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一瞬以上一生未満

煙みたいなもの。そう思ってなにか かなしい。実はさみしいのか、ほんとにかなしいのか、ほんとはうれしいのかはよく分からない。煙みたい。毎日も、そこで生まれる思いも、やりとりも、関わりも。目立たなくてもふわっと生まれて、伸びて、とけて、見えなくなってゆく。

明日が今日になった頃、わたしの気もちはまた変わっているかもしれない。掬い取っても きょうかぎりの煙。

友人の結婚式をふたつ通りすぎて、出会いについて考える。人が生きていること、死んでいくことをいつも意識して、人生について考える。ささやかな瞬間ひとつひとつが大きな世界への入り口にもなるように、わたしの思いは飛躍する。

とおくを見すぎないでいる自分の人生と、ここから見える、いろんな場所ですれ違うだれかの人生。
おたがいの持つ数十年。うっかり重なる。いくつかことばを交わす。知っているだれかとの別れの前には、知らなかっただれかとの出会いがある。一瞬をたくさん持つ。積み上げて、重ねて、広げてもゆける。好きになって、きらいになって、興味をもって、無関心のままで、近づいて、そのままの位置で、距離をとる。いくつもの関わり方がある。

あの人と出会わなかった過去も考えられるし、あの人と出会う未来も考えられる。けれども、今 は ひとつだけ。主人公どうしは、交わらないままだったり、お別れをしたり、出会い直したりする。

おなじとこに生きて、空気を吸って息をする。
ことばを交わしてはさよならを言う。そんな私たちはどんなふうに知り合ってきたんだろう。これから出会うかもしれない誰かが数えきれないほど存在してるこの場所から、私たちはどんなふうに知り合ってゆくんだろう。
そうして一緒に楽しい瞬間をつくったり、時間をともにするようになったりするふしぎを思う。

そうかもしれない煙だらけ。どこまでも もやもやとふわふわとしている。いとしい、恋しい、うれしい、相手や、時間や、つながりのゆらゆら。同じ世界で一緒に べつべつの毎日にゆられる。煙たち。

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