見出し画像

名探偵にはほど遠く。富士を目指して、無人の野を進む。ノースブリッジに託す

こうもまざまざと見立てと推理を間違っていては、金田一耕助ならぬ加藤武さんの警部ぐらいしか務まるまい。胃薬でも飲んで、粉まみれになるしかない。普段はデータやらなんやらを駆使するが、ここは見立てと推理と思い込みを繰り広げる場なので、ご容赦いただきたい。憧れの名探偵・金田一耕助は自身の悔いを胸にしまい、地道に事件の背景をひもとき、名推理を組み立て、それとなく犯人を暴いていく。身なりとは裏腹な品のある繊細さが魅力であり、そこに憧れる。乱暴に犯人を組み伏せるような探偵ではなく、榎木津礼二郎のような高笑いも悪くはないが、自分の性に合うのは金田一耕助だ。

今宵も名探偵にはほど遠い推理をお読みください。天皇賞(秋)は11頭立てだ。天覧競馬になることがもっと早くわかっていれば、もう少し登録数も多かったかもしれないが、近年珍しく落ち着いた数におさまった。この数で紛れを期待するのは若干不利というもの。なにせ、天皇賞(秋)はもっとも速い末脚が問われる中距離GⅠだ。秋はここから有馬記念まで徐々に末脚の速さは問われなくなる。ローテ的に3連勝は厳しいが、そこにそういった適性も加わり、さらに難しくする。そんな究極の速い脚比べでイクイノックスに敵うものはいまい。唯一、もっとも速い脚を問わない宝塚記念から来るのが不安なぐらい。この適性の揺れに苦戦する馬はこれまで多く、連勝は1988年タマモクロスまでいない。どこかでワンクッション入れて、適性の揺れを緩和するのがベストだが、そういった細かいことはイクイノックスにいらない。宝塚記念の連勝までも、競馬場も距離も適性もバラバラ国内外も関係ないとあっては、適性の揺れを問うこともあるまい。

そんな究極の速い脚勝負でドウデュースはイクイノックスに勝るだろうか。確かに対戦成績は1-1の五分。東京では負けていない。しかし、ドウデュースの歩みはやはり今回、全力疾走を期待してはいけない気もする。むしろ次ではないか。今回は様子見の部分は本当にないのか。こうも疑ってしまっては、ドウデュースに印を打つのは失礼だ。なんやかんやと並べて、最後に対抗評価というのは、ダービー馬に申し訳ない。私のことなど気にしないでくださいと申し上げる。

こうなれば、もう速い脚勝負で渡り合える馬はいない。これが結論だ。イクイノックスは私が夏休みの取材した当時も天栄の坂路を駆けあがっていた。もう順調そのものであり、あの状態が11月まで競馬を使わないなんて信じられないと思ったほど。天皇賞(秋)参戦は連覇確定的とみよう。

だから、一縷の望みを託すなら、前に踏ん張る馬しかいない。ずばり、パンサラッサを探すよりない。ジャスティンパレスがスタミナ任せにハイペースを作ると面白いが、キャラクター的にスローが好きそうで、ここで大逃げしそうもない。もう1番枠という引けない枠に入ったノースブリッジしかいないだろう。ジャックドールはコーナーがたくさんある2000mがベストで、スロー寄りの平均が理想だろうから、私が見立てるイクイノックスの対抗格とは違う。やってくれるなら、ノースブリッジと岩田康誠騎手。これしかない。出遅れたら諦める。ジャックドールを退けるためにも行くだけ行って、アドバンテージをとろう。もう最後は振り絞って、前半の貯金を使うしかない。引きつけてはおしまい。これしかない。

ノースブリッジの単勝を宝くじ気分で握り、イクイノックスとの1点でいい。印は二つでいい。これが私の見立てということ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?