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デザイナー合宿とその裏側2019

こんにちは、クックパッドデザイン戦略部 部長の倉光 @transitkix です。我が家の夏の定番料理といえば「夏野菜の揚げ浸し」です🌻

さて、本日からnoteでクックパッドのデザインマガジンがはじまります!現場のデザイナー陣がつぎつぎ登場し、様々なデザインの取り組みをお伝えしていきますね。


第1回目の話題は、最近開催したデザイナー合宿についてです。

2019年6月にデザイナー合宿やりました

デザイナー合宿とは、普段は各事業部に配属され別々のサービスに関わっているデザイナー陣が集まって「クックパッド株式会社におけるデザイン」について議論する場です。(通称で「合宿」と呼ばれていますが泊まりではなく基本的に1日です)年に1回のペースで開催されています。その年の組織形態や注力事項などによって、実施の目的や内容が異なります。

今年は、6月に新たにデザインの中央組織として「デザイン戦略部」が設立しました。「やるなら今しかない!」と思い、今年はこのタイミングで実施。当日は社内のデザイナー約25人が集結しました。

今回は、ミッションからデザイン戦略までを「デザイン」観点で一本の線でつないで見通すことを意識。

第一部 Understand Cookpad Vision

午前中は、「Cookpad Vision」について議論を通して理解するワークを実施しました。

Cookpad Visionは、「毎日の料理を楽しみにする」というミッションにおいて、前提として信じていることや目指す会社事業の姿について書かれた文書です。

小さなグループに分かれ、あらかじめ事前に読んで来たCookpad Visionに対し「デザイン」という観点で我々デザイナーは何ができるのか?をディスカッションしました。

第一部ではCEOの岩田も参加し、Cookpad Visionの生まれた背景を説明。ディスカッション終了後には、各グループの見つけた気づきや疑問について、その場でCEOと直接話して理解を深めるという機会を設けました。

第二部 Designer's Team 2019 Tactics Idea

午後の第二部では、デザイン戦略部の打ち立てた5つのデザイン戦略について、具体的な打ち手を検討していきます。

小さなグループごとに議論したいデザイン戦略を1つを選択。デザインスプリントで使われる手法などをいくつか活用しつつ、5時間で集中的にアイデアを発散し決定に向けて収束していく流れで進めました。

最終的には数十案のアイデア群が生まれ、全員での批評を経て、3つの戦術アイデア案が採用案として決定💮採用案は、2019年後半で順に実行されていくことになります。

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合宿の裏側 〜場のデザイン〜

ここからは裏側のお話。今回ファシリテーターとして工夫した点についていくつか紹介したいとおもいます。

様々な部署を横断したメンバーを集めて、何らかの成果を得たい / 特定の分野について集中的なアイデア発散と収束および決定を行いたい …そんな場面では参考になるかもしれません。

ちなみに今回はデザインスプリントで使われる手法をいくつか組み合わせて設計しているので、手法についてより詳しく知りたい方は「SPRINT 最速仕事術――あらゆる仕事がうまくいく最も合理的な方法」という書籍を読んでいただくと良いかもしれません。

🏁 みんなの到着地点はどこ?

まずは開催を検討した時点で、「わざわざ集まる目的はなぜか?」「終了後、どうなっていたら成功か?」を明確にします。プロダクトのデザイン改善案を決めるため?会社に対する理解を深めるため?デザイナー同士が仲良くなるため?

目的によって所要時間や形式も変化します。今回のゴールは下記。

・クックパッドデザイナーのミッションについて、理解が深まる
・2019年下期に取り組むミッションと解決アイデアの素案が明確になっている
・デザイナー同士でお互いを知る

このゴールにたどり着くため、今回はグループワークを基本にした二部制を採用しました。


👫 誰と何をする?

議論可能な粒度まで集団を分割する

残念ながら、25人で一斉に一つのことを議論し、全員が納得しながら決めていくのはなかなか現実的ではありません。

そこで、今回は5人で1グループを結成。チーム単位で議論やアイデア発想を実施することにしました。そこで出来上がったものを全員で批評するという形式で最後に収束へと向かうようにしています。

同じテーマで議論したいデザイナー同士を引き合わせる

議論をするなら、興味のベクトルが同じ人と組んだ方が、より活発で健全なコミュニケーションにつながります。

今回は各自に、デザイン戦略部の5つの戦略の中で「自分が貢献できると考えたデザイン戦略」を選んでもらい、選んだ戦略ボードを持って撮影。これをもとに、おなじ戦略を選んだもの同士でグループ分けを実施しました。

戦略ボードを持って撮影することで、誰が何に興味を持っているかが一目でわかるようになって、グループ分けの際もとても重宝しました。
(ちなみにこれはマーガレット・グールド・スチュワートがAdaptive Pathで使用していた「The Cards」という手法から発想しました)

デザインについて異なる視点を持った人も巻き込む

気づきの幅を広げるために、デザインについて異なる視点を持った属性の人に参加してもらうのは有効です。今回は、CEOとグループ会社であるウミーベのデザイナーにも参加してもらいました。

 🔨 当日までの準備は万端?

参加者全員の理解を揃えるための努力は惜しまない
合宿当日は、課題に対して全力で議論に集中にするのが望ましいです。そのため、目的やゴールなどの概要説明は前週のデザイナー定例ミーティングで実施しました。

運営のための雑務は、bot抽選で公平に
当日の会場設営などの計画は、1人のデザイナーが担当していました。
ですが、備品セットの準備/会場への備品搬入/会場レイアウト変更/飲食物の買い出しなど…前日から当日にかけてはより多くの人手が必要となります。

ここでは、役職/部署関係なくデザイナー全員が円滑な運営に協力できるように、botによる指名も有効です。(Slack上でrubotyのくじびき機能を使っています)

botの指名が容赦ないため、ときに自然発生的に善意のヘルプの声もあがりやすくなったり。

素晴らしいですね!

 🏡 オープンな環境をつくる

120%発散できる空間を用意する

場所の持つ雰囲気は、議論の流れにも影響を与えると私は思っています。
会社の会議室を抜け出して、なるべくリラックスして、発想を広げられる空間を選びたいものです。

今回は「会場内で、5つのグループが分散しつつ自分たちの作業空間がつくれる」「全員が集合できる空間も用意できる」「壁面が有効活用できる」という点を重視し、下見の結果GOBLIN.目黒店さんをお借りしました。

GOBLIN.目黒店
https://goblinspace.jp/usage/seminar/

意識してほしいことはルール化する

議論を円滑に進めるため、参加者全員に意識してほしいことはルール化します。今回は「人に優しく、アイデアに厳しく/時間を守ろう/年長者の横槍禁止…」などを9つのルールを導入しました。

小さな意思決定は極力排除する

目に見えない意思決定が積み重なると人々はだんだんぐったりしてくるので、エネルギーを温存するための下準備も重要です。

・お昼はお弁当を準備する(土地勘のない場所で昼食難民にならないように)
・当日の進行手順は文章化して共有し、グループの近くの壁に貼っておく(進め方に迷ったら書かれている通りに実行できるように)
・コーヒー/お菓子は手を伸ばせばいつでも手に入る位置に(休憩をこまめに取れるように)

🎤 役割と流れを決める

役割は権限とともに明確に

当日は限られた時間の中では、素早く意思決定して着実に前進することが求められます。そのためファシリテーター/グループ内ファシリテーター/決定者を任命し、それぞれに与えられた権限についても全員へ説明しました。

小人数の議論と全員で理解するターンを反復する

今回は意図的に、グループごとのワークと全員集合を繰り返すことで、大人数で取り組む中にも個人の力がきちんと発揮できるようにしました。第二部では全員の戦術アイデア案が出揃ったところで壁に張り出し、評価は「ドット投票」という形で各自の意思表明を反映しています。

最終的には、この情報を頼りに決定者であるVP of Design の宇野が採用案の最終決定を行いました。

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デザイナー合宿をやってみてからの変化

まずデザイン戦略部の5つの戦略について、デザイナー陣の理解はぐっと深まったように感じます。

通常業務の場面で、デザイン組織に関する提案があった時も「この案は、どのデザイン戦略に効果的に作用するだろう?」など戦略とのひも付きを意識するようになりました。

また第二部で決定したアイデアをきっかけに、デザイナー全員のスキルマップを可視化する取り組みも早速開始しています(これも触れたかったのですが、さすがに記事が長くなって来たのでこちらは後日ご紹介できればと…!)。

合宿参加者の事後アンケートでは「cookpad visionを読むことで、各事業が取り組んでいる課題にも納得感が生まれた」「ミニマムな自分の課題ばかり考えていたが、視野が広がった」「あまり話したことがないデザイナーともコミュニケーションがとれ、声をかけやすくなったと思う。」などの感想が挙がっていました。

何よりも、参加したデザイナーが打ち上げで「とても楽しかった!」「もっとこんなことやりたい!」と声をかけてくれたのがとても嬉しかったです。

デザイン戦略部では、このように事業活動の領域すべてにさらにデザインの力を発揮すべく様々な取り組みを行っています。

一緒にデザインを遂行する仲間も募集していますので、ぜひコンタクトお待ちしています。

ではでは👋

素敵なzineをつくりたい