カブの旅 第31話「カブランチ そばの神田」
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自転車だと疲れる、人混みが嫌なので電車は乗りたくない、車だと駐車場代がかかる……といった理由から、これまでは積極的に仙台駅前に行くことはほとんどなかった。
しかし今の僕にはカブがある。カブがいる。手軽な移動はこいつの領分だ。なので最近は、ちょっと仙台駅前まで行ってご飯でも食べるか、なんてことをたまに思うようになった。
ただし、都心部あるあるである『バイク駐輪場少ない問題』は、ここ仙台でもつきまとう。なくはないのだけど、地上に駐められる台数は限られているし、地下駐輪場は入口が歩道の脇にあって入りづらかったり、狭いためバイクを押して入らなければならなかったりと面倒なことが多い。
じゃあ仙台駅前にバイクで来たらどこに駐めればいいの? というと、僕は西口ならパルコ2の地下駐輪場に駐めることが多い。
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4月20日の仙台は、出不精の僕ですら出かけたくなるほど天気が良かったので、カブランチでもするかと仙台駅西口へ。
パルコ2の地下駐輪場のバイク用入口は、パルコ2の裏側にある一方通行の路地からでないと入れず、その路地には南町通から入るのだけど、しかし南町通を西側から来てしまうと、右折禁止のため入ることができない。なので愛宕上杉通から南町通に入り、左折して路地に入るようにしないといけない。
愛宕上杉通から南町通に入ってすぐのこの交差点を左に曲がると、
朝市があり、
その向かいにバイク用駐輪場の入口がある。
やけに広いのは貨物車と兼用のためだ。発券ボタンもバイクとは区別されている。
中は駐輪スペースまで乗っていける。
土曜日のお昼前でも駐輪しているバイクはこのくらいだった。満車で駐められなかったことはない。
駐車料金はこちら。
ここの駐輪場がおすすめなのは、3時間までなら無料なところだ。ちょっとご飯食べて買い物するくらいなら十分間に合う。ただ逆に一日駐めるのであればやや割高なので、そういう人は仙台市営の駐輪場の方がいい(そちらは無料時間がない代わりに、一日120円固定となっている)。
ちなみにパルコ1の方も同様の料金体系なので、駅近に用があるならそちらの方でもいいと思う。
階段を上り、自転車用の出入り口から外に出ると、パルコ2と隣のイービーンズの間の歩道がある。
本日の目的地はここから程近い、南町通沿いにある。
南町通は長らく続いていた工事が終わり、めっきり綺麗になった。
お店はここ、ヤマダ電機の隣にある、『そばの神田 駅前南町通り店』。
立ち食いそば屋のそばの神田は、仙台民のソウルフードだ。
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ソウルフードとは僕が勝手に言っているだけだけど、住民の記憶に根付いているという意味では、あながち間違いではないと思う。なぜならそばの神田は、仙台駅前のメインストリートであるアーケード通りに昔からいくつも店を構えており、仙台民なら誰もが通るそこで、食欲を誘う鰹出汁の香りを漂わせているからだ。実際に食べたことはなくても、その匂いを嗅いだことがない地元民はいないのではないだろうか。
かくいう僕も、子どもの頃に行った覚えはないにもかかわらず、その香りは幼少期の記憶に紐付いていた。だからだろうか、そばの神田に行くと無性に懐かしさを覚える。そして子どもの頃は大人が行く場所だと認識していたため、ああいつの間にか僕も年を取ったんだな、と時の流れを実感するのだった。
(御託はいいからさっさと店に入れ。私は腹が減った)
「ごめんごめん」
そういえばカブはそばが好きとか前に言っていたっけ。
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注文は食券購入制で、メニューはこんな感じ。
ちなみにうどんも選べるので、そばとどちらにするかは食券を出す時に店員さんに伝える。そういえば何度も来ているのに、僕はいまだにうどんを食べたことがない。今度はうどんにしようと決めていても、注文する段階になると思わず「そばで」と言ってしまうからだ。
ただ今日は割と久しぶりだったので、王道のそばにした。冷やし野菜かき揚げそば1.5玉にした。個人的にはここの天ぷらは野菜かき揚げが一番おいしい。そして冷やしの方が麺が引き締まっていて好き。あと普通盛りだと少なく2玉だと多いので、その間の1.5盛玉。計470円。僕の定番の注文だ。
注文後、体感的には3分も経たずにそばが出てきた。いつも速いけど、土曜日の昼時でスタッフが多くいるためか、過去最高に速かった。
で、こちらが冷やし野菜かき揚げそば1.5玉。
わさびを溶かしたり七味をかけたりしながら、一息に食べていく……。
立ち食いそばをたぐり、スーパーカブに乗って帰る休日。
「……本当に年を取ったなあ」
とやっぱり思ってしまう、そばの神田だった。
その分活字を取り込んで吐き出します。