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タロットで見るATEEZのストーリー(TREASURE編)

はじめに

今回はタロットを使ってATEEZのストーリーを読み解いていこうと思います。実は今タロットも勉強してるんですよ。算命学の他にもう一つくらい占術を身に着けたいと思って……。


前作


タロットには大きく分けて二種類あります。

・大アルカナ(吊られた男とか運命の輪とかのあれ)
・小アルカナ(数字の1〜10とクイーンやキングなどトランプに似ているやつ)

そのうち大アルカナは「魂の成長」を表しています。人間が生きる上で行き当たる様々な出会いや試練など……ラフな言い方をすると、「ものすごく壮大な人生あるある」が描かれているのです。
(ちなみに小アルカナはそれよりもミクロな視点の出来事を表しています)
ならば、人間の生き様の類型ともいえる「エンタメのストーリー」にも使えるのではないか?そう思ったのが今回のエントリを書いたきっかけです。

……というのは建前で、本音は「タロットの象意なかなか覚えられないな〜〜何かに紐づけて覚えたいな〜〜」という自己都合と、「アチズのストーリー考察したいけど元ネタとかあんまり詳しくないし自分の得意分野で何とかならないかな〜〜」という自己都合です。自己防衛おじさんならぬ自己都合おばさん。(なお完全に蛇足ですが自己防衛おじさんも占い界隈の方らしいです……一度占ってもらいたい……)

ケー・ポップのエントリにバキ童の動画を貼るんじゃないよ。





今回取り上げるのは未だに謎が多いTREASUREシリーズです。一応タイトルにTREASURE編と書いたのですが、他のシリーズの話も普通にします。続編を書く予定は今のところ無いのですが、もし書いたらまた色々と調整します。

ちなみにタロットはかげした真由子先生が講師を務めるこちらのオンライン講座で勉強しました。タロットが生まれた経緯や、占いは未来を当てるためのものだけではないことなど、人を占うための土台となる考えを教えていただきました。

noteもあります


注意事項
※使用するタロットカードはウェイト版です
※アジトの少年たちを「ATEEZ」、黒いフェドラ帽の男たちを「黒い海賊団」と統一しています



はじめます


Say My Name

ⅩⅩ.審判(JUDGEMENT)


トップバッターはFEVERシリーズのラストに直接繋がるSay My Nameです。対応するカードは審判。

(Say May Nameに繋がるZERO:FEVER EPILOGUEについてはこちらの方の和訳がとても読みやすく、詳細もまとめられています。他のシリーズも手掛けていらっしゃいます)


Say My Nameは2枚目のアルバムのタイトル曲ですが、実質この曲がTREASUREシリーズの始まりです。その始まりに数字が重め(20番目)のカードを当てるんかいという話ですが……。(大アルカナの数字は人間が生まれてから「完成」するまでの順番なので、最後から2番目の審判はほぼ大詰めです)また、数字の20は2と10で構成されています。2は「調和」、10は「統合」であり、黒い海賊団から力を受け継ぎ彼らと同じ姿になったATEEZと重なるところがあるのではないでしょうか。

黒い海賊団もガラスの檻に閉じ込められています



審判は新約聖書の「最後の審判」が元になっており、「復活」「目覚め」を意味します。生前の行いで、天国へ行くか地獄へ行くかが決まる運命の分かれ道でもあります。ガラスの檻に閉じ込められたヨサン、石像にされたレジスタンス、ラッパを吹いてアンドロイドガーディアンの気を引くホンジュン……ヨサンはソンファに救出されましたが、石像にされたレジスタンス達は果たしてどうなったのでしょうか。誰かが名前を呼んで、再び目覚めることができたのでしょうか?




とまあ、こんな感じで進めていきたいと思います。すいません書いてる本人も全然先行きが見えず手探りです……。


続けます


Pirate King/Treasure

0.愚者(THE FOOL)

Ⅰ.魔術師(THE MAGICIAN)

時系列
Say My Name─Pirate King─Treasure


2つまとめていきます。まずはPirate Kingから。
実は、タロットを学ぶ前からなんとなくPirate Kingは愚者のカードっぽいな〜と思っていました。旗を掲げながら砂漠の中をあてもなく歩く姿に、愚者のシチュエーションにかなり近いものを感じるのです。アルバムタイトルであるAll To Zeroは諸々終わって「0」に至るという解釈もできます。愚者はすべての始まりであり、棒にくくりつけた袋にはまだ何も入っていません。次に何を手に入れるかで彼(等)の行く末が決まるのです。

(ちなみになぜ海賊王なのに砂漠にいるのか?という疑問に対する答えはこちらの方の概要にありますので是非ご一読ください)

で、私はSay May Nameの次の話がこのPirate Kingなのではないかと思いました。
もっと言うと

「Say May Nameでヨサンを救出したあとWONDERLANDとAnswerを通らずTreasureを探す旅に出たルート」

です。

ここから上記の考察前提で話を進めていきます。ここ崩れると全部崩壊するので何卒ご了承ください。虚構に虚構を重ねるのが当アカウントのお家芸なので……。

MVの冒頭のこのシーン。暴れるヨサンを他のメンバー達が必死で抑えていますが、ヨサンはそれを振り切ってしまいます。
ヨサンは前日譚であるFEVERシリーズで、自分が皆と一緒にいたことを悔いていました。自分がいなければアジトを追い出されることも、皆がバラバラになることもなかったと。もしこれがWONDERLANDの戦いやAnswerの祝杯を経て成長を遂げたあとの「All To Zero」だったとしたら、ヨサンはこんな風に皆から逃れようとはしないのではないでしょうか。
ヨサンだけではありません。この直後、真ん中にいるヨサンを押しのけるようにしてユノが前に出てきます。FEVERシリーズでヨサンと離れ離れになったATEEZは自分たちの次元へ戻り、ユノの兄がまだ生きていた日までタイムスリップしました。しかし運命には逆らえず、ユノの兄はヨサン救出の鍵となるクロマーを入手する過程で結局亡くなってしまいます。ヨサンが悪いわけではないんですが、ユノから見るとヨサンの存在と兄の生死が等価交換になっているのです。これはさすがに和気あいあいとはいかないでしょう。
そういった、それぞれが抱える「未解決」の部分が、二人だけではなく他のメンバーにも残っていたのではないかと思うのです。(冒頭10秒くらいの映像で深読みしすぎかもしれませんが……)なにより未知への冒険!というワクワク感があまり感じられず、みな険しい顔でひたすら過酷な道を歩いている。だから私はこのPirate Kingを所謂「フラグ」の立っていない、ベストエンドへ行けないルートだと解釈しました。いやデビュー曲をノーマルエンド扱いすんなやという話ですが、KQなら「ない」とは言い切れないので……(負の方向への信頼感)


そして何だかんだで一行はTreasureに辿り着きます。

Treasureの「この地球は一つでそして丸い」という歌詞、こんな当たり前のことをわざわざ口にするのはATEEZのストーリーの根幹である「今見えている世界が全てではない」に対する真っ向からの否定です。Anywayも投げやりだし。他にも歌詞全体が若さゆえの万能感、悪く言えば暴走気味な印象を受けます。Tresureに魔術師のカードを充てたのは愚者の次のカードだからというのもあるのですが、「暴走気味の万能感」から連想しました。つまり、逆位置としての解釈です。
魔術師の目の前にある机にはワンド、ソード、ペンタクルス、カップと四大元素が揃っています。何でもできるが故に、使い方を誤れば思うような結果は得られません。あとサムネの緑が覆い茂っているのもなんとなくそれっぽい。緑が目立つカードって意外と少ないんですよね。特に上から覆い被さるように生えているのは魔術師くらいかもしれない。すいませんTreasureはほぼフィーリングです。
それにしても、彼らはこの旅路の果てに何を手に入れたんでしょうね?パンドラの箱か、エデンの林檎か……でも何を得たにせよ、それもまた幾多の現実の一つ、彼らが選んだ結末であることに変わりは無いのです。

ⅩⅤ.悪魔(THE DEVIL)はアダムとイブの楽園追放がモチーフになっています


HALA HALA(Hearts Awakened, Live Alive)

いやちょっと待ってくださいよ勝手に終わらせないでくださいよ……
ということでこのSay My Name〜Pirate King〜Tresureの流れに黙っていられないのが黒い海賊団。ATEEZにとってはノーマルエンドかもしれませんが、黒い海賊団にとっちゃ普通にバッドエンドです。キンダラでクラーケン倒してもらわないと困るんですよこっちは。(団員の方?)

というわけで一旦リセットです。

XVI.塔(THE TOWER)


時系列
Say My Name─Pirate King─Treasure(END)
      └HALA HALA

悪魔の次に来るのは塔。この首をひねるシーンは自死(仮死?)を示唆していると言われていますが、どうも自分で自分の首をひねるという馴染みのない挙動にいまいちピンとこないんですよね……。なのでこれは命を絶つことにフォーカスするのではなく、時間を戻したり夢から現実に戻る「スイッチ」的な要素として捉えたほうがいいのでしょう。この首をひねるところが、塔のカードの落雷により吹き飛んだ王冠と重なります。塔のカードも天変地異などの強制的なリセットの意味合いがあるので。(ATEEZのストーリーがタロットを元にしていると言いたいわけではなく、物事は抽象化を進めていくと似通った姿形になるのではないかという話です)
ただ、この黒マスクの彼らはどうやら黒い海賊団ではなく、ATEEZの可能性が高いらしいんですよね。(違っていたらすみません)最後にウヨンだけ倒れていないので、リリース当初はウヨン裏切り者説もあったそうですが、現在は「メンバーの中に裏切り者はいない」と公式で否定されています。正しくは「メンバーの中に秘密を持っている者はいない」でした。微妙にニュアンスは違いますが、まあどちらにせよ袂を分かつことはないだろうと思われます。

完全に後追いだから言えることですが、確かにこの表情は悪役とはちょっと違う気がする。むしろ黒いマスクの方に呪いがかけられていて、ウヨンの口元の傷は無理やりマスクを剥ぎ取った後遺症のようにも見えます。よく見るとHALA HALAの個人カットのマスク、他と微妙に違うんですよね……。これが彼らの手に入れた「Treasure」の一つだったのかもしれません。

HALA HALAのマスク
Say My Nameのマスク(黒い海賊団のマスクは基本的にこれ)


もし私の説を汲むとしたら、ウヨンがこのルートに行ってはいけない、と気がついたということにしておきます。夢の中でクロマーを渡されたホンジュンや、ヨサンを助けるための力を得たソンファのように、黒い海賊団の方のウヨンがATEEZのウヨンにそのことを知らせたのかもしれません。


ILLUSION

ⅩⅦ.星(THE STAR)


時系列           
Say My Name─Pirate King─Treasure─ILLUSION
      └HALA HALA

大災害による惨劇から一転して、澄んだ空に輝く星。塔のカードは「文明社会の崩壊、終焉」で、星のカードは「新たな文明の始まり、原始の希望」とも取れます。ILLUSION(とWAVE)は夢の世界説があるので、HALA HALAとの対比と合わせて考えるとなかなか面白いのではないでしょうか。

ロゴが歪んでいる曲=夢の世界説


でもILLUSIONが「希望」というのはちょっと違うんじゃないかなあ、と思われるかもしれません。私もそう思います。(?)なので別の視点から見てみましょう。とは言ってもだいぶ力技なんですが……FEVERシリーズのTurbulenceの話です。

奇しくもサムネはウヨン。このTurbulenceもストーリーに関係のある曲だとしたら、時系列は「ATEEZがTreasureに辿り着く前」です。もちろんSay May Nameよりも前なのでATEEZという名前もありません。

暗闇ばかりの世の中で
空の上を高く飛ぶ夢
あそこに見える 光について行く
Help me, I just go
We can all go up
無事に到着することを願う 夜間飛行
Shine on my own
人々はそれを
星って呼ぶから ただ輝けばいい

ATEEZ「야간비행(Turbulence)」


この歌詞の「空の上を高く飛ぶ夢」ですが、ATEEZのMVで実際に空を飛んでいるのは現時点でこのILLUSIONだけです。(ですよね?)

一応夜も飛んでる


だからこのILLUSIONは、Turbulenceのまだ名前もい彼らが夢見た希望の原型だったのではないかと思うのです。ただそれが、皮肉にも彼らの歩みを止める幻覚として現れてしまったのだと。

そして船が辿り着いた先は…… 

WAVE


ⅩⅧ.月(THE MOON)

時系列
……Treasure─ILLUSION─WAVE(END)      └HALA HALA


実は最初ILLUSIONとWAVEの順番が逆だと思っていて、WAVEが一つ前の星=希望という解釈で進めていました。ILLUSIONと違って不穏さもありませんし。
でももしWAVEが彼らの旅における希望だとしたら、正直ここが「ゴール」になってしまうのではないかと思うのです。ここで旅を終えて皆で仲良く暮らすのだと。それはそれで一つの幸せの形だとは思います。永遠に覚めない夢であれば、それは現実とほぼ同義ですから。


ただこのままだと音楽番組で1位を取ったのがこの曲だけになってしまう。(いきなりメタ発言やめて)やはり夢からはいつか覚めなければならないのです。


いやKINGDOMのWAVE持ってくるのは反則じゃない??
ILLUSIONもだいぶ無理やりだったのに……。でもやります。
最初あの爽やかなWAVEが何故こんなおどろおどろしいアレンジをされているのか分からなかったんですが、考えてみればWAVEの次はWONDERLANDなんですよね。なのでWAVEのMVでは描かれなかった「夢の終わり」そして「戦いの序章」をこのKINGDOMの場で再現したのではないかと思いました。

HALA HALAを彷彿とさせるシーン。ここで現実世界に戻ってきたのかも?


月のカードが表すのは「先の見えない不安」です。夜の闇の中、徘徊する獣たちや何か良からぬものに襲われるのではという本能的な恐怖です。しかし、月明かりに照らされた道は細いながらもまっすぐ伸びています。何も見えなくても前に向かって歩き続けていれば、いつか陽は登るのです。


WONDERLAND

 

ⅩⅨ.太陽(THE SUN)

時系列
……Treasure─ILLUSION─WAVE 
└HALA HALA─────────WONDERLAND


太陽のカードが表すのは「勝利」「達成」。
赤ん坊が真っ暗な産道を通ってこの世に生まれてくるように、今までやってきたことの成果が月での不安を経て太陽の下に誕生します。
そして、実は太陽のカードにはよく似ているカードがあります。

ⅩⅢ.死神(DEATH)

「誕生」と「死」という、一見真逆の要素を持つ二つのカードですが、どちらも白馬に跨り旗を掲げている姿をしています。今まで生きてきた証として弔旗を立て、新しい旗を掲げて今ここに新しい命が生まれたことを宣言する。先の塔のカードと星のカードが「外側の世界の崩壊と再生」であるれば、死神のカードと太陽のカードは「内側の世界の崩壊と再生」です。
私、WONDERLANDで彼らが一体何と戦ってるのかずーっと分かっていなかったんですよ。そもそも本当に戦いの歌なのかも分からない。最初はガーディアンと戦ってるのかと思ったんですが、WONDERLANDではガーディアン出てこないんですよね……。KINGDOMでもガーディアンとの戦闘はAnswerの方のコンセプトでしたし。
なので私は、彼らATEEZが戦っていたのは黒い海賊団の姿を借りた「かつての自分」だったのではないかと解釈しました。弱く、幼く、何者にもなれなかった自分。そんな彼らがSay My NameでATEEZという名前を得て、征く道を阻む幾多の障害や誘惑に打ち勝つ。そういう、少年から大人への通過儀礼だったのではないかと思うのです。


Answer

ⅩⅣ.節制(TEMPERANCE)


時系列
WONDERLAND─Answer(END)


ラストです。死神の次は節制。ちなみに太陽の次はSay My Nameで充てた審判です。
最初は節制ではなく別のカードを充てる予定でした。でも二つの盃を持つこのカードのことがずっと気になっていて……。同時に、個人的に大アルカナの中で一番解像度が低いのもこの節制のカードでした。死神でドーンと「死!!終わり!!!」と提示しておいて、次に来るのがこの地味な天使か……という印象だったのです。節制という言葉自体も慎ましく、タロットの内包する壮大な世界観にそぐわない。しかしキリスト教では知恵・勇気・正義と合わせて「四元徳」と呼ばれる重要な教えだそうです。でも、それを知ってもまだこのカードを使うか迷っていました。

そんなとき、こちらの方のエントリに出会いました。

本国のAnswerのレビューを非常に分かりやすい形で翻訳されています。

その中に「激情と節制の共存」という一文があったのです。

これだ、これでいいんだ、と確信しました。
実際、Answerは楽曲・歌詞・映像どれも激しさと冷たさという相反する属性を持ち、それらが不協和音になることなく調和しています。なんというか、自分の中で言葉にできていなかったことを、レビューを書いた方や翻訳者の方の手を介して受け取ることができたのがとても嬉しい。


節制のカードに描かれている天使の盃に入っている液体はワインであり、水と混ぜて人が飲める濃さに調整しているという説があります。例えるなら黒い海賊団は猛毒に限りなく近いエリクシル(不老不死の霊薬)であり、ATEEZはそれを長い航海で得た水で割って、両者は盃を掲げて乾杯する……それはATEEZにとって黒い海賊団の力を得て成長するために必要であったし、黒い海賊団にとってもまた、人々を救済し続けるために必要な聖杯だったのです。




最後に、今回取り上げたカードの一覧です。

13.死神(DEATH)─WONDERLAND
14.節制(TEMPELANCE)─Answer
15.悪魔(THE DEVIL)─Treasure
16.塔(THE TOWER)─HALA HALA
17.星(THE STAR)─ILLUSION
18.月(THE MOON)─WAVE
19.太陽(THE SUN)─WONDERLAND
20.審判(JUGDEMENT)─Say My Name
00.愚者(THE FOOL)─Pirate King
01.魔術師(MAGICIAN)─Treasure

ほぼ連番になっているのですが、一つだけ今回取り上げずに敢えて飛ばしたカードがあります。20.審判と00.愚者の間のカードです。



ⅩⅩⅠ.世界(THE WORLD)


次のWORLD EP.3(仮)(WORLD EP.FINでした。えっ終わるの!?)のカムバ、楽しみにしています。
お読みいただきありがとうございました。


(尚、今回のエントリを書くにあたり、主にnoteで翻訳・考察をされている方々の記事を参考にさせていただきました。この場を借りてお礼申し上げます)


おわり


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