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ロールモデルから学ぶ、自分なりのキャリアデザイン - Healthtech Women Japan

米国初のヘルステックコミュニティのHealthtech Women Japanでは、毎月のスピーカーイベントを通して、「グローバル」「女性の活躍」「イノベーション」をキーワードに、様々なバックグラウンドの女性が集まり、交流し、知識を深める場所を提供しています。

SUMMARY

Healthtech Women Japanは8/25(土)、第10回を記念するイベントとして、President of Uber Eats Japan 武藤氏ニューロスペース香山氏田辺三菱製薬フューチャーデザイン部木野ゆりか博士、AM Strategy代表の松井綾香氏の4名をお迎えし、ライフステージに合わせたキャリアデザインのヒントについてお伺いしました。

日本と海外のテクノロジー企業における、女性の就業環境

Healthtech Women Japanの吉澤美弥子より、導入として日本と先進諸外国の女性の就業環境についてご紹介しました。

日本国内の女性の就業率は60%超え、上昇傾向にあります。特にこれまで著しく就業率が下がっていた20代後半〜30代後半の女性の就業率が、約40年前の43%に比べて、80%までに大きく改善しています。

日本国内の女性の就業率が上昇している一方、他の先進国と比較するとまだ成長余地があります。特にカナダ、フランス、スウェーデンでは80%を超えています。また、日本や韓国では、出産・育児のタイミングと考えられる20代後半〜40代にかけて女性の就業率が著しく下がっているという傾向があります。

管理職や役員の女性比率は非常に少ないのが現状です。2014年時点では女性管理職比率がアメリカが最高値で40%を超えているのに対し、日本は15%でした。しかし、2015年以降急速な改善も見られており、2017年には30%を超えたと言われています。

TechCrunchによると、女性創業者によって立ち上がったスタートアップ数は、2009年から2016年にかけて5倍に成長しています(176社→932社)
その一方で、スタートアップ全体に対する女性創業者による起業の割合自体は、2009年から2012年にかけて8%近く増加した後、2012年〜2017年は例年17%のほぼ横ばい状態です。

2016年に女性起業家による企業が行った、ベンチャーキャピタルからの調達総額は、全調達金額のうちの1.9%に過ぎません。その内訳は、教育業界(32%)、EC(31%)、ヘルスケア(21%)、メディア・エンタメ(21%)です。 また過去の女性起業家による全調達事例のうち、調達金額が最も大きい10社を見ても医療・ヘルスケア領域が多いことがわかります。

このように女性の就業率は上がっている中で、まだまだ管理職や起業家の数はこれから伸びていくのでしょうか。その数を増やすこと自体がゴールではなく、Healthtech Womenの活動としては、女性が様々な選択肢を持つことができ、さらに自分でやりたいと思ったことが実現できるようサポートしていきたいと考えています。

キャリアデザインとは

そもそもキャリアとは何でしょうか。
「キャリア」の語源は、英語の馬車「carriage」の轍(わだち)です。長い道のりを来て振り返ると、そこにはそれまで自分の馬車が刻み続けて来た轍が残されているように、キャリアという言葉は人がたどる足跡や経歴なども意味するようになったと言われています。

現代における「キャリア」とは、一般に「経歴」、「経験」、「関連した職務の連鎖」と表現されます。これは、時間的持続性ないし継続性を持った概念です。そう考えてみると、小さい頃はよく「将来何になりたい?」と聞かれた覚えがありますが、だんだん大人になると「何」になりたいというタイトルやゴールというよりも、「こんな人になりたい」「こんなことをやりたい」「こんな風に働きたい」といったように、キャリアとは「仕事を通じて様々な経験やスキルを得ていくプロセス」なんですね。

ではそのキャリア、つまり「経験やスキルを得ていくプロセス」をデザインするとはどういったことなのでしょうか。

現在の自分の経験やスキル、性格、ライフスタイルなどを考慮した上で、実際の労働市場の状況なども勘案しながら、仕事を通じて実現したい将来像やそれに近づくプロセスを明確にすること。自分の職業人生を自らの手で主体的に構想・設計=デザインすることです。実際には、転職や職務の異動、職務内容のさらなる高度化などを図ることがアクションに当たります。

キャリアデザインをするにあたり、近年日本でも加速する環境の変化に目を向けてみましょう:

“新卒一括採用・終身雇用・年功序列”の終焉
“転職”の一般化
“女性”の社会進出
“働き方改革”などより自由でフレキシブルな働き方の推進


パネルディスカッション
「ライフステージに合わせた女性のキャリアデザイン」

山田:初めにゲストの皆様のご経歴、その中でも特にターニングポイントになったこととそのきっかけがあれば教えてください。

武藤氏:Uber Eatsの日本責任者を務めています、武藤友木子と申します。私のこれまでのキャリアを大きく占めてきた役割は、大きく4つあります。1つ目はマネジメントコンサルタント(アクセンチュアでの戦略コンサル)、ターンラウンダー(楽天で創業初期から成長するまでを経験)、アントレプラナー、外資系企業のアジアパシフィック担当(Travelzoo Asia Pacificのエグゼクティブオフィサーや、OpenTableの日本代表、Googleでの新規事業開拓本部統括部長など)

私のベースとなるものは気合いと根性です。その上にあるスキルとして、起業と事業再生の2軸のスキルを築きました。こうした日本で経験したことをグローバルでも戦えるようにすることを目指し、日本から香港とニューヨーク、ロンドンに通学しエグゼクティブMBAを取得しました。

香山氏:ニューロスペースアカウントマネージャーの香山由佳と申します。東京海上日動の法人営業で13年間働いてきた中で、単身赴任や出産を経験しました。産休中にキャリアチェンジを決意し、睡眠課題をサイエンスとテクノロジーで解決していくSleepTech(スリープテック)のスタートアップであるニューロスペースへ転職しました。1万人いるような会社から創業間もない10名以下のスタートアップに入社し、今は決められたポジションというよりも、事業をゼロイチで創りあげていくために、なんでもやるという姿勢で取り組んでいます。また、土日は大学院に通い、ビジネスに還元できるよう、自分のスキルを過信せず学び続けています。

何がこのようなキャリアチェンジのきっかけになったかというと、私の場合は出産と育児でした。それまでは自分の自己実現を優先していましたが、子どもが生まれて、家族と一緒に過ごすことの大切さを実感し、自分の軸にすることを決めました。
また、育休中の期間をキャリアの中断ではなく、新しい環境に挑戦することでキャリアアップに繋げたいと思い、外向きの活動を始めました。育児中であっても様々なチャンスがあり、企業とのディスカッションやインターン経験などを通じて、外と触れ合うことの楽しさ、社会や企業の課題の解決に役立てることのやりがいに改めて気づくことができました。その中でニューロスペースとの出会いがあり、事業をゼロイチで創っていきたいと思いジョインすることを決めました。

木野氏:田辺三菱製薬という会社でずっと働いています。私は大学で薬剤師資格を取得した後に、博士課程に通いながら調剤薬局で働いていました。博士課程を修了した後、田辺製薬に入社しました。出産・育休を経て、職場復帰し、研究職を続けながら、第二子も出産しました。

合計12年間薬剤の研究を行った後に、社内のビジネスアイディアコンテストでグランプリを取得したことをきっかけに、自ら希望する新規事業立ち上げやベンチャー支援の部門に異動しました。今はフューチャーデザイン部でベンチャー企業と社内を繋げるカタリストとして活動しています。

松井氏:私の育ちは日本、人生の半分はアメリカ含め海外生活なので、バイリンガルでバイカルチャーというバックグラウンドです。小さい頃からの夢である外交官を志し、上海で外交政策研究者として務めていく中で、当時嫌日思考が強かった中国国内で、ビジネスの立場で日本の良さを海外に広めていけないか、ブランドを通して人々の異文化に対する偏見を無くして、理解を深めることができないかと考えるきっかけになりました。

日本企業の経営と小売業を学びたく、楽天に入社し、中小企業のECオペレーションとマーケティングのコンサルティングを行いました。その後、サンフランシスコを拠点とするクリエイティブ・エージェンシーbtrax Inc.にて、日系・グローバル企業の海外進出におけるブランディングとマーケティング戦略にコンサルティング事業のディレクターとして参画しました。

今年4月に独立し、会社を立ち上げたきっかけとしては、日本の市場全体が縮んでいる中、日米以外にもグローバル展開のオポチュニティと可能性を図りたい、プロジェクトの幅を広げたいと感じたことが挙げられます。実際に、直近5ヶ月でオーストラリア、ベトナム、シリコンバレー、ニューヨーク、日本でプロジェクトを遂行しています。

今は特に拠点を持たずに、プロジェクトに応じて海外転々としていますが、人生のフェーズに合わせて、家族を持つ前にニューヨークに拠点を置くことを次のステップとして画策しています。幅広い業界に渡るライフスタイル・ブランドの海外展開をサポートさせていただくことが多いのですが、将来的に一つの場所に落ち着く時に備えて、一番強い思いを抱ける分野に徐々にフォーカスしていくことを視野に入れています。

山田:私は同志社大学在学時代、就職活動をする中で、あまりしっくりこないと感じ、そこで全く違う環境に飛び込んでみようと思い、アメリカで0-1の事業創出を学ぶことへのチャレンジをきめました。様々な文化やスキルを持つクラスメイトたちと、ゼロからサービスを作ることを勉強した経験は非常に貴重で、人種やデモグラフィを超えて、共通の価値観を理解する重要性を学ぶことができました。

その後、サンフランシスコでbtrax Inc.に就職し、日本企業向けにシリコンバレーでデザイン思考を活用したサービスデザインを学ぶながら実践するプロジェクトの企画運営をしていました。

2年前に日本へ拠点を移し、グローバル戦略コンサルティング会社のデジタル部門で、大企業クライアントと共にゼロからの新規事業立ち上げプロジェクトに取り組んでいます。私がこのようなキャリアを通して身につけてきたスキルは、ユーザー中心のデザインリサーチと多様なバックグラウンドやスキルのチームでのプロジェクトマネジメント、ワークショップやスピーカーイベントのファシリテーションです。

組織依存型ではなく、自分の専門性を重視するようになったきっかけ

山田:自分の得意なこと、好きなことはどのうように見つけて、磨いて来られたのでしょうか。

武藤氏:新卒で入った戦略コンサルでまず強く意識したのは、自分がどのような価値を提供できるのかということです。クライアントはたとえ新卒であろうと、コンサルタントに払っているチャージは高額ですし、私はそれに十分なだけの価値の提供を求められるようになったのです。そのため、ひたすら努力してきました。

香山氏:得意なこと、好きなことというのは、やりたいことと意味合いが似ていると思うのですが、今まで私は目の前にある課題やチャレンジングな目標に対して必死にやっていく中でやりがいを感じてきました。その一方で、長い間、自分のやりたいことは何だろう、本当は別にあるのではないかというモヤモヤがありました。

そんな時にある本(「転職の思考法」著者:北野唯我)で、人にはto do型とbeing型があると知りました。自分がやりたいことは何かが明確にあるto do型と、どんな人でありたいか、どんな状態でありたいかを重視するbeing型があり、自分の場合後者だったのだと腹に落ちました。やりたいこと探しが必ずしも答えではないと知ったのです。

木野氏:自分は博士号を持って会社に入っている時点で、その特定の能力を求めらているので、非常に求められていることが明確でした。様々なプロジェクトをやる中で、自分はユーザーヒアリングをしてニーズを検証してものを作ることに楽しさを感じて、新規事業部に移る決心ができたのです。

松井氏:小さな時から外交官になりたいと思い続けていく中で、なぜ外交官になりたいのかという根本的な欲求を考えてみると、必ずしもその解決方法が外交官でなくてもできると気づいたのです。自分が得意な方法で自分が本質的にやりたいことを叶えようと思い、今に至ります。

仕事と私生活の両立について

山田:女性は男性に比べて女性にしかできないライフイベント(妊娠、出産など)があり、仕事から離れなければならない場面もあることで悩む人も多くいます。かといって結婚、妊娠、出産のタイミングを仕事に合わせてコントロールすることは難しいですよね。ワークライフバランスはみなさまどのように考えていらっしゃいますか?

松井氏:人生計画通りにいかないもんだって思うことが大事かなって思っていて、計画に囚われ過ぎていると、両立が難しくなってしまうと思います。

木野氏:子どもを育てながら思うことは、いかに周りの人を協力してくれる味方にするかが大事かと思っています。家族や保育士さんなど自分の周りの人たちを巻き込んで行けるようにしています。

香山氏:ライフイベントなどのプランニングは意識したほうがいいと思います。私は結婚後、出産したいという気持ちを大事にし、それを逆算して産休に入るまでの短期間で結果を出していくにはどうしたらよいか、妊娠した場合の想定もしながら、身体を大切にしながら短時間で生産性高く結果を出していくことを常に意識していました。
一方で矛盾していますが、そのことに縛られ過ぎないほうがいいとも思っています。まだわからない未来のために、考えすぎてチャレンジを諦めるという選択肢を取る必要はないと考えています。

武藤氏:何でもいいんだ、いろんなやり方があるんだってことを知ってほしいです。くるかどうかわからない未来の為に、何かを諦めるよりは、それを実現する為に必要な方法を必死に模索したほうがいいと思っています。

キャリアデザインワークショップ

今回は時間の都合上、会場でワークショップを全て行うことができなかったのですが、機会があればご自身でも挑戦してみるとキャリアデザインへの最初の一歩が踏み出しやすくなるであろうフレームワークをいくつかご紹介します。

自分が何が得意なのか、何をやりたいのか、明確にわからない場合も多いのでは?まずは自分が「やらなきゃいけない」と思っている仕事をMUSTのバケツに、「やりたい」と思っている仕事をWANTのバケツに分けてみましょう。何がモチベーションにつながっているのかの共通点が見えてきます。

他にも得意なこと、苦手なこと、不安なこととその解決の仕方のアイディア、5年以内に達成してみたいことをできるだけ書き出してみましょう。
そしてそれを人に話すことで、自分でも見えていなかった傾向や解決策を見いだすことができるかもしれません。

DEBRIEFING

キャリアとは「仕事を通じて様々な経験やスキルを得ていくプロセス」であり、現在の自分の経験やスキル、性格、ライフスタイルなどを考慮した上で、実際の労働市場の状況なども勘案しながら、「仕事を通じて実現したい将来像やそれに近づくプロセスを主体的に構想・設計すること」がキャリアデザインです。

キャリア形成に悩む方も多い中で、今回は4名の様々なキャリアをもつロールモデルの方々にお越しいただき、それぞれがキャリアを通じて自分の好きなこと得意なことを見つけ実現しているのかをお伺いしました。

彼女たちのリアルなお話が皆さんにとってのインスピレーション、励ましになって、皆さんが自分にあったキャリアとは何か考えて行動に移せるきっかけになればと願っています。

キャリアデザインをする際に特に意識しておくと良いポイントは3つ:

・ 経験を通じて自分にフィードバックすること
・ チャレンジを少しでも意識して行動してみること
・ 「人生観」≒「職業観」を持つこと


【武藤様よりUber Eatsプロモーションコードをプレゼントして頂きました】
プロモーションコード:ubereats0824


説明:新規のユーザーに限り、2回までのご注文がそれぞれ1000円オフとなります。有効期限は2018年10月31日です。
一度プロモーションコードを入力すると、初回から2回目までの注文から自動的に割引が適用されます。まだUber Eatsを利用されたことのない方はこの機会に是非御試しください。

今後のイベントスケジュール

経済産業省による2018年10月9日~10月19日の「Healthcare Innovation Weeks」に開催されるビジネスマッチング国際会議「1st Well Aging Society Summit Asia-Japan」の公式連携イベント主催団体に採択頂きました。

「イスラエルの ヘルステック最前線」−10名のイスラエル女性ヘルステック起業家登壇mHealth Israel Women×Healthtech Women Japan−
日時:10月10日(水)19:00〜21:30(TBC)
共催:mHealth Israel Women             
場所:日本橋ライフサイエンスビル(Link-J)

Women x Healthcare テーマ
「ヘルケアビジネスを身近なものに-女性と考えるヘルスケアビジネス」
日時:10月11日(木)14:00〜15:30
場所:パシフィコ横浜
主催:厚労省

「 海外デジタルヘルス最前線〜北欧、アジア、米国のトレンドを知る〜」
日時:10月17日(水)10:00〜12:00
場所:東京ビッグサイト
主催:株式会社 日経BP

10月以降もイベントを予定しております。ぜひFacebookページをフォローして、Healthtech Women Japanの最新情報をぜひご覧ください!

Writer
Healthtech Women Japan Head of Research
吉澤美弥子

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