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オーディオにおける音像と音場

人は両耳で音を知覚できるので、音像定位を感じることができます。ステレオ再生やサラウンド、映画館などの音響システムはこれを積極的に利用しています。

しかしながら、実際には、スピーカーから発生した音波は、直接、知覚されるわけではなく、無響室でない限り、壁や、天井、床、空間の影響を受けた、反射波や回折波、さらには機械的共振により縦波と横波のモード変換なども織り交ぜながら、リスナー自身の身体形状の影響も受けた上で左右の耳に届きます。

ステレオ再生の場合、左右のスピーカーから出た直接波だけが正確に両耳に届くのが理想で、いわゆるニアフィールドモニタはこれを追求しています。

また、イヤホンやヘッドホンはこれを更に進めたものと考えられますが、スピーカー再生を前提としたステレオ録音をイヤホンで再生すると、音像が両耳の間、つまりリスナーの頭の中で鳴っているように感じられるため、違和感となります。これを解消しようとするとバイノーラル録音や頭部伝達関数(HRTF)に相当する信号処理を行うのが一般的です。

スピーカーから発生する音にも、縦波成分(スピーカーユニットから発生する空気を媒質とする成分)と横波成分(筐体などの固体を媒質とする振動成分)があるため、理想的なモデルとは大きく異なります。

スピーカーから出た音が筐体で回折したり、壁、床、天井に反射して届く際に、定在波になったり、様々な干渉を起こしながら、両耳に届くため、録音されていない音が付加された形で、リスナーは音像や定位を感じていることになります。

反射波があれば、そこに音像があるように感じますし、回折でスピーカーの正面以外の方向に音波が進めば、それによるゴーストも発生します。

というわけで、これらの付帯音を機械的に制御しようとすると、ルームチューニングに行き着くわけですが、通常は、残響の制御が中心となります。

一方で、非常に興味深い、空間系のオーディオアクセサリーも出てきています。

いわゆるオカルトとして一蹴する向きもあるとは思いますが、変化が知覚できる以上、そこには説明可能な理論的モデルが存在していると考えます。
また、再現性があるから製品を開発できているということだと思います。

オーディオ沼は深いですが、きちんと理論と実践を積み重ねることで、一定の理解には到達できると考えています。

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