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1-3 なぜ本番力は生活習慣が9割なのか

中央大学には、「司法試験は、生活習慣が9割」という言葉があります。

私が中央大学法学部に入学して驚いたことは、司法試験に合格するため1年生からギアをトップに入れ、アクセルをベタ踏みにして猛勉強する学生たちでした。

司法試験は言わずもがな、裁判官・検察官・弁護士になるための国家試験です。数ある試験の中でも、最難関試験の一つと言われています。大学の合格率で言えば、東京大学が頭一つ抜けて1位。次いで、慶應義塾大学、中央大学、早稲田大学が続きます.。

司法試験に合格する人数が多いことは、大学の求心力にもつながるため、教授陣も非常に気合が入っている訳です。

では、その教授たちは、学生たちに対して、勉強を急き立てていたかと言えば、そうではありませんでした。大学1年生の時に聞いた、今でも強烈に記憶に残っている、ある教授の言葉があります。

「司法試験は勉強だけして合格できるような、甘い試験ではない。
本当に合格したいのであれば、毎日が本番当日だと思って、毎日、決まった時間に寝て、決まった時間に起きること。

試験で力を発揮するには、生活習慣が9割。
最終的には、よく寝て、よく食べ、よく動くやつには敵わないのだ」

司法試験は、短期でも3~5年の勉強、一般的には、6年~8年の勉強が必要です。試験勉強のトライアスロンと言ってもいいでしょう。中央大学の教授陣は、この気が遠くなるようなハードな世界に学生たちを送り出す上で、勉強を最上とするのではなく、生活リズムを整える重要さを1年の頃から叩き込んでいたのです。この背景には、途中で体調を崩して勉強を継続できなくなった学生や、本番で実力を発揮できなかった教え子たちの無念を大勢、見てきたことがあるのでしょう。

「生活習慣が9割」と言い切る教授がいるから、日本最難関の司法試験の合格率が高いのか、と納得したことを覚えています。

「はじめに」で、本書では、

本番力=気力+勉強+健康

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と定義するとしました。


中央大学の講師陣が、「生活習慣が9割」と喝破していたのは、どれだけ、気力や勉強を養ってきても、健康状態が地盤沈下している状態では、絶対に結果を出すことができない。
このことを示唆した言葉だったのです。

実際、脳は、体が不健康だとではその力を存分に発揮することはできません。

脳は、人体が必要とする酸素の55%を使用する大食漢の器官です。
しかし、フル回転で稼働する工場が煙突から排煙をだすように脳も老廃物を排出します。
それが、アミロイドβという老廃物。活性酸素という毒素です。

脳の老廃物を洗い流すには、十分な睡眠と、血流をあげる運動が必要不可欠です。さらに、活性酸素という毒素から脳を守るには、抗酸化作用のある成分を食事からたっぷりと取る必要があります。

つまり、食事、睡眠、運動といった健康習慣は、体だけではなく、脳のコンディションを保つことに直結しているのです。

世界最大の投資家の一人ウォーレン・バフェットは次のような言葉を残しています。

「あなたが車を一台持っていて、一生その車にしか乗れないとしよう。当然あなたはその車を大切に扱うだろう。必要以上にオイルを交換したり、慎重な運転を心がけたりするはずだ。

ここで考えてほしいのは、あなたが一生に一つの心と一つの体しか持てないということだ。

常に心身を鍛練しなさい。決して心身の手入れを怠らないようにしなさい。

じっくり時間をかければ、あなたは自らの心を強化することができる。人間の主要資産が自分自身だとすれば、必要なのは心身の維持と強化だ」

脳のパフォーマンスを上げるには、土台となる体の健康が必要不可欠なのです。

とはいえ、子どもは目の前のレースを走り抜けるために、健康メンテナンスが後回しになりがちです。

保護者が子どもの生活習慣をサポートする、このことが受験の勝敗を決める、という気持ちで取り組んでいきましょう。


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