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すこしヘンな話

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エッセイ、評論など。*過去記事は電子書籍(Kindle)にまとめてAmazonで販売しています。
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記事一覧

僕らは消費を煽られている

資本主義はある意味消費主義とも言い換えられる。大量に生産し、大量に消費し、それを繰り返して経済は回っている。 つまり供給側(多くは企業)は、どんどん消費してもらうためにどんどん生産しなければならない。また同じものだと飽きられてしまうし、買い替え動機がなくなるから、新しいものもどんどん作り出していかなければならない。 そして作ったものは売らなければならないから、売れるように宣伝しなければならない。「これを使うと便利ですよ」「これを持っているとおしゃれですよ」とアップデートを

男性がメイクをするようになったのはSNSの影響か?

(特に若い)男性も美容に気を遣うようになったり、さらにはメイクをするようになってきたという。またそれが市民権を得られるようになってきたように思える。 その理由は様々だろうが、一因としてSNSがあるのではないか、と下リンクの記事を読んで思った。 SNSというか、正確にはSNSにより自分が映った画像や動画を見ることで、「自分の顔を認識する機会が増えた=自分の顔を意識するようになった」ために、顔に対する美意識(執着、こだわり)が上がったのではないだろうか。 記事の文中に以下のも

意味ないことができない病

「意味ないことができない病」とはここでいう意味とはあくまで「自分にとって」の意味だ。 たとえば一般的には、学校や勉強や会社や労働や恋愛や結婚は「意味あること」の中に含まれることだろう。その「意味あること」とは、人生の主要素=レール(現代日本においての)と言ってもいいかもしれない。 しかし個人単位でそれらが重要=「意味あること」であるとは限らない。勉強なんてつまらなかったり、働くことに興味がなかったり、恋愛や結婚をする気が起きなかったりすることもあろう。そういう人らにとっ

実は旅が苦手(向いていない)って人いますか

僕は正直なところ、旅行がちょっと苦手だ。 苦手というか、たぶん向いていない。 だからか、そもそも旅にあまり価値を見出すことができない。 理由としてはいくつか(いくつも)ある。 ・公共交通機関にできれば乗りたくない ・車やバイクならまだマシだが、しかしそれで遠距離だと帰りがしんどい ・混雑が苦手 ・時間(日程)に拘束されたくない ・本を読んだり書いたりできない(日々一番したいことだが、わざわざ旅先でしていたらもったいないように思う) ・感動力が低い(大体何を見ても食べても「お

時給換算は拘束時間や通勤時間や準備時間も考慮すべき

一見報酬(給料)が良くても、時給換算すると悪くなる場合がある。 わかりやすい例だと、サービス残業をしてしまうとそれに該当する。 一般的に時給換算は、1日の報酬を実働時間で割って出すはずだ。 しかし考えてみればこれは少々不正確だ。他にも仕事に使う時間=仕事の他に使えない時間(拘束時間)があるのだから。 たとえば休憩時間。名目的には休憩時に何をやっても自由ではあるが、普通職場で何でもはできない。 通勤時間も拘束されているといえる。電車移動ならスマホで時間を有効活用できるかもし

投資でFOMOに打ち勝つには【FOMOは敵】

FOMOとはFOMOとはFear Of Missing Outの略で、簡単にいうと「取り残される恐怖」という意味である。 主にSNSや投資において使われていて、情報や流行に取り残されて損をする(恩恵を受けられない)ことに焦りを抱いてしまう状況を示している。 投資においてFOMOは、相場環境が良い時によく感じがちだ。 暴騰する銘柄を保有しておらず、さらに自分の保有銘柄が低調だと感じやすい。 FOMOを感じると、「自分も乗った方がいいのではないか」と暴騰銘柄を買いたくなる。そ

「人それぞれ」の危険性|「父が息子に語る 壮大かつ圧倒的に面白い哲学の書」読書感想

「人それぞれ思うことは違う」 「人には人の正解がある、正義がある」 といった、各々の、様々な価値観を容認する立場を取ることを「相対主義」という。 これは一見人々や世界に寛容で穏健な立場のように思える。僕自身も割とこういった立場から物事をみている節がある。 だからこそ、そんな相対主義に危険性があることを、スコット・ハーショヴィッツ著「父が息子に語る 壮大かつ圧倒的に面白い哲学の書」で指摘されてはっとした。   * 相対主義は、一見お互いの立場を認めているようにみえる。 し

老後不安をなくすには「老後」自体をなくせばいい=無老後主義

老後不安の正体まずはこちらのポストを↓ 老後とは人的資本が0に(または0に近く)なる=つまり労働収入がなくなることを意味する。 雇用労働だと契約上の制限があるし、仮になくても高齢だと採用や継続は難しい。 となるといずれ引退せざるを得なくなる。そうすると労働収入がなくなってしまう。 労働収入がなくなると、収入源となるのは年金か資産収入(配当金など)しかなくなる。それらがなければ資産の取り崩しをしていくことになる。 年金については、支給額や制度の信用不安などがあるため、それ

詩人になりたきゃインドなんか行かずにさっさと書けばいい(意訳)

ヘンリー・デイヴィット・ソローは、アメリカの作家、思想家で、代表作「ウォールデン 森の生活」から、シンプルライフの先駆けとみられている人物だ。 そのソローの名句をまとめた書籍「孤独の愉しみ方」(イーストプレス)は、めんどくさがりゆえにシンプルを心がける自分に刺さる言葉が多くあるが、その一節に以下の文章がある。 つまるところ、「詩なんかすぐに、金もかからずにできることなのだから、詩が書きたいなら金を稼ぐことに時間をかけずにさっさと書けばいいんだ。働いていたら今詩を書く時間(

SNS(スマホ)ではなく白鳥でも見てよう

自然豊かな場所で過ごすと、脳に好影響があるらしい。 だからというわけではないけど、白鳥を見に行った。 白鳥は渡り鳥なので、冬は餌場を求めて南下してくる。よって1月頃は日本で見られるわけだ。 白鳥の佇まいは実に優雅だ。そしてその名の通りとても白い。なぜ自然の沼の中でこうも白さを保てるのだろう。水場は意外に汚れないのか、汚れてもすぐ落ちるのか、あるいはすぐに羽毛が生え替わるのか。 ちなみに灰色がかっている個体は幼鳥だという。 ただただ水面を漂っている彼らを眺め、彼らの鳴き

本が読まれないなら、あなたがもっと本を読めばいいじゃない

パーソナルコンピュータの父といわれる計算機科学者、アラン・ケイはこう言った。 「未来を予測する最善の方法は、自らそれを創り出すことである」と。 未来は読めるものじゃない。とある研究で、専門家といわれる人達が「間違いなく起こる」と言ったことが25%で起こらず、「ほぼありえない」と断言したことが15%の確率で起きたという。そもそも専門家たちの意見はそれぞればらばらだったらしい。 読めないのなら、未来の予想なんて不毛だ。そして不確定なら、自分のありたい未来を目指す方が、よほど確

SNSやニュースの有害さの一因は「広告(インプレッション)」か/広告断捨離

SNSやニュースがもたらす問題のひとつは「煽り」だろう。 ある出来事を大袈裟に語る、ある一面の目立つ部分だけ切り取って報じる、誇張するなど、人々の目を惹くように情報が「カスタマイズ」される。 なぜそう装飾させてまで目立たせるのかというと、注目を集めたいからだ。注目を集めないといけないからともいえる。 さらに、なぜ注目を集めないとならないのかというと、そうしないと広告やインプレッションが得られないからだ。 広告やインプレッションが得られないと、端的にいって儲からない。誰も見

もし恐怖がなかったら、もしあと1週間で死ぬとしたら

「もし恐怖がなかったら何をするか」 あるいは、 「もしあと1週間(あるいは1ヶ月や1年や)で死ぬとしたら」 これは真に自分のやりたいことを見つけるために使われる問いだ。 何が恐怖かは人それぞれだろうけど、それは主に「現在や将来の安定を脅かすもの」といえやしないだろうか。 たとえば収入が無くなる(減る)、将来の蓄えが少ないといった金銭面の他にも、他者からの評価、人間関係といった社会面についても損失を被るのは恐怖だろう。だからこそ人は金銭や他者評価を獲得するために効果的であろう

【幸福論】諸悪の根源は「選択肢」では?

「選択肢の多さ」と言った方が正しいかもしれない。 選択肢が多いというのは一見自由があって素晴らしいことのように思える。確かに全く無いよりはマシだろう。 が、選択肢が多すぎるというのも案外厄介なものだ。 まず選択肢というのは往々にして期待の矛先となる。どちらがいいか、あるいはどちらが失敗のリスクが少ないかと、より良い結果を探すことになる。 しかし選択肢に際限がないと、その期待にも際限がなくなってしまう。上には上があるし、下には下がある。 その上下は時期によっても異なる。た