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6年フルコミットした教育事業からフルピボットした話

スタートアップはピボットをして当たり前、と思ってはいましたが、何事も自分ごとになると辛いものですね。

私は6年間全身全霊でフルコミットした教育事業から、「生成AI x EC領域」へドーンと大きくピボットしました。その苦しみの過程を書いたこのNoteが「この事業は伸びないと分かっているんだけど、今までやってきたしピボットできない😭」という誰かの背中を押す一助になれば幸いです。

まさにこんな感じ

なぜ教育事業で起業したのか

少しさかのぼり、、、
起業家になりたいと思ったのは、中学2年生のころでした。「あーこれまでの人生があと5回繰りされたら死ぬんだ」と日々憂鬱な広島の田舎の中学生にとって、ある日手にとって読んだ孫正義の伝記はあまりに刺激的でした。

そして、起業家になるためには、「孫さんみたいにビジネスの本場のアメリカでビジネスを学ぶのがいいに違いない!」と、短絡的な私は思い、広島の片田舎から両親の反対を押し切りアメリカの大学へ進学しました。

今思うと、そこでリベラルアーツの大学を選択したのは正解でした。ビジネスを学ぶぞ!と息巻いていったはいいものの、その学びがあまりに面白くなく、「何を成し遂げるために起業するか」という軸で様々な授業に参加し、モラトリアムを謳歌することができました。

「こんなに色んな授業取りまくれるシステムすごいな」というところから教育のシステムや(専攻した)発達・教育心理学に興味を持っていきました。そして、自然と日本の教育システムをもっと良くするにはどうすればいいのだろう、と思考を巡らせるようになっていました。
在学中に経験した文科省大臣官房のインターンなどは、日本の仕組みに見るには非常に良い経験でした。この時期から今の社名の由来でもある「情熱と才能が出会い、活躍する社会を創造する」という起業家としてのビジョンを持ち、行動するようになりました。

卒業後何から始めよう、というところで、幸運にもとある政財界の著名な方から広島の山奥で開校する日本初の小学生向け全寮制インターナショナルスクールのプロジェクトを紹介していただき、そこに参画することとなりました。

初期の設立スタッフは私と事務局長の実質2人で、サマースクール、建築、学校申請作業などなど、一から学校を作るというプロジェクトに大きな裁量を与えていただき、開校までにあまりに濃い経験を積ませていただきました。

生徒募集のため出張したモスクワでの写真

開校と同時にチームを離れましたが、その繋がりや経験から新設のインターの設立支援にこれまで7校ほど携わらせていただきました。これを通して自分の中で一定、少数の経済的に恵まれた子どもたちに対して「情熱と才能が出会い、活躍する機会」を創出することができ、次のステップへの決心をするに至りました。

そして、次のステップとして、もっとマスに対して教育機会を変える事業をしたいと思い、起業しました。時流として、コロナ禍でオンライン教育が爆発的に普及したけど、MoocsやUdemyの修了率は5~10%ほどしかなく、消費活動が増えても学びにつながっていない、このペインがありました。これを解決しに行こう、ということで私は共同創業者と二人で事業をスタートしました。

様々な仮説検証を繰り返し、その解決策として、「ピアラーニング」を選択。課題解決型の教材を同じレベルの学習者同士が協力して解いていくことで、安価に熱狂的に学べるオンライン学習環境を作りました。

WebAssemblyなどの技術を用いたブラウザ上のPython実行環境は、つよつよなエンジニアメンバーを口説きまくり、なんとか限られた資金でTomoCodeとしてリリースすることができました。リリース後、熱狂するユーザーこれを機に転職するユーザーも生まれているような状況ができ、結果、G-STARTUPやAWS EdStartなどにも採択いただき、ありがたいことに買収の話までいただくに至りました。

リーンスタートアップ通りに検証を行った

なぜピボットしたのか

6年フルフルコミットした教育事業から離れることは、自分にとって大きな決断でした。しかし、「このプロダクトはスタートアップ方式で行くのは難しい」と判断した要因が、今後上場までのシリーズを重ねていく上で投資家の持つ2つの神話を打ち砕けそうにない、と思ったところにあります。

神話1. EdTechは失敗した

前述の通り、EdTechはコロナ禍で爆発的に伸び、大胆な投資をされました。しかし、世界的にみても成功した企業はほんの一握りであり、上場をしても株価は低迷している企業がほとんどです。オンラインが伸びたからこそ参入した事業でしたが、結果として沈んだ直後のマーケットに参入することになってしまいました。

神話2. toCはもうやり尽くされた

これはVCさんの中でも賛否が分かれるところですが、全体感としてこの神話は信じられており、直近5年ほどはSaaS等のtoB事業に多く投資が寄ってきていました。toCで成長するとしても大きい/伸びるマーケットであり、爆発したらホームランであることが前提条件であったと思います。
ただこの点について、もしかしたらうちのプロダクトでも行けたかも、と思った点が、”バイラル係数”です。ユーザーがユーザーを呼ぶバイラルの仕組みをもっと初期で検証できていれば、上場まで綺麗なJカーブを描きやすかったと思います。

#ピボットしろ おじさん

IVSで起業しろおじさんこと木下さんにお会いしたのも今回のピボットの大きなきっかけです。その時は出資には至らなかったものの、「オフィスないならうちで仕事すれば?」というお誘いをいただき、頻繁に木下さんとコミュニケーションを取らせていただける非常に恵まれた環境で事業を考えることができました。

ビビって「週一でもいいですか?」と言ったのに、結局週3くらい通ってるw

私にとっては、木下さんは#ピボットしろ おじさんだったわけですが、
ピボットを検討し始めてから、頻繁に壁打ちしていただいていると同時に、その業界に一番詳しい有名経営者やエンジェル投資家を多くご紹介いただきました。
何者でもない一起業家に、ここまでVCのパートナークラスの人がコミットくださったことが、6年間フルコミットしてきた教育業界からピボットをする最後の後押しになりました。
(逆にここまでしないと分からないのか、というくらい聞き分けの悪い起業家だったかと思います笑)

ユニコーンを作る

そもそもの話であるのですが、どんな事業領域であれ上場するほど伸びる事業を作るのは、死ぬほど難しい話なわけで、
それに加えて、二つの神話を打ち砕こうとする挑戦は、今の自分の実力を鑑みるにかなり無謀を極めたものだったのかと思います。

私は、とにかくユニコーンを作ることに集中して、事業を起こし、自分のビジョンを実現するだけの力をつける、そのためにピボットを決意しました。

ユニコーンを作る上でまず決めたいのが、領域・戦略
戦略と呼べるほどのものか分かりませんが、TomoCodeではAI/データサイエンスを学ぶプラットフォームであったこともあり、生成AI領域にはかなり詳しく、これを軸にすることを決めました。
そして、領域ですが、とにかく「大きく」「伸びる」の2点を鑑み、ECと定めました。ECは市場規模が国内22.7兆円。日本のEC化率は世界平均19.3%に大きく遅れをとり9.1%で、毎年10%成長しています。

気になるファウンダーマーケットフィットですが、EC業界でヒアリングをしまくるのがあまりに楽しく、ヒアリングをセーブしているほどこの業界キャッチアップを楽しんでいます笑
また、現在開発中のプロダクトもTomoCodeのプログラムを販売した時のペインの解決にも紐付いており、日々ワクワクしながら開発をしています。

盛大なピボットとメンバーへの説明

創業してから私は共同創業者COOと二人三脚で事業を作ってきましたし、辛い時こそ「情熱と才能が解放される社会を作るんだろ」と言い合ってきました。

そんな彼に対して、こんな説明をしないといけないことは、やはり辛いものでした。しかし、説明して5分後には次に向けての話をしてくれて、何でこんなに信頼してくれるんだ。。。と、改めて共同創業者の大切さが身に沁みました。

さらに嬉しいことに、このピボットのタイミングと同時にCTOの参画も決まりました。来週からやっていこう、と話したのに、次の日から勝手にフルコミットしている起業家精神剥き出しの人物で、まだ会って日が浅いながらも圧倒的な粘り強さをその人柄や過去のエピソードから感じています。
開発・技術面を完全に彼に任せ、仮説検証・人・金に集中できることは本当に助かりますし、何よりこの盛大なピボットで仲間が減るのではなく増えている現状に本当に感謝しています。

で、何やるの?

具体的に発表するのは、また後日Noteさせていただきますが、生成AI x ECでかつ「スイッチングコスト高く、データによるMoatを築く」という点に集中して事業を作っております。

開発中のプロダクトの一部機能を体験できるサービスを公開予定ですので、こいつ応援してやりたいな、と少しでも思っていただけましたら、以下のツイートをRTしてサービスを体験いただけますと嬉しいです!

私の決断を信じ、サポートしてくれるメンバーへの感謝が尽きません。一緒に、次の時代を作っていきましょう🔥

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