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見栄を乗り越える方法。

この記事は,僕が実際に塀の中で非行少年たちに語りかけた内容を,記憶をもとに文字起こししたものです。塀の中の教室の空気感を想像しながら読んでもらえたらうれしいです。

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「出院後,どうやって生きていくか」ってのは,少年院生活の大事な課題のひとつだな。

みんな,それなりに考えていると思う。

理由や目的はともかく,大半の人は「もう犯罪しない」と思ってるだろうし…

大抵は,出てからやりたいことも考えてるだろう。

今日はひとつだけ…

生活設計を考える時の大事なポイントを伝えておこうと思う。

簡単だから3分だけ集中して聴いてくれ。

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これまでにも何度か話してることだけど…生活設計ってのは収入と支出の算数で終わりにしちゃいけないんだ。

大半の人は…

①どんな仕事をしていくら稼げるのか
②何にいくら使うのか

を計算して,赤字にならなければ「これでオッケー」って生活設計考えるのを終わりにしちゃう。

でも

犯罪で何十万も手に入れて
それを湯水のごとく使ってきた人間が…

ひと月必死に働いて
時に客や上司に怒られながら…

やっと20万かそこらの金にしかならなかった時に…

本当にそれで生きていけるのか?
無理なんだよ,今のままじゃ。

仮にそれで最初のひと月やれたって…

かつての仲間が相変わらず犯罪して豪遊してたら,うらやましくなるだろ?

んで

うらやましさが劣等感になって
「俺ももっと稼ぎてぇ…」になったら…

あいつらの倍働いて
稼ぎは半分かよ

やってらんねぇな。

ってなるわけだ。

そうなったら詐欺やカツアゲに戻って終わりだろ。

じゃどうしたらいいと思う?

成り立ってる計算どおりに生活するには…
犯罪で豪遊してる奴を見ても流されないためには…

君たちは何をどうすればいい?

俺が思うにはな…

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業界あるある

放デイのスタッフをしながら、わが子の非行に悩む保護者からの相談に応じたり、教員等への研修などを行っています。記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。