見出し画像

理想の上司とは何か

ずっと書きたいと思っていたのだが
書こうかどうか悩んでいた話題が一つある。

今日はその話をいよいよ書こうと思う。

なぜ私はその話をずっと書けずに悩んでいたのか。

それは自分の中で結論が出ていなかったからである。

こうしてnoteに記事を書くときには
何かしら自分の中で着地点が見つかっているネタを
書くことがほとんどである。

自分の考えはこうで、こういう結論にしようと決めて
記事を書き始めると自然と話がつながっていく。

まさにカーナビに目的地を設定するような
イメージで記事を書くのである。

だが、今日書こうと思っている話題は実はまだ
私の中で着地点が見えていない。

何となく見えている目的地だけをたよりに
ドライブに出発したのが今日の記事である。

最後にはどこにたどり着くのか私も楽しみである。

と前置きが非常に長くなったが
今日書く話題は私の前の上司についてである。

仮にAさんとしておこう。

Aさんは私の職場の元上司で、
つい先日異動で昔所属していた営業に戻った。

私は商品開発の仕事を入社以来ずっとしているが、
私が入社したときにはAさんは営業のボスだった。

何となく難しい顔をいつもしていて、
話しかけにくいオーラが漂っているAさんは
営業先ではどうなのか当時から気になっていた。

私は仕事柄顧客先に営業マンと一緒に行くことがあるが
Aさんのようなボスクラスとは行くことがなかったので
何となく私の中で彼は”とっつきにくい人”というイメージで
固定されていた。

さらに、その当時から彼の部下がAさんに対しての文句や悪口を
よく口にしていたのを私はしばしば耳にしており、
私の中のAさんのイメージはなかなかひどいものだった思う。

しかし、私はそれほどAさんと深く接することなく
ずっと仕事を続けていたのだが、
ある年に大胆な人事が発表され、Aさんと当時の私の上司が
入れ替わることになったのである。

Aさんが私の上司になり、私の元上司が営業に異動になったのだ。

勘違いされる方もいるかもしれないが
これは決してネガティブな移動ではない。

親会社が次の経営層を育てるために
営業畑と技術畑のボスを故意に入れ替えるという
思惑で実施したものである。

なので、彼らにとってもある意味栄転と言える
異動であったのは間違いない。

そして迎えたAさんが私の上司になった初日、
Aさんは新しい部下になる私達と面談をした。

個別に会議室で話をするというので、
私は正直かなり身構えていた。
なぜなら、私の中のAさんのイメージはその当時
かなり悪いものだったからである。

ところが、面談が始まると印象がゴロっと変わった。

Aさんは決して私の話を否定することもなく、
むしろ技術畑の内容はまだ疎い部分があるので、
ぜひ自分に教えるつもりで仕事をしてほしいと
言ったのである。

事前に営業マンから聞いていた話とは何だか違う。

そうしていい意味で予想と違ったAさんであったが、
それから一緒に私の上司として働く中でも
私は非常にいい上司だと思っていた。

時に思い込みで話すことはあるが、
それも論理だてて修正すればちゃんと理解して
誤りを認めてくれるし、
トラブルやミスがあった時にはちゃんと自らが
責任を取る姿勢を見せてくれる。

自分が投げかけた提案や相談に対しては
技術的なことは難しいにしても、
ちゃんと理解したうえで決議してくれる姿勢を
私は感じていた。

そして、何よりAさんは面談の際にも
ちゃんと私の課題点について指摘をしてくれた。

細かい内容ではなく、全体的に見ている中で
私が改善していくべきポイントを指摘してくれたので、
とてもその指摘をもとに行動を改めやすかったし
私自身成長につながったと自負していた。

Aさんが着任して2年が経過したころには
私は過去にずっと聞かされてきたAさんの評判など
完全に忘れてしまっていた。

そんなある日、営業のメンバーと顧客先に
訪問することになった。

その営業マンNさんは私よりも少し上の営業課長である。

出先に向かう車の中で色々と雑談をしていると
ふと話題がAさんの話になった。

NさんはAさんが私の上司になって、
私がとてもストレスを感じているのではないかと
半ば決めつけているような口調で話をしてきた。

とはいえ、私はAさんに対して何の不満もなければ
上司に対するストレスは感じていない。

Nさんの話をあまり露骨に否定するのもはばかられるので
それとなく、私はストレスを感じていないこと、
そしてAさんに対して特に不満がないことを
話の中におり込んで回答した。

するとNさんは驚いた表情になり、
「〇〇君(私の苗字)は聖人君子か何かなん?」と
聞いてきた。

一体なぜ彼らはそんなにAさんに反発するのだろうか。
私はかつて抱えていた疑問が再び頭に渦巻きだした。

そう思いながら車中で話を続けていると
Nさんが私の元上司の話をし始めた。

私の元上司はずっと技術畑を歩んできた人なので
営業に異動になってから苦戦していると聞いていたが、
元来技術で数字をよく扱う人だったので、
営業のマネジメントにもそのスキルを使って
色々と変えていることは聞いていた。

きっとその変化によるいい影響の話が出るのかと
思っていると、
Nさんの口から出てきたのは元上司に対する
罵詈雑言であった。

具体的な批判内容は大半を聞き流してしまったので
あまり覚えていないが、
営業部の責任者としてできていないことの話や、
彼らから見れば必要のないところにばかりエネルギーを
割いているという話であった気がする。

だが、私はその元上司が自分の上司だった頃に
大きな不満を感じたことは一度もなかった。

私が思うようにやれるよう、いつもサポートしてくれたし
私の報告が少ない中でも、的確に状況を理解してくれるので
余計な時間を使うことなくスムーズに仕事ができた。

そんな自分の元上司がなぜか悪く言われるのが
私には不思議でならなかったし、
そんな話を聞くのが何よりも私にとってストレスであった。

それから以降もNさん以外の営業マンと
外出する機会が何度もあったのだが、
他の営業マンも同じように私の元上司の
不満を述べるばかりであった。

そうしてさらに数年が経ったとき
親会社が彼らをもとの部署に戻す人事を発表した。

元に戻る人事の際には当然ながらあまり混乱はない。

だが、その人事を聞いたとき私は正直に寂しいと感じた。

Aさんともう一緒に仕事をする機会が無くなるからである。

この数年間でAさんと色々な課題を乗り越えてきて、
その度にAさんは私の背中を押してくれた。

そして、その感謝の気持ちを素直に伝えたいと私は思った。

Aさんが異動になる数日前にこのことを、同僚に話すと
その同僚も同じことを感じていたらしく、
少人数だけでAさんに対して贈り物をしようということになった。

大した金額にはならないが、感謝の気持ちは
形あるもので伝えたいと思ったからである。

Aさんに対してアンチな人もいるので
ダミーの会議を設定して、会議室で私達はAさんに
その贈り物を渡した。

こういう時に素直な気持ちを伝えるのはなかなか難しく
私は思っていた気持ちの半分も口には出せなかったが、
私なりに感謝の気持ちは伝えられた。

こうして振り返ってみると、
私はこの上司の異動であることを教えられた気がしている。

それは、上司を活かすも殺すも部下次第と言うことである。

確かにどうにも手が付けられない上司は世の中に
一定数いることは否定しないが、
上司はだれしも完璧ではない。

その上司に合ったやり方があるだろうし、
それに部下は上手く合わせながらも、
いい落としどころを見つけていかなくてはならないのだ。

私の印象だけではあるが、
営業部の人たちはこのことが上手くできず、
自分が思い描くスタイルとは違う上司たちに
不満ばかりを抱え、反発していた。

これでは上司がいくら有能であろうとも
その能力が活かされるはずがない。

もちろん、その辺りも上手くコントロールするのが
上司の役目なのではあろうが、
部下たちが否定的な考えばかりもっていたのでは
それもうまく進まないだろう。

私自身比較的上司とはこうあるべきという
イメージがなかったのが功を奏したのかもしれないが、
私は実に上司に恵まれていると思っている。

これからも元上司の良いところをうまく
活用させて頂いて、仕事で成果を出していきたいと思う。

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?