言葉ってなんだ

「わかったような顔をしないで憶えておこう」

前回までのnoteでは、吉本隆明さん・糸井重里さん共著『悪人正機』を数年ぶりに読み返してみて思ったことをいくつか申しあげましたが。

この著書では、吉本さんのことばのほかにも、「『生きる』ってなんだ?」や「『友だち』ってなんだ?」のように「『○○』ってなんだ?」というタイトルでの章の冒頭で、糸井さんが1ページの解説をなさっているのですが。

この糸井さんの解説があるからそのあとからの吉本さんのことばもすーっと読めるような気もしますし。

また、糸井さんの解説のことばが素敵、と申しあげますか。。

たとえば、「『名前』ってなんだ?」という章での糸井さんの解説を、すこし長くなりますが引用いたしますと、、

 若い人の話を聞いていると、「有名になる」ということについて、ものすごく高い価値を置いているようだ。で、そのことについての話を聞こうと考えていたのだけれど、吉本さんの興味は、もっとちがうところにあった。それが、「名前」と言うものの不思議、だったわけだ。
 この話は、ぼくにとっては難しいほうの話題になってしまった。名前の呪術(じゅじゅつ)性、といわれても「ああ、そうですね」とすぐに理解できるようなものじゃないからだ。しかし、吉本さんの話というのは、何年も経ってから「ああ、あの時のあのことは」と急にわかったりするようなことも多いから、わかったような顔をしないで憶えておこうと思った。
 有名になるについても、理由がわかりやすい有名よりも、偶然性の高い有名のほうが「宗教性」も高いという。感覚的には、とてもよくわかるんだけどなぁ。
(吉本隆明さん糸井重里さん共著『悪人正機』新潮文庫、184頁より引用です。)

‥‥とのことなのですが。。

たとえば、このなかでの「この話は、ぼくにとっては難しいほうの話題になってしまった。」や「『ああ、そうですね』とすぐに理解できるようなものじゃないからだ。」とおっしゃるのが、読んでいて、安心すると申しますか。つまり、わからないことを「わからない」みたいに言ってしまってもよい。っていうのが、よいなあと思って。

やっぱり、吉本さんのことば、むつかしいところもたくさんあるから。。。

また、

「しかし、吉本さんの話というのは、何年も経ってから『ああ、あの時のあのことは』と急にわかったりするようなことも多いから、わかったような顔をしないで憶えておこうと思った。」

のところはさ、ぼくも、そうあれたら、とかんじました。

そういえば前々回note前回noteでは、ぼくの文書が、なんか煮え切らない、的なふうに書いてしまっていた気がするんだけれども。

なんだか、その煮え切らなさは、糸井さんおっしゃるような「わかったような顔をしないで憶えておこう」ってぼくが思った、みたいなことだったんだよねえ。

とゆうのを言い訳のようにして、この「ひさしぶりに『悪人正機』を読んで」のシリーズ、おひらきにします〜。

本をひさしぶりに読み返すとあたらしい発見がある、って、よく言われますが。いくつか、そういう発見やあたらしく読めた箇所もあってよかったっす。

また、いつか『悪人正機』読み返したいなあ!!!

平成30年11月14日


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