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3月の会津と忙しい癒し旅

3月の旅はいつも急に決める。

私の1年間のスケジュールは3か月に1回旅をすることを中心に決めている。それ以上旅の間隔を開けると鬱々とした気持ちになって、それより短い間隔だとちょっと忙しさを感じる。

だから、海外に行ったりいろいろな予約やら下調べやらを完璧にしたい旅は3か月に1回程度にしている。

6月が誕生日だから、6月にはご褒美の旅をする。それから3か月後ぐらいの9月にも旅に行って、12月は忙しいから11月に旅をする。そうすると次の旅はだいたい2月か3月ぐらいになるのだけど、12月は師走なもので旅の事を忘れて仕事をしている事が多い。

1月は鎌倉に行くのが毎年恒例になっているから、泊りではないけどお正月にお参りも兼ねてプチ旅に行く。旅といっても、横浜在住の私にとっては往復2時間程度のちょっとそこまで感覚なものだ。

だから2月半ばになって

あ、旅に出よう!

となるわけだ。

そうして急いで旅先を決めて3月の下旬に旅をする。

今年も例のごとく3月下旬にミャンマーに行く予定だったのだが、新型肺炎のおかげでやむなく出発前日にすべてをキャンセルした。

だから去年の旅を思い出した。

去年の3月も確か今年ぐらいに温かかった。だから春を感じにどこかに行きたいと思った。

あ、旅してない。

そう思って3月に入るか入らないかぐらいで急いで宿を探して予約をしたのが福島県の会津若松だ。

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ちょうど忙しくしていた時期で、ロクに下調べもできなかったからゆっくりしたいと思って露天風呂付きの旅館を予約した。

新横浜から新幹線にのり、そこから高速バスに乗り換え3時間程度で会津若松についた。チェックインまではまだ時間もあるし軽い気持ちで観光をしようと歩き出す。

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ロクに下調べもしてないといっても、基本私はものすごい心配性なのである程度の情報は入れてから旅をする。

だから、人気のランチスポットも調べていた。

会津若松といえば、わっぱめしや蕎麦、ソースかつ丼…おいしい物がたくさんある。だからごはんに気合が入っている旅館を選んだし、ランチの場所も調べて楽しみにしていた。

何でもない土日だったし、見るからに人も少なかったから、12時すぎのおひる時でもまぁ入れるだろうとなめていた。

ごめんなさい。今日は予約でいっぱいなんです。

団体客がいたようだ。だからフリーパスのバスに乗ってふらふらと会津城(鶴ヶ城)に向かった。今回の旅のテーマはゆっくり癒しの旅だ。

予定は詰め込んでいない。今日はお昼ごはんを済ませてふらっとお城を見たら宿に行って露天風呂に入りながらゴロゴロ過ごす。

それにしてもお腹がすいた。

何せもう14時前だ。新幹線では軽くおつまみ程度しか食べていないからお腹の虫が大騒ぎしだした。

だから会津城に向かうまでの道のりで至る所から漂うおいしそうな香りに引き込まれない訳にはいかなかった。

もともとの私の予定では、会津の郷土料理であるわっぱめしを食べようと思っていた。せっかく来たのだから、その土地ならではの味を楽しみたい。だから、「名物」という事だけは外せなかった。

そんな私のご希望に添うようにさすが城下は名物がひしめいていた。その中でも特に何でもそろっている所を選んだ。

本来であれば”専門店”で1つの物を極めたとびきりの味を頂きたい所だが失礼な話、観光客用のレストランでは味の質よりバラエティが重視される。

だからある程度キレイで、いろいろ楽しめそうな場所を選んだ。

お蕎麦とソースかつ。

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夜ご飯の事もあるから他にも食べたいものはあったが我慢して、メニューとにらめっこした末に地ビールを頼んだ。

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20代の女性が昼間っから地ビールを頼んだわけだから、オーダーを受けた定員さんは自分の耳を疑ったのだろう。

え、あ、ビールですね。

はい。すみません。

食事をおいしくいただいて同じ館内にあった物産展をふらっと回ったらお待ちかねの会津城へ向かった。

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ここからが問題だった。

たかがお城。天守閣に登って、景色を楽しんで。30分程度だろうと高を括っていた。これが大きな間違いだった。

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会津城の中には展示物がわんさかあって、思っていた何倍も見ごたえがあった。おかげて30分の予定が3時間に私の予定は大幅に狂った。

15時頃にはチェックインして宿での夕食までの時間をゆったり過ごそうと思っていたのに、気づけば17時前…急いで宿に向かってどうにか17時を少しすぎたところで宿にチェックインして夕食の19時までの間に急いでお部屋の露天風呂に入った。

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大浴場もおすすめです。今でしたら人も少ないです。

そんなことを仲居さんが言うものだから、時間もないくせに露天風呂に入った後、宿の大浴場にも行ってしまった。

時間がちょうどよかったのだろう。人は誰もいなかったから、大浴場も独り占めできた。

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大浴場の向かい側にあった宴会場からは賑やかな声が聞こえてきた。どうやらほかの宿泊客は18時から夕食なのだろう。私は遅刻してチェックインしたものだからちょっと遅めの19時を選んだ。

結果としてちょうどよかった。

ただし、ゆったりのんびりな旅とはお世辞にも言えないアクティブな旅になってきている事は確かだった。

夕食はとても豪華で、郷土料理もたくさん味わえ、地酒の飲み比べもしこれ以上の満足はないというぐらいお腹がパンパンに喜んでいた。

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それからまた露天風呂に入って、ゆっくりしながら明日のスケジュールを考え唖然とした。

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時間がない。

行きたい場所が多すぎる。

16時半の郡山発の新幹線に乗らなくてはいけない。電車を調べると14時過ぎに乗らなければ時間に間に合うものがない。

朝ごはんは7時からだから10時ぐらいにでて、4時間程度…

行きたい所はたくさんあったが、どうにか3か所に絞って明日に備えてずっしりとした布団の中に入った。

朝ごはんも昨日の夕飯同様、これでもかというぐらいお腹に戦いを挑む量だった。これはお昼ごはん抜きでもよさそうだ。

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そこから宿の車に乗せてもらってバス停まで行った。

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この辺も毎年のように宿がつぶれてしまって。昔はすごくにぎわっていたんですよ。

宿の運転手さんがそう話した。確かにお世辞にもにぎわってるとは言えない。宿についてしまうと周りには川と山しかない。温泉街だというのに露店もなければコンビニもない。

言ってしまえばさびれている。

それでも私はこの場所が気に入った。うるさい子供も、騒がしい団体客もいないし、ご飯はおいしいし、何より山に囲まれていて空が近く感じるところがすごく心地よかった。

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だからゆったりのんびりするはずの旅だったのに、思わず予定を詰め込んでしまったのだ。

バス停についたら、バスのフリーパスを買って飯盛山に向かった。

ここは白虎隊最後の場所として知られる山だ。

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山からは昨日行った会津城が見えた。

白虎隊士は町が燃えているのを、城が燃えていると勘違いし腹を切って自害したらしい。

確かにここから見ると、町と城がとても近くにありどちらが燃えているのかよくわからない。今でこそ山が切り開かれているけど、当時は木も、もっと茂っていただろうし町だってコンクリートじゃなかっただろうから見えにくかっただろう。

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私よりも若い人たちが絶望の中腹を切ったと思うと、今の日本の平和はこういう人たちが希望をもって戦った末にあるんだと手を合わさずにはいられない。

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そこから国指定重要文化財のさざえ堂にいって、上りと下りが全く別の通路になっている一方通行の構造を2回ほど楽しんだ。

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そんな事をしているから時間がないのだ。

しかし、飯盛山もさざえ堂もとても情緒があって思わず景色の中にたたずんでしまう。

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はっと我に返り、「名勝」御薬園へ急いで向かう。

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約600年前に起こり、江戸時代の戊辰戦争のときは、新政府軍の療養所として使用された歴史のある御薬園。

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3月だったらかまだ草花はさほど芽吹いていなかったけど、それでも庭園はとても立派だった。

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バスの時間もあったから、10分で出なければいけなかったのに結局30分も楽しんでしまった。

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その結果、冷や汗をかきながら30分駅まで小走りする羽目になった。

ちょうどいい時間のバスも電車もない…タクシーを捕まえるしかないけど、人もあまりいなければ車だってあまり走っていない。

もう歩くしかない。例のごとくGooglemapさんを頼りに旅行客なんて知ることもないようなローカルな道をひたすら歩く。

3月で雪も残る会津だというのに、私はコートも手に抱えて額に汗を忍ばせながら競歩の選手なのではないかというぐらいのスピードで歩いた。

御薬園での20分のロスの代償は大きかったのだ。

途中でタクシーを見つけたら絶対乗ってやろうと思っていた矢先にタクシーが私の後ろから優雅に通り過ぎていった。焦って手をぶんぶんと振り回すが私に気づいたのか気づかなかったのかそのまま優雅に通り過ぎて行った。

ちょっとムッとしながら歩いていくと、もう駅はすぐだった。だからタクシーは止まらなかったのかもしれない。

どうにかこうにか電車には間に合った。出発を待っている電車には結構人が乗っていて、みんなお弁当やらを楽しそうに広げている。

私はというと、お弁当を買っている時間もなかったので宿でもらったお饅頭をボックス席の窓際において景色と一緒に楽しんだ。

ゆったりのんびりなんて、どの口が言ったんだろう。結局いつものように慌ただしい旅になった。ひとりで旅をするときはいつもこうなのだからそろそろ学べばいいのに結局いつも散々歩き回って帰りの乗り物で爆睡するのだ。

それにしても、ゆったりのんびりとはいかなかったが会津の旅はとても楽しかった。本当はもっとたくさんの場所に行きたかったが、腹八分得ぐらいが旅もちょうどいい。私にとっては忙しいけど十分に英気を養った癒しの旅となった。


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