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2024/03/20『曇天、それはセンチメンタルのスイッチ』

このあと雷雨になる予報。
暦の上では春も近いけど、日差しのない今日のような天気の日はまだ底冷えがする。花冷えとか花曇りというには早い、まだ冬の寒さだ。

ふと窓の外を見た時、低く曇ったグレーの空が見えた。
その瞬間、私の中にある光景が浮かんだ。
私はまだ高校生。毎日のように通っていた本屋さん兼レンタルビデオ屋さんの自動ドアを入った瞬間の光景だ。寒い中自転車をこいで店内に入った瞬間の頬を緩める暖房と本の匂い。手前の雑誌コーナーで発売したばかりの雑誌をパラパラと見て、奥のレンタルCDコーナーへ。前の日と何も変わらない棚を飽きもせず眺めて、さらに奥のビデオコーナーへ。ここも昨日と同じパッケージが並んでいるけど借りそびれていたビデオが戻ってきている。

そんな光景がなぜか急に思い出された。
あの頃ぼんやりと夢見ていた未来に、今の私は近づけているのかな。悩みや不安もあったけれど、ほんの少しの全能感も残っていた頃。今も相変わらず好きなものや居心地の良い場所はたいして変わらない進歩の無さ…。
たまに両親と行くこともあったが、そうか、あの頃の両親はまだ40代、今の私よりも若いのか…
なんでそんなことを思い出したんだろう。
そして、なぜ泣きそうなんだろう。

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