見出し画像

保育園の発表会でふと感じた違和感

昨日は娘の保育園の発表会があった。

娘は年長さんなので今年がラスト。
見に行かないという選択肢はない。

平日での開催なので参加しやすいように
木曜日と金曜日の両日開催にしてくれて
木曜日は妻、金曜日は私が行くことにした。

発表会の内容はピアニア演奏と劇の披露。

毎年ずっと思っていたが、
どうやってこんな難しい曲を子供たちに
完璧にマスターさせるのかナゾなほど
上手にピアニカを演奏する子供たち。

演奏を終えて誇らしげな表情をする娘を見ていると
不覚にもウルっときそうになる。

そんなピアニカ演奏が終わり、
次は劇が始まった。

今年の演目はシンデレラ。

子供でも一度は必ず見たことのある名作で
我が家の娘はディズニーのDVDで
過去から何度も見ている作品である。

通常劇をするとなると、誰が何の役をするかで
不公平が生じてしまうのだが、
我が家の子供たちが通った保育園は
それがないように、次々と皆が色んな役で
登場することになっている。

なので娘は最初シンデレラとして出てきた後、
イジワルをするお姉さま(アナスタシア)になり、
その後シンデレラに魔法をかける魔女として
登場した。

娘を含め子供たちの熱演に頬を緩めながら
劇を見ていたのだが、
なぜだか私の中でモヤモヤとした違和感が
霧のように広がっているのを感じた。

このモヤモヤの正体はなにかというと
先日記事で紹介したミソジニーと
シンデレラの話の内容についてである。

詳細についてはこの本についてshogoさんが書かれた
こちらの記事を参照頂けると
とてもよくわかると思うが、

ミソジニーとはとても平たい言葉で言うなら
女性蔑視の感覚を指す言葉である。

私達は何気なく生活する中でも知らず知らずのうちに
ミソジニーを抱えていることに
下記の本を読んで私は気づかされた。

本書の中に書かれていて私が
とても印象に残った部分がある。

それは今の天皇陛下である徳仁様が皇后雅子様に
プロポーズしたときの言葉
雅子さんのことは僕が一生、全力でお守りしますから
というのはまさに
「女性は男性に守られるべきもの」
というミソジニーからくる言葉だと書かれていた
部分である。

恐らくではあるがミソジニーという
概念を知る前の私であれば
この陛下の言葉を聞いても何の違和感も
持つことはなかったであろうし、
何ならとても好意的に受け取っていたであろう。

だが、ミソジニーについて知ってから
その受け取り方に変化が生じたのも事実である。

そして、今回娘たちが演じている
シンデレラの話をその前提で見てみると
まさにミソジニーが前面に押し出された世界が
舞台になっている話なのだ。

父親が亡くなりその庇護が無くなった
主人公シンデレラは
召使の様に家事を押し付けられる。

シンデレラの話では押し付けるほうも女性なので
一見するとミソジニーとは関係がなさそうに見えるが
押し付ける継母も姉たちも明らかに
男性的な描かれ方をしているのである。

女性でありながら、彼女らはシンデレラを
蔑視する対象としており、
そしてそのシンデレラは美しく
いわゆる女性らしさをまとっている。

そして、王子様が結婚相手を探す舞踏会を
開催するとなれば
シンデレラや姉たちは王子様に見初めてもらい
結婚したいと願う。

ご存じのように最終的には
シンデレラは王子様と結ばれてハッピーエンドに
なるのだが、
ミソジニーという概念を知り、
それに対する違和感を一度持ってしまった私からすれば
決してこの話はハッピーエンドのようには
見えなかったのである。

むしろ、極論するならば
このお話はミソジニーを子供たちに刷り込むための
お話のようにすら私には見えてしまったのだ。

自分に娘が生まれて初めて知ったが
多くの女の子は驚くほどディズニーの
プリンセスに憧れる。

中にはムーランのような
女性らしさに立ち向かうキャラクターも
いないわけではないが、
思い返してみると子供たちが憧れるプリンセスの話は
どれも基本的にミソジニーが前提に
成り立っているものなのである。

もちろんだからといって、これらの話が
子供たちにミソジニーを定着させたというのは
短絡的すぎる気もするが、
女性にとって男性に守られることが幸せという
価値観を子供たちに与える機会となったことは
間違いがないだろう。

心にモヤモヤは残るものの
子供たちの熱演に拍手を送り、
私は娘をそのまま家に連れ帰った。

珍しく平日の午後を娘と一緒に
過ごす機会となったが、
学校から帰ってきた息子といつものように
喧嘩をする姿を見て
何だか微笑ましい気がした。

別にシンデレラも結婚した後に
王子様と喧嘩ぐらいすることはあるだろうが
娘はシンデレラの様にならないで欲しいと
思う私であった。

ちなみにシンデレラも白雪姫も
一番の失敗はお父さんが再婚相手の
見極めを大きく誤ったことだと私は思っている。

ぜひ両方のお話でお父さんが彼女らと
再婚するに至った話を
映像化してほしいと思うのは
私だけではないだろう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?