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【エリザベス女王杯予想】M体質、女王様にひざまずく

エリザベス女王杯とくれば、当然、女王陛下を指す。来日を記念して創られたレースであり、その前提に異論はない。それを承知で、女王という言葉にむず痒さを感じる。真性のM体質にとって、どうやっても女王様にしか変換できない。そういえば、かなり若い頃の話だ。大学生のくせにコンビニ夜勤週5という恐らく、私史上もっとも労働に励んだ時期があった。実家通いの大学生が週5夜中仕事すれば、お金はどうやっても貯まる。使い切れない。今なら貯蓄に回るところだが、当時、そんな考えはない。もらった金は来月の給料日までに使い切ることしか考えなかった。

当時、何度か通った風俗店が渋谷にあった。そこには相性がいい風俗嬢がいた。何度か通ううちに、「プライベートでさ、奴隷になってくれる人、いないかなぁ」と彼女が呟いたことがあった。それはつまり、誘いなわけだが、プライベートはからっきしだった私に言葉の真意をつかむことができなかった。あの誘いに喜んで応じていたら、私はいったい、どんなM人生を送っていただろうか。

女王様にはひざまずく。それがMというもの。生涯下僕の私にエリザベス女王杯の謎が果たして解けるだろうか。はっきり言って苦手である。名探偵になれない男の不得手なレースなんて、予想するだけ無駄かもしれない。

女王ジェラルディーナが連覇をかける。昨年のこのレース以来、勝っていないのはいかにも不気味で、メジロドーベルを想起させる。ここぞの復活があっておかしくない。女王様に逆らうのは流儀とはいえないが、昨年のエリザベス女王杯はいかにも特殊な競馬だった。阪神の重馬場、芝2200mという国内でもっともタフな舞台で行われ、前半1000m通過1.00.3と厳しい流れに迷いこんだ。最後は11.8-11.9-12.3-12.2。ゴール前は凌ぎ合い。末脚は問われなかった。前で粘ったウインマリリンが次走香港ヴァーズを勝ったが、後ろからきた勝ち馬と2着同着ライラックはその後、勝利がない。

さて、今年の舞台は京都。天候の崩れがありそうだが、京都は阪神とは違い、そうタフな争いにならない。3コーナー手前の上りで無理しなければ、4コーナーの下りを味方にロングスパートすれば、最後は平坦。ゴールまで粘り込める。急坂がある阪神で早めスパートは危険だが、京都はそれが許される。京都外回りは切れ味勝負ではなく、ロングスパート勝負になる。

今年は逃げ馬がよくわからない。府中牝馬Sを逃げ切ったディヴィーナが逃げれば面白いが、前哨戦とは一転、本番で逃げられるかどうか。さらなる距離延長に強気に出るとは思えない。ディヴィーナが行かなければ、スローは間違いなし。マークは好位に集まる。ゆったり流れる京都芝2200m、ましてゴールの向こうに女王の座が見えるとなれば、上りから下りに切り替わった瞬間にレースは動きはじめる。

ロングスパートに対応し、かつ平坦を味方に粘り込める馬がいい。後ろからくる構えるジェラルディーナやライラック、サリエラより位置のアドバンテージを活かせるマリアエレーナで勝負する。オールカマーは急坂で止まって0.2差4着。ベストは明らかに平坦であり、ここは渾身のひと鞍だ。今週の最終追い切りは7ハロンから時計を出し、5ハロン64.6-50.8-36.8-11.7と調教からロングスパートを想定できた。終い重点の調教もいいが、ロングスパートより末脚強化が目的であり、想定される流れに合わない。長めから折り合い、早めにペースアップしてゴールまでしっかり追う。マリアエレーナ陣営の意図はレースに必ずや合致する。2200mの予行演習もオールカマーで万全であり、京都なら後ろをギリギリしのげる。さあ、三浦皇成騎手、念願のJRA・GⅠをつかみとる好機が巡ってきた。この手の悲願はさほど記録に注目されないときほど成就する。

もう1頭。京都、スローのエリザベス女王杯で3年連続2着したクロコスミアのように強気に行けば、ディヴィーナも勝機ありとみる。母はジェンティルドンナに勝てなかった。その雪辱を果たすチャンスは強気な競馬によって巡ってくる。みすみす見逃さないでほしい。


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