shochikugeino.co.jp/talents/choppurin/

前回、チョップリンの単独ライブを観に行ったのは10年以上前。さすがに記憶がおぼろげだが、たしかオタマジャクシに扮した小林さんが「ジャクシ…ジャクシ…」と鳴いているコントがあった。それを西野さんが「ジャクシって、『弱』いに『死』ぬって感じに聞こえるわ」と突っ込んでいた。

死にかけた感じ、死にぞこないの感じ。
生きる力の弱い感じ。

どんな業界でも弱者はいる。社会の競争に勝つ者がいれば敗ける者もいる。社会の中でひっそりと生きる『弱者』から生まれるペーソスを表現させたら、チョップリンというコンビはかなりの第一人者だと思う。
(なお余談だが、『戸惑う大人』を表現させたら、アンジャッシュが第一人者だなと思ったりもしている。)

今回は、かつて観たライブよりも、いっそう人間の生(それも貧弱な)と死が直接的に描かれていると感じた。
なんせ、多かったツッコミのセリフは「(死にそうだけど)大丈夫か!?」だし、印象に残ったフレーズは「自分に期待するな」「誰の金やと思うてんねん」→「盗んだ金やろ」。そのフレーズだけ切り取っても、そこに悲しい人生が描かれていることが垣間見える。
その悲しさは変にリアルなのだが、不思議とカラッと眺めていられるのも、二人の持つ風貌や空気によるものだろうか。
コントに登場する人物の過半数がクズでゲスだったにもかかわらず、なんか生暖かく見守ってしまう。
それは、彼等のペーソス溢れる可笑しな生きざまに、観客おのおのの中にある悲しみを重ねてしまうから…かも?しれない。

松竹芸能といえば、安田大サーカスのクロちゃん、アメリカザリガニの柳原さんなど、高音でツッコむ芸人がなぜか印象に残るが、西野さんもなかなか高音である。その西野さん、ツッコみすぎて声が飛んでいた。小林さんに比べて消費カロリーが多そうだなと思った瞬間である。

20周年であったが、華やかな感じがないのがチョップリンらしい。この先もこんな感じで濃い笑いを生み出し続けて頂きたいコンビ。

ちなみに、今回の単独ライブはDVD化されるそうな。

ちょっと気になる方はぜひ。いろいろヒドいのでお楽しみに。

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