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学ぼうとしないのはなぜか

仕事にモヤモヤはつきものである。

いい商品を決められた納期で作って
お客様に届けることで利益を得る。

仕事に対して持っている目的は
皆同じであるはずなのだが、
そのアプローチの仕方は解釈は
人によって異なるので
そこに必ず不和が生まれてしまう。

これはどうしようもないことである。

そのために日ごろからのコミュニケーションや
議論をする場をちゃんと作ることが
大切だということは理解している。

だが、私にはどうにも解せないモヤモヤが
一つある。

それはあまりに学ばない人が多いことである。

こんなことを言うと「ではお前は学んでいるのか?」と
聞き返されてしまうかもしれないが、
自分で言うのも何だが私は学んでいるほうだと
思っている。

その学びが十分足りていると
思ったことはないが、
仕事をしていると知りたいことが
無限にあふれてくるので、
その中から都度自分に必要なことを選び
日々学んでいる。

特に自分の専門技術については
社内だけではなく業界で誰よりも
精通しているぐらいでないと
自分の存在価値はないと思っているので
いつもアンテナを張るようにして
情報を自ら取りに行くようにしている。

1か月ほど前、親会社から役員が来日した。

彼は親会社の中でも製造に関わる
技術系の役員なので、
現場の視察から、月次で報告している
製造にかかわるデータについての聞き取り、
そしてこれから進めていくべき方向について
色々な会議が開催された。

私は商品開発の担当として参加し、
これからどのような方向性で進めていくかを
彼にプレゼンし、彼はフムフムとうなづきながら
話を聞いてくれ、理解を得ることができた。

だが、製造部門のプレゼンが始まったあたりから
彼は色々な指摘をし始め、
途中からは彼の説明会のような様子になった。

こうして書くと、彼は人のプレゼンを聞かずに
自分の話に持っていく悪い人のように
見えてしまうかもしれないが、決してそうではない。

なぜなら私自身もそのプレゼンの内容に対し
指摘したいことが山ほどあったからである。

親会社から日本の状況確認と今後の方針を
すり合わせるために来日しているのに
このまま自分が納得してしまうのは
自分のミッションを投げ出すことになってしまう。

その意味で彼は最初質問をしたのだが、
質問内容に対しても的外れな回答が出てきて
明らかに知識の不足が見えたので
彼は仕方なく説明をするという選択をしたのである。

では彼はどのようなことを説明していたかというと、
実は何も特別なことではない。

製造を管理する上では知っていて当然のような
理論や考え方についての話について
彼は日本の製造部門に対して説明をしていたのだ。

正直、私はこの状況を見て「恥ずかしい」と
思ってしまった。

それと同時に、なぜ製造の責任者はこのような
基本的なことを知らずに仕事をしているのか
疑問に感じ始めた。

何度も言うが、今回説明されていたことは
何も特別なことではない。

製造を管理していく中で見るべきポイントは
扱う商品の違いで差はありこそすれど、
基本的な部分は似通っているものである。

そして、その基本的な見るべきポイントを
どのように分析をするのか、どのような考え方で
管理・改善していくのかは
製造をしていく上でとても重要な部分でもある。

にもかかわらず、製造の責任者がそれを
知らなかったということは、
それを知る必要性を感じていなかったからに
他ならない。

すなわち、彼は大切なポイントを見ることなく
これまで製造を管理してきたということである。

だが、製造部門の結果は定期的に報告もされていて
レポートも上がってくるし
親会社にもその報告はなされている。

では一体なぜこのような状況に
なったかというと、
彼はそのレポートを決められたエクセルに
数字を入力して作成はしていたものの、
その数字が指し示す意味、重要性については
理解をしないまま作業をしていたのだ。

幸いなことに出てくる数字がそれほど悪くない時は
上司にしても親会社の役員にしても
その数字に対して指摘や質問をしてくることは
殆どなかったので、
彼はそのような状態でずっと報告を続けていたのだろう。

だが、自分が実際に管理している仕事で、
それに対して何かしらの数字を報告しているならば、
それを理解をしようとしないことが
私には理解ができなかった。

何だかわからないけど、こんな結果になった。
でも、ま、いっか。

とても悪く言ってしまえば、製造の責任者は
このような気持ちで仕事に向き合っていることになると
いうことになると私は思うのだ。

数字が良かったならば、なぜその数字が良いのか
いい要素が特定できたならば、それをどのように
維持していくのか、そしてそれをさらに向上させられないか
そうすることで単位時間当たりの生産性を
今よりももっと上げることができないか
それを求め続けることこそが彼らの仕事のはずである。

そして、それを求める過程で
嫌でも色んなことを学びたい、知りたいという
意欲が出てくるはずなのだ。

にもかかわらず、必要なデータを
決められたフォームで作成して提出して
それに対して何の理解も疑問も持ってこなかったのは
正直恥ずかしいことだと私は思った。

もちろん、この製造の責任者は
日ごろから何もしていないわけではない。

職場での人望も厚いし、
現場でよく起こりがちな人同士のトラブルも
冷静に対処し、解決に導くことができるので
リーダー気質としては素晴らしいものを
持っている方だと思う。

だが、学びに対する貪欲さは
正直とても乏しいし、
自分たちがどうあるべきなのか
何を目指すべきなのかというビジョンを
ハッキリと描けていないのは
正直大きな問題であると私は思う。

では私には何ができるのか。

製造の責任者に指摘をすることは
簡単であるが、
私が指摘をしたところで彼がへそを曲げて終わるのは
目に見えている。

そこで、彼の部下に対して
基本的なことを教える機会を作ることにした。

もちろん表向きはそのような研修ではなく
新商品の説明という名目であるが、
少なくとも部下からどうあるべきかという姿が
浮かび上がってくるようでなくては
この先の改善は期待できないからである。

この成果が出るかでないか
仮に出たとしてもそれがいつになるかはわからない。

だが、自分にできる事は何かを考え、
それを達成するために自分にできる事をする
それこそが私にとっての学びにもなるはずである。

少なくとも私自身は常に学ぶ姿勢を忘れてはならない。

とてもモヤモヤした出来事ではあったが
改めて自分にそう言い聞かせるいい機会になった。

ちなみに私の会社は外資系企業であるが、
製造に直接関連する部門では私の上司と私以外は
誰も英語を話そうとしない。

こんな会社で何十年も働いているのに
なぜ英語を勉強しようとしないのか
その時点で腑に落ちていないのは
ここだけの話である。

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