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【 #幻視】こだわりが産んだ世紀末の傑作「超空のギンガイアン」

※今回のnoteは1999年に「放送された」TVアニメ『超空のギンガイアン』第1期の放送内容を前提としています。未見の方はひとまず公式サイトからどうぞ。

いまから20年前に放送され、今なお根強い人気を誇るアニメ「超空のギンガイアン」。7月27日に放送20周年記念ミュージカルの上演が決まるなど、まだまだその熱は冷めそうにありません。

(第1期の見どころガイドを高梨蒼さんが公開されています。こちらも是非!)

さて、「ベオグラード・アニュアルレポート」という本を皆さんはご存じでしょうか。平たく言えばファンブックなのですが、「レジスタンス組織フィフスゴッドの母艦ベオグラード・ザッハの年次活動報告書」という体裁にこだわった編集となっており、
vol.1:2000年(第1期)
vol.2:2006年(第2期)
vol.2.9:2009年(映画パンフ)
vol.3:2010年(映画)
SP1:2014年(実写版パンフ)
SP2:2015年(実写版)
……と、「ギンガイアンが一旦落ち着く度に出る」とお馴染みのシリーズです。
そして今回奇跡的にvol.1特典の「未掲載分スタッフインタビュー音源CD」が発見できましたので、今回はこれとvol.1本誌を元にしながら推しポイントを紹介していきます。

1)監督と喧嘩してでも通した「環境音バックの会話シーン」

「僕が無理して頼んだのが2回だけあって、ひとつはアーとユーの曲(5話)はワンコーラスフルにさせてほしいという話でした。アーユーボーカル曲がこれ以降ないのかなと思うと惜しかったので。もう一つは8話のリチャードと弥勒の会話シーンをBGMから環境音バックに変えさせてほしい、という話です。これ言ったら監督と柘植さん(作曲)とに怒られちゃって。更に8話の本書いてた大林さんにも『私あの曲(註:使用予定だったBGM「嵐の前」か)ガンガン聞きながら書いてたのよ』って言われたんですよ。打ち上げの時に。でもあれは進言してよかったと未だに思ってます」(音響監督・牧カズノリ)

8話でも個人的にベストシーンのひとつとして扱っている「リチャードと弥勒のやりとり」真実がばっちり開示されてました。足音やドアの開閉音、あるいはアーとユーの話す声がバックで小さく聞こえる中でソレイユの熱意にあてられた男二人の、静かな情熱が見え隠れする一幕だったのですがまさか脚本家に直談判までして決めたとは。……恐れ入ります。

2)こだわりと役割の間で 揺れに揺れたブルーブロンズの装備

続いてもベオグラードの寡黙な仕事人こと刃弥勒関連です。機体設定の瀬田マユミさんのちょっと濃すぎるこだわりが入っていました。

「弥勒機(ブルーブロンズ)は初期設定だとグラディウス、第2案で太刀だったんです。ただこれがあんまりストレートな形状だったので『青銅の太刀は違うよね』という話になって、それで最終的には打刀だけど鍔は古代の青銅器の剣のような形状、ということにしたんです。ブルーブロンズ(青銅) なら青銅器モチーフが入っててもいいかな、と思って。逆に青銅器の時代に太刀そのままのものがないので、かえってグラディウスに近い形状の方がそれっぽかったんです。あと弥勒機の左腕は初期だと手首から肘手前辺りまで盾が付いてる予定で、これは私のアイディアでした。銅鐸型の盾でしたが『ちょっと遊びすぎだろう』ということで……。それで結局アンカーユニットにしたんですがこれがシナリオで活きる活きる。なんかあんまり悔しいので続編の機会があったら絶対盾装備させます」

そしてこの影響(?)を特典CDで語っていたのが当時プラモデル担当だった玩具メーカーの田川さん。

「ゴールドとコバルトの資料は早々に来たんですよ。ブルーブロンズだけ何バージョンもイラストが来てて、しかも全部武器と左腕が違う。仕方ないので1番多かった武器と左腕のパターンで金型用意してもらったら『決定稿来ました!』って。左腕違うのよ。シールドじゃなかったのって。(笑)発売止めるかどうするかって会議したのはよく覚えてますね。(中略)あとこれは初出し(発売当時)なんですけど、来年(2000年)2月に金型を一新したニューバージョンが出ます。このバージョンは『アニメ準拠版』ブルーブロンズとして瀬田さんと詰めてます。」

3)能面を買って考えた 四神獣部隊の仮面の謎

私が初めて本編を視聴してからどうしても気になっていたのがサンや四神獣部隊の付けていた仮面。どうも「ちょっと表情があるように見える」のです。この疑問は四神獣関連のデザインを担当した真鍋さんがきっちり解決してくれました。

「仮面関連で気をつかったのは鼻から下ですね。最初はもう少し犬歯が見えてたりする設定だったんですよ。でもどうもしっくり来なくて、ちょっと外の空気吸って来ようと蚤の市行ったら能面があったんです。嫗の面ですね。それ買って、じーっと見ながらデザイン書き起こして。最終的に友達に頼んで金属レリーフで立体物にしてもらいました。いろんな角度から光を当てて見て、表情はないけれどセリフ以上に雄弁にもなりうる仕上がりを追求しました」

ここまで語ってもまだ足りないのがギンガイアンの恐ろしさ。ちょっと前の作品ですが、皆さんもギンガイアン行為していきましょう。

◆おことわり◆
「超空のギンガイアン」は公式サイトや公式Twitter、主題歌「など」は発見されていますしミュージカルも事実です。この記事を最後まで読んでくださった理解あるあなたならお気づきの通り「そういうこと」です。ご了承ください。


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