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D2Cにおけるエモさをエモくなく考えてみる。

海外サービスなんかを見ているなかで、エモさや共感というものについて色々考える機会があり、連休を利用して自分の考えを備忘録的に残す目的でnoteにしてみた。(ので、他にも色々な考え方がありそう。)

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D2Cの本質って?

いわゆるD2C(定義はどうでも良いけど)の本質について、
・既存製品と原価が変わらないが販売価格は半分程度
・むしろ原価は高いが既存商品よりも安価(自社マージンも大きい)
ということかと考えている。

AWAYやEverlaneなどは確かに良い商品ではあるけれど、例えばAWYAがRImowaと同価格帯だったらここまで大きくなっていなかったんじゃないか。実際に、ファウンダーのJen Rubioも、自分のスーツケースがぶっ壊れたときに、すごく高くて品質の良さそうなものか、激安のものしかなかった、と言っている。激安のものは安かろう悪かろう、と考えられるが、ちょうどよい価格帯にちょうどよい品質のものを提供している。

This luggage concept was one of the things I’d been thinking about, and I was coming home from Davos and my luggage broke. I had the most terrible luggage shopping experience at Zurich Airport. I was like, This is unreal. I had never experienced a place where you could buy a $500 or a $40 bag and they’d be sold next to each other with no discernible difference. 
-Jen Rubio

BrandlessもWholeFoodよりも20%安い、とかだったらそれほど話題になっていなくて、3ドル均一(なかにはちょっと高いものとかもあるけど)だからこれほどまでにインパクトを与えたんじゃないかと思う。

一つの考え方ではあるけれど、直販やソーシャル活用による価格破壊、ってのが肝なんじゃないかと思っている。

つまり、
・卸事業者や小売事業者のマージンが大きめ
・もしくは、マーケに莫大な費用がかかる
領域において、直販&効率的なマーケ、を実現することによって、コストを削減し、既存商品よりも安価に商品を提供するのが本質なんじゃないか。

化粧品や健康食品のような流通マージンやマーケ費用が大きい領域において、ECに特化して定期購入を活用しつつ、大きな売上を実現している企業が多いのは納得感がある。逆に言うと、流通マージンが大きくなく、ブランディングのためのマーケ規模が大きくない領域ではこういった価格破壊的な参入はしにくいとも言える。

D2Cにおけるエモさとは?

一方で、いわゆるD2Cには創業ストーリーやエモいストーリーがあって、それによって共感を生んで、強いブランドを築いているという面もある。

既存の大手企業ではなく、スタートアップが独自のブランドを築けるのはユーザーとの共感によるところが大きい。先程のAWAYのファウンダーの話もそうで、誰しも(空港でスーツケースが壊れた経験があれば、、)、AWAYのコンセプトに共感できる。実際にエモさや共感はD2Cブランドにとって大きな意味がある。高価なメガネを飛行機に忘れたことがあればWarbyParkerに共感するかも知れない。めちゃくちゃ高いトマトソースを買ったことがあればBrandlessに共感できる。これは入り口で、”そうそう、メガネって高いんだよね。なくしたときショックだったわ”→”えっ、こうゆう理由でメガネって高かったんだ”→”WPはこうゆうモデルだから品質は変わらないけど安いのね”、という感じで共感が大きくなる。

共感はD2Cブランドにとってどのような役割を果たしているのか。収益を上げていくことを考えると、D2Cブランドにとって共感により実現できることは大きく2つあるのではないか。

1つめは、ブランディングのためのマーケ費用を小さくできること。
領域にもよるが、既存企業はマス広告や小売店へのリベートなどによってブランディングを行ってきた。効果測定が難しいが、それ以上に投資をやめることも難しい領域で、ブランディングには多くの投資がされている。(それ自体は全く悪いことではない。)
一方で、スタートアップはブランディングに大きな広告費を(創業当初から)使うことができない。その代わりに、既存商品では満たされていないニーズや、そのニーズからくる創業ストーリーによって共感を生むことができる。
つまり、これまで大きな投資が必要であったブランディングを共感やストーリーによってレバレッジすることができる。ただし、共感やストーリーを"利用"しようと考えてはいけないと思う。それであれば既存企業もできてしまう。実際に会社を作ってまで創業者がその事業やサービスを行う理由や実現したいことこそが共感を生む。
つまり、共感は"結果として"マーケコストを下げる。それによって、既存商品よりもコストが下がり、より安価に商品を提供することができるようになる。

2つ目は、共感により商品そのものの価値を上げることができること。
必ずしも既存商品と比較して安価に提供する必要はない。既存商品よりも価値の高い商品であれば。
冒頭のツイートにあるKUIUの公表している図をよく見てみると面白い。COST(おそらく原価)はLEADING COMPETITORSよりも高いが、FINAL PRRICEつまり販売価格は安くなっている。また、”MARGINもLEADING COMPETITORSよりも大きくなっている”。これは、価値の高いものを提供しているのだから、MARGINも高くて当然という考え方が元になっているのではないか。実際に商品原価も高い。

つまり、共感は"結果として"商品価値を上げる。それによって、既存商品よりも"相対的に”商品が安価になる。

つまり、この図のように、共感によって商品価値を上げつつ、ブランディングのための費用が下がり、既存商品よりも安価なのにもかかわらず、収益は大きくなる、というのが理想的な形ということになる。

もちろん、この価格とコストのバランス、共感がどこに効くか、などについては業界や企業によって全く異なると思われる。

より商品選択に感情的な側面が大きな商品は共感による価値向上幅が大きそうだし、既存チャネルの力が大きかったり、ブランディングに大きな投資がされている領域は、共感によるブランディング費用減のインパクトが大きそう。こういった力関係や背景を理解できると、どこにレバレッジをかけるべきかクリアになりそうだ。



もともとコンサルバックグラウンドということもあり、ロジックで物事を整理してしまってしまう性分なのだけど、エモさみたいなものをロジックで考えようとしてしまった事自体がエモく無いのではないかというのが今回の反省。。






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