見出し画像

【マチメグリ】HBPワールドツアー訪問記:名古屋水辺探検!(中川運河・堀川)(2015/12/6公開)

昔からの水辺つながりの井村美里さんのコーディネートで、初めて名古屋の水辺を案内していただいた。

スタートは名古屋港。大阪の天保山のようなウォーターフロント開発、水族館、遊園地、商業施設、展望台など。南極観測船ふじも展示されている。週末には水上バスが運行されている。ここは名古屋港の北側にあたり、もっと南側に物流基地などが広がっている。

画像1

画像2

港を出発し、中川運河に入る。服部充代さんに聞いていた「中川運河キャナルアート」の舞台だ。

名古屋港と市街地を結ぶ堀川、新堀川では物流には不十分で、大正13年に都市計画決定され、昭和5年に開通。大阪と同様、掘削した土を両岸に盛土し造成。当時は東洋一の大運河といわれたそう。

画像3

画像4


(名古屋市住宅都市局臨海開発推進室・名古屋港管理組合企画調整室「もっと知りたい中川運河」より抜粋)

中川運河には水源がない。今は中川運河は港との境界にある中川口通船門で海水より水面が低く保たれており、水質を保つために海水を入れて上流に逆流させ、東に折れて堀川の手間の松重閘門のところにあるポンプ場でくみ上げ、堀川に流しているということらしい。雨が降って中川運河に水が流れ込んで来たら、通船門からポンプで港にくみ出す、という治水システム。

画像5

(名古屋市住宅都市局臨海開発推進室・名古屋港管理組合企画調整室「もっと知りたい中川運河」より抜粋)

その治水システムのため堤防がなく、都心部の水辺にありえないほど、中川運河の水と陸が近い。これはおどろき!水も大阪と変わらない感覚で汚くない、SUPもしているようだ。

当日は、名古屋港管理組合の木村さん鎌田さん五十嵐さん、名古屋市河村さんにご案内いただいた。ありがとうございました。

画像6

画像7

中川口通船門を抜けると中川運河。水位調整してから通り抜ける。

画像8

画像9

タンカーが通る、四日市からきているらしい。沿道は倉庫利用が多い。

画像10

画像11

キャナルアートにも利用される倉庫群。運河にはみ出した草木。

画像12

腹ごしらえに初めていただくコンパルのエビフライサンド。これほんまにうまい!! http://www.konparu.co.jp/

運河は、南の名古屋港から、北は名古屋駅から歩いて10分強の旧国鉄貨物駅まで。そこは現在開発がすすめられているささしまライブ24地区。そこには船溜まりがあり、物流の一大拠点だったそう。今でも大きな倉庫が残っており、その名残を感じることができる。富山と似ているかも。港と駅周辺を結ぶ以前の物流動線の富岩運河、港のマリーナ、駅周辺の環水公園、それを結ぶ船、という構図。

http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/53-10-6-0-0-0-0-0-0-0.html

http://www.kansui-park.jp/

中川運河は河川ではなく、運河。また、おもしろいのが、両岸の一皮の敷地は名古屋市が所有し民間に借地している。管理は県と市でつくり港を管理している名古屋港管理組合が水面と陸の一皮を管理。一方、将来のまちづくりは、名古屋市住宅都市局都心開発部というところが担当。臨港地区が指定されているが、一部緩和して民間事業者を誘致したり、ささしまライブ24の再開発を進めたりしている。イギリスのCANAL&RIVERTRUSTのよう。水面利用免許やエリマネなどおもしろいことができそう。

https://canalrivertrust.org.uk/

画像13

画像14

この船溜まりが名駅からすぐ!舟運の社会実験も予定されているらしい。

中川運河の上流、名古屋駅に近いエリアで、2010年から中川運河キャナルアートは行われている。この空間を発見し、枠組みや補助も何もない中キャナルアートを実現させてしまったパワーはすごいというしかない。ぜひ今度訪れてみよう。

http://www.canal-art.org/

http://www.canal-art.org/one/mind

第1回キャナルアート実行委員長が語る中川運河とキャナルアートへの想い(服部充代さん)

中川運河を東に折れて少し進むと、松重閘門に突き当たる。ここで行きどまり。以前は、ここの閘門から船で堀川まで通り抜けできたそうだが、舟運が使われなくなり、閘門の建物は残しているが堀は埋めてしまっている。なかなか趣のある建物だ。今こそ堀川と繋がったらいいのに!と思うけど、そんなに簡単なことではないらしい。

画像15

画像16

画像17

中川運河再生計画(H24.10名古屋市・名古屋港管理組合)

http://www.city.nagoya.jp/jutakutoshi/cmsfiles/contents/0000041/41358/gaiyouban2.pdf

中川運河を再度下り、海に出て、今度は堀川をのぼる。

画像18

画像19

防潮水門を通過。ごっつい土木構造物。

画像20

画像21

川沿いに旅客船や屋形船の基地がある。

時間切れのため船は港に戻り下船。佐藤さん、丹坂さんと合流し、車で移動。堀川を車でのぼる。しかし、川沿いにいい道がなく、何度も道を曲がりながら進む。

画像22

画像23

まずは名古屋港の 跳上橋。昔の臨港鉄道の跡で船の通行を可能にするためつくられた、現存で日本最古の跳上橋だそう。今は動いていないとのことだが、橋脚の補強工事らしきものをしていた。その陸側には、今でも粉や肥料などの工場があり船で積み上げているようだ。

画像24

画像25

上流に移動し、七里の渡し(宮の渡し)は東海道の唯一の海上路で、熱田と桑名を結んでいた。常夜灯がある。干拓がすすめられる前、ここの高台から南側は全部海だったそう。最近、地域の有志でまちづくり活動が進んできているらしい。

画像26

画像27

船着場が整備されている。目の前は旧街道の赴きのある建物。すぐ隣は熱田神宮。

画像28

画像29

少し上流に上がった白鳥公園、名古屋国際会議場エリア。船着場もある。

ここから高速道路に乗り、北へ。堀川は庄内川の元杁樋門から取水して始まる。その元杁樋門まで到着!昔ながらの土木構造物が今でも使われていることにびっくり。ここから名古屋城を通り市街地の中心部を通り名古屋港へと流れていく。

画像30

画像31

庄内川からの取水口、堤体の地下部分を通る。

画像32

画像33

明治時代につくられた樋門、中は船が通行可能になっており庄内川に登るため内側にリングがついていて引っ張れるようになっているとのこと。

画像34

画像35

暗くなってきたが、堀川(この区間は黒川とも呼ぶ)の桜並木の風景。その川沿いには名古屋城堀への取水路(御用水)が埋め立てられた後にできた御用水跡街園があり、散歩の人がちらほら。

ようやく暗くなってからまちに到着。

画像36

画像37

色々川沿いを見ていると、ほとんどは川に背を向けているが、川を意識したお店がちゃんとあるではないか!

画像38

画像39

錦橋のたもとにもいい感じのチーズ屋さん。納屋橋からの絵になる風景。

画像40

画像41

昔から大阪のメンバーとも交流させていただいている、「レトロ納屋橋まちづくりの会」の活動エリア。2013年に架橋100周年を迎えた。下記のような様々な使いこなしがなされている。「なやばし夜イチ」は毎月第4金曜日に開催。以前、この川沿いのレストランに来てからお気に入りの場所。とても心地よい空間。丹坂さんの建物群と知りさすがと感心。

レトロ納屋橋100年 https://www.facebook.com/Nayabashi100/

堀川納屋橋地区河川敷地利用実行委員会(リバーウォーク利活用) http://www.nkszaidan.or.jp/horikawa-nayabashi/index.html

堀川フラワーフェスティバル http://horikawa.flower-festival.com/2014/

なやばし夜イチ https://www.facebook.com/nayabashi41/

画像42

画像43

下流には川に開いた建物と船着場。船着場には屋形船が止まって出航を待っていた。この向こうの大きな土地には市街地再開発事業でタワーマンションが建設されるらしく、大きく景色が変わりそう。

堀川 準則特区エリア(納屋橋の上流&下流部分)

http://www.city.nagoya.jp/ryokuseidoboku/cmsfiles/contents/0000033/33891/H270301zumen.pdf

とっても充実した名古屋水辺探検でした。中川運河の水と陸が近い稀有な空間や倉庫群にはポテンシャルがある!堀川の上流から下流までの色々な表情と中心部の徐々に川に開く動きを感じました。

井村さん、みなさま、ありがとうございました!

(ひで)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?