「スズメバチの黄色」のスピード感の要素を分解する (1/2)

WARNING!!
これは「スズメバチの黄色」のネタバレを含んでいます。読後の感想として読んでください。

「スズメバチの黄色」は「読む映画」と形容されるほどスピード感に優れている。本コラムでは、このスピード感を生んでいる要因について考えていく。

役割がかぶる人物を登場させない【流暢さ1】

小説メディアは画面の情報量が少ないために個人の区別を字面でつけにくいことがスピード感を損なう要因になっ

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ニンジャスレイヤーでニンジャネームを名乗りあう意味

ニンジャスレイヤーという作品は、パルプ小説として気軽にパッと読めるような工夫がそこかしこになされている。その中の一つが戦闘開始時に互いにニンジャネームを名乗りあうという作中のルールである。

ニンジャどうしのアイサツというルールは、一見するとある種のトンチキさを醸す要因になっているが、少し読み進めると読みやすさを確保するためのメタ的なギミックだとわかる。

1. 登場直後に固有名詞が与えられる

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グアテマラ クラシックマヤ

早川コーヒーが被災して在庫がなかった時に、残っていた数少ないシングルオリジン銘柄として買ったもの。やはりグアテマラは日本人好みで安心感がある……と思っていた。その時は。

普通に焙煎してみると、驚くほどに「普通のコーヒー豆」の味がする。確かに煎りたて、挽きたてなのだが、これはスーパーのパック売りを買ってきたのかな?というような香りがする。なんだこれは?

これはどうしたものかと思い浅煎りにしたが、

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「素材の味」論の源流の一人、北大路魯山人

北大路魯山人の主張は、「素材の味を生かせ」「素材は基本的に鮮度が大事」「見た目も料理の一部」といった言説の源流の一つになっている。この潮流はヌーヴェル・キュイジーヌでも重要な要素になっており、魯山人はその潮流の先駆けでもあるので、その先見性を示した(あるいは料理を無駄にうるさくした)言説を青空文庫からピックアップする。

基礎観念

もともと美味いものは、どうしても材料によるので、材料が悪ければ、

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チート展開小説の系譜

典型的イメージとしての異世界チートもの

近年、「テンプレラノベ」「異世界転生もの」「なろう系」(Web小説サイト「小説家になろう」にちなむ命名)という呼び方である種の小説作品が総称されることがある。これらの呼び方は、安易でご都合主義といった非難する意味合いを持たされることが多く、おおむね以下のような特徴を持つ作品がそのように総称される。

1. 現代でうだつの上がらなかった主人公が
2. 異世界

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メキシコ クステペック農園(と“グリーンコーヒー”について)

世の中、【健康と美容】というお題目が付くと珍妙なものがもてはやされていることがままある。コーヒーも例外ではなく、なにやらコーヒーの生豆をそのまま煎じて飲むという「グリーンコーヒー」なるものが存在するらしい。曰く、コーヒー生豆には入っているクロロゲン酸は加熱により失われるので生のまま取らなければならないそうだ。

コーヒーに少し知識がある方ならご存知と思うが、コーヒーらしい風味はコーヒー豆を焙煎する

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