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ドラえもんは金曜夜7時がいい

小学生の頃、夏休みになると母方の祖父母の家に泊まりに行った。だいたい金土日と二泊三日した。
金曜日は母と姉弟の四人で、土曜日になって仕事が休みの父がやって来るという流れ。
祖父母の家はお風呂がなかったから、いつも夕方のまだ早い時間に近所の銭湯に出かけた。そして家に戻ってくると、まだ早い午後6時前から夕食となる。きっといろんなメニューがあったんだろうけど、私が一番印象に残っているのは天ぷら。その中でも、さつまいもの天ぷらが大好きでよく食べていた覚えがある。

夕食を食べ終えて、少し休憩すると「ドラえもん」が始まる。私が見ようとすると、「そろそろ暗くなってきたから花火するよ。おいでー」と誘われる(夏の午後7時なので、実はまだ結構明るい……)。
「ドラえもん」見たいのになーとちょっと思いつつ、家の前へ。
ちりとりで即席のろうそく台をおじいちゃんが作ってくれて、青いポリバケツには水をためて、さあ手持ち花火の始まり。
私は線香花火が好きで、よく取っておいてもらってみんなで最後にしたなあ。

子ども時代の夏の思い出と言えば、そんな日を思い出す。
おじいちゃんはもう、私が高校生の頃に亡くなった。
おばあちゃんはまだ元気だけど、それでももう料理はしなくなりさつまいもの天ぷらは食べられなくなってしまった。
祖父母の家だって、今はもう別の新婚夫婦が住んでいるという。
それに加えて、金曜日の夜から「ドラえもん」すらなくなってしまうのは寂しいなあ、とっても寂しい。
あの頃はまさに「あの頃」でもう、この令和の時代には再びやって来ないのだなあ。そんな当たり前のことが、いちいち身にしみる。

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