CS_言えない2人_8

チャット小説/ボーイズラブ/2話目/チャラ男×優等生

👉簡単には言えない【2】👈

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後半に進むにつれて登場人物が増えていきそうです。

ちなみに「富裕実=ふゆみ」と読みます。

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 学級委員とかマジだりー。「お前モテるんだからやれよ」って、石塚あの野郎。人のこと祭り上げんなよ。委員長役は大体カースト上位の人間がなるもんだけど、なんで俺なんだよ。
 うちの高校ってやたらボランティア活動に熱心で、学級委員は強制参加だし、俺って生け贄にされたようなもんじゃん。しかも、参加者をクラスからある程度集めて来いって言われるし!
 強制労働だ、パワハラだ。高校の評判あげたいだけだろ。なんで俺の時間を犠牲にしなきゃならないんだよ。
 そんな感じのことを思っていた時期もあって、俺は委員会サボりの常習犯だった。

「昨日の委員会、来なかったよね? 関口くんが来ないと他の女子の集まりも悪くて困るんだけど」
 わざわざ教室まで俺にクレームを言いに来たのが、同じ学級委員の倉田静貴(くらた しずき)だった。
 いかにも真面目タイプの眼鏡くんが仏頂面で物申してきたときは、そんなの知らねえよ。とか思ったし、第一印象はあまりよくなかった。
 何回か静貴に注意されたとき、
「関口くんモテるんだから、うまいこと女子おだてて、いろいろやってもらえばいいじゃん」
 ただの特進コースの知識バカだと思ってたけど、うまく楽する方法をアドバイスしてくれた。俺ひとりがサボっても、女子たちに穴埋めしてもらえるよう口説けばいいと。それはそれで面倒臭いこともなくはなかったけど、口実にして女子と遊べるし、なかなかうまい方法だった。ついでに、週1で好きなチョコをおごることを条件に静貴を買収し、俺は面倒な仕事から開放された。
 案外話が通じる奴なんだな。と思ってから、静貴とはチョコを上納する現場、食堂でよく話すようになった。一緒に無駄話する時間が増えていって、いつからだっけ——

 ムカつくくらいモテるけど、良い奴だってことも認めてやろう。
 にしてもなにあいつ、ストーカーかよ。勝手についてきてんじゃねえよ。慧助に泣き顔なんて見られたくなかったのに。

 高校の近所の神社に居ついてる野良猫に、よくエサをやっていて、シマって呼んでた。放課後になってまっすぐ神社に向かったら、本殿の影でぐったりしてるシマを見つけた。地面に横になった体はすごく冷たくて、開いたままの目玉がしわしわになってるのがわかった。
 自分でもびっくりするくらい悲しくて、涙が出てきて、その直後に慧助に声をかけられた。
 涙が止まらない俺が落ち着くまで、慧助はシマの体を触って死因を探ってた。「もう死んでるんだよな?」、「なんか、腹のとこすげーぶよぶよしてない?」とか言ってた気がする。
 泣いてるとこなんか見られたし、慧助と2人きりで、あの時ほど最高に気まずい時間はなかった。
「お墓作ってあげようよ」
 そう慧助が言い出して、普段から無人の境内の裏の方に、シマを抱えて向かった。そこら辺の石とか枝で、どうにか土を掘り返して、ギリギリ隠れる深さまで埋めることができた。
 いろいろと最悪な気分のまま帰ろうとしてたけど、通りの自販機に向かった慧助に呼び止められた。
 自販機のココアなんて、あんな水で薄めた味が丸わかりの飲み物なんか、もう金払ってまで2度と飲まないと思ってたけど、慧助からもらってしまった。
 あいつは自分がイケメンだと自覚していてるからあんなことができるんだ。そうに決まってる。でなきゃ励まそうとする相手の頭なんかなでたりしない。お前に色目使ってくる女子と一緒の扱いすんな! そんなんで好感度あげられると思ったら大間違いなんだよ。絶対に——

今回は会話に参加できなかった慧助くん。CHARATさんで作成したイメージを公開しときます。静貴の眼鏡は別の素材を張り付けてます。

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