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年下男性のいとこ3人

私には3人のいとこがいる。
世間的にはたった3人だろうか。しかも、全員年下で男である。
父方のいとこは1つ下と4つ下の男の子。母方のいとこも1つ下の男の子。
……あ、もう男の子っていう言い方はおかしいね。でも、私の中では男の子のままである。

というのも、小学生くらいまでは仲がよかった。
父方のいとこの家に一週間泊まったりして、夏は海水浴に出かけたり、冬は除夜の鐘を鳴らしに行ったりした。
母方のいとことも、祖父母の家で一緒に遊んだ覚えがある。

小学校2、3年生の頃には、父方の1つ下のいとこと結婚するとまで思っていた。いとことは結婚できると知って。
もしかしたら、私の初恋だったかもしれない。

しかし、中学生に上がる頃からどちらのいとことも疎遠になり、まったく会わなくなってしまった。

久しぶりに父方のいとこと会ったのは5年前。祖母の葬儀にて。
その時も恐ろしいことに、二人のいとことはただの一度も言葉を交わさなかった。本当に顔を合わせただけ。口下手にもほどがある……。
かつて、勝手に将来結婚するとまで思っていたいとこには、ときめきのかけらすら感じなかった。
その時には、私はもう結婚していたし。
(ちなみに、母方のいとこには本当にもう何十年も会っていない……)

そして、その結婚を夢見ていたいとこも昨年の暮れに入籍し、今年の春に挙式した。
そんな塩梅だから、私たち姉弟が呼ばれることはなく、私の両親のみ式に出席した。

私はショックだった。いとこが結婚したことが、ではない。
式に招待されなかったのも、関係が希薄になったので当然だろうから、それに対してどうこう言うつもりはない……のだけれども。
母から結婚式の話を聞いたり、いろいろ見せてもらったりすると、どうやら逆側のいとこたち(私たち姉弟にとってはまたいとこ)は招待されていたらしいと知る。

そりゃ相性だってあると思うし、いとこならそもそも親同士の相性も距離感に響いてくると思うし、十分あり得る話なんだろう。
それでも、私はやっぱりちょっとショックだったな。

小さい時、あんな風に一緒に過ごしたのに、血縁関係はあるけど、もう何の関わり合いもない、赤の他人みたいだなんて。
そう思ってしまうくらいには、父方のいとこたちとの思い出は、私の中で今も色濃く残っているようだ。

特に、彼らとのことを思い出すと、よく泊まりに行った小学生の夏休みがよみがえってくる。
家のすぐそばを走る電車の音とセミの鳴き声がミックスされていた。それに加えて、踏み切りの音まで聞こえてきたっけ。茶色いソファに座って、全巻そろっていたドラゴンボールのマンガを読んだ。夜、眠る前にはいとこが桃太郎なんかのパロディを聞かせてくれた。遊んでてはしゃいでおじいちゃんに怒られた。おばさんがグアム旅行のお土産に香水をくれた。
――どれもこれも懐かしい風景だ。

そんなことを思い返すと、やっぱり……またいとこにちょっぴり嫉妬してしまう。
私たち姉弟もいとこたちも、すっかり大人になってしまった。
あの夏はもう遠い記憶の彼方だ。

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