hole
昨日見つけられなかったピアスを探しながら
正しい生き方を探していた
Gメジャーセブンスのコードが思い出せず
逆さまに吊るされた霞草を見ていた
金と銀の粒が向こう側へやってくる
間違った生き方のまま穴を塞いだ
キルティングのほつれた糸と
あらわになったピンホール
いくつかの属性の中で正しい解釈を探していた
銀ではなくプラチナであって
金と言うよりかはゴールドみたいだった
ヘタレたフェイクレザーのソファの狭間には
違うものが散らばっていて
探してもらうこともされないまま
思い出してもらうこともされないまま
枯れた花びらがサイクロンに吸い込まれる
中指を2本目の弦に乗せ
人差し指で1番小さな弦に触れる
小指を真ん中の耳にゆっくり差し込み
そっと塞いだ
正しい響きはこの部屋のどこかにありそう
昨日失った直径2mmのプラチナみたいな
芝生の上の積み重ねられた石が斜め右へゆっくり動く
水たまりみたいなサウンドホールをお腹の上で抱え
画鋲で開けたピンホールを二つの指でおさえ
芝生に広げたキルティングで大きなサイクロンを覆って
誰も探してくれない迷いの花びらが
空へ昇るように落ちていけば
間違った解釈が螺旋を描きくるくると
暗い深い長い無音が響くピンホールへ
積み重ねられた石を避け
探しものを拾いに
千年いくばくかの光の穴へ堕ちていく
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