しごとのついでじゃなくて、 (22/40)

たまに出張にいくことがある。
あたりまえだけど、出張は仕事だ。
だけど、なんだか出張は遠足気分でもある。

それは、いつも自転車通勤だから、かもしれない。
電車にのるだけでも、いつもの日常をとびだした感じがする。
だけど、それだけが、遠足気分になる理由じゃないような気がする。
電車にのるだけでワクワクするほど、もう子どもじゃないからだ。

あたりまえだけど、出張は仕事だ。
目的があって、会う人がいて、要件がある。
だけど、その要件の前後に、遠足気分を味わうためのポイントがあるような気がする。


このまえ、大阪の堺市に出張にいってきた。
ちょうど、古墳群が世界遺産にきまったとこだった。
なんというめぐりあわせ! これは、古墳巡りをせよ! と言われているのと同じではないか!! ということで、約束の時間よりすこし前に堺市にむかうことにした。
三国ヶ丘駅を出てすこし歩くと、柵のむこうにお堀があって、そのむこうに森が見えてくる。

はじめて見た古墳に、すこし感動する。
その古墳のお堀と住宅街のあいだにきれいに整備された道がつづいている。
歩けども歩けども、こんもりした森の光景はかわらない。
しばらくすると、飽きと疲れがすぐにやってきた。

そういえば約束の時間まで、あと1時間。
このまま歩いて間に合うだろうか?
不安になってくる。
あくまでも出張がメインで、古墳巡りはオマケみたいなもんだ。
そんなオマケのせいで、メインをおろそかにするわけにはいかない。

グーグルマップをひらいて調べてみる。
このまま古墳の外周を歩いていくと、約束の時間に間に合わないこと判明する。
古墳巡りをしていて遅れましたなんて言えるわけがない‥‥。
あせる。グーグルマップをみる。

ちょうど、観光センターみたいなところがあって、電動自転車を借りることができた。
たすかった。

歩けばつまらない風景も、自転車で風をうけながら古墳群を通り抜けると、気分はそうかいだ。
そして、メインである約束の場所、堺東駅前に5分前にはつくことができた。


あとでわかったことだが、わたしが歩いていた古墳は仁徳天皇百舌鳥耳原中原陵(にんとくてんのうもずのみみはらのなかのみささぎ)と言って、日本最大の古墳だったようだ。
全周は3キロ弱。歩くのはそもそも無謀だった。

なんの前情報も持ち合わせてなければ、世界遺産もただのこんもりした森や丘にしか目に映らないことだけはわかった。
そして、オマケに気をとられすぎていると大変なことになることも身をもって知った。

そんなこんなで、本来の目的である出張も無事におえて、スリリングな遠足もたのしんで帰路についた、という1日だった。


思いかえせば、東京出張のときはたいていというか、ほぼ美術館に行っている。
大阪のときはお気に入りのスパイスカレー屋さんへ。
九州だったら豚骨ラーメンと温泉はマストだったり‥‥出張のついでに必ずなにかやっている。
あくまでも出張がメインなんだけど、オマケはいつもセットだ。
遠足気分の正体は、言うまでもなくオマケの存在だった。


あたりまえだけど、出張は仕事だ。
メインが仕事で、オマケはあそび、とも言える。
でも、ほんとうにそうだろうか?

仕事は仕事としてちゃんとやっているけど、わたしの人生をよりよくしてくれるのは、オマケでもあったりしないだろうか?
むしろ、オマケの方が人生にとってはメインだったりすることはないだろうか?

メインとオマケを逆転させてみる。
仕事のついでのあそびも、「あそびのついでに仕事」なんてことになる。
こんなことを書くと、なんとフマジメに仕事をしているのかと軽蔑されそうだけど、ほんとうのことでもあるからしかたがない。

「あそび」という表現がイマイチなんだったら、「あそび=よりよくいきる」とすれば、どうだろうか?

「仕事のついでによりよくいきる」というよりも、「よりよくいきるついでに仕事がある」と、かんがえたほうがスッキリしないだろうか?
仕事の責任はもちろん果たすんだけど、べつに仕事のために生きているわけではないんだから。

そんなへりくつばっかり言ってとお叱りをうけるのは覚悟のうえ、さいごにもういちど言ってみようとおもう。

あたりまえだけど、出張は仕事だ。
だけど、仕事のついでの遠足は、人生をゆたかにしてくれる。
だから、仕事のついでにあそぶんじゃない。
じつは、あそぶついでに仕事をしているだ!

って、はんぶん冗談で、はんぶん本気のことを書いてみた。
仕事もあそびも優劣なんかなくて、よりよく生きるための選択肢ですよね、と逃げ道もつくっておこう。

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小西秀和

アートとカレーがすき。 福祉のお仕事しています。 noteでアウトプットの練習中。
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