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ラ党の人々(その2)

 父/勝新太郎、後妻/松坂慶子、長男/博報堂担当者、長女/手塚理美、長女の夫/国広富之、次女/富田靖子、次女の夫/藤井尚之。

 妻の四十九日が終わり、後妻を迎えることになったワンマン社長。その女性は自分の会社で働いている息子が思いを寄せている同僚。もうこれだけでつかこうへいの世界。公表された未発表作「鯖街道」にも通じる設定でした。

 どの回もテンポが良く濃い内容で最高なのですが、特に好きなのがレストランでのデザート回です。

父「じゃあデザート食べようか」
長女「わたしメロン」
次女「わたしもメロン」
後妻「わたしもメロンいただきます」
父「じゃあぼくもメロン」
長男「僕もメロンにしてください」
父「おまえはスイカにしなさい」
長女の夫「僕もスイカにします」
次女の夫「いちごください」
父「お前ら家庭というものをどう考えているんだ、こんなバラバラで。もうデザート中止」
次女「えーっ、しんじらんなーい」

 真知子さんと家族の顔合わせが終わり上機嫌の父。娘たちはなんとなく面白くないので高級なものを頼んじゃえとメロン。真知子さんもそれに合わせてメロン。父も真知子さんがそうならとメロン。真知子さんに未練があり父にコンプレックスを持つ長男も強がるようにメロン。しかし長男の体を心配して父はスイカをすすめる。おそらく長男は腎臓が悪いのでしょう。実際そういうときにスイカはよくないという話もありますが、それはそれとして。いつまでも子供扱い。長女の夫は長男に寄り添いスイカ。若い次女の夫は無邪気にただ本当に食べたいと思ったイチゴ。気分屋の父は急に不機嫌になって理不尽な宣言。次女が立ち上がって「しんじらんなーい」。わずか25秒の間に、7人の個性がみっちり詰まっていました。すごすぎます。「しんじらんなーい」の独特な抑揚は、おそらくつか得意の口立てによるものでしょう。テーブルにはラガービール。完璧です。

 こんな回もありました。

ホテルのフロント。長女と長女の夫。フロントの男に見せつけるような演劇調のやりとり。
夫「初めて二人がデートしたとき」
妻「みゆき座で卒業っていう映画を観たんだったわね」
夫「さらわれる花嫁を見て君は拍手した」
妻「したわよ」
夫「しかし俺は残された花婿のことを思うと泣けたよ。君は拍手して」
妻「あなたは泣いた」
夫「最初から二人が夢見る方向は違ったんだ」
妻「男って簡単なことで傷つくのね」
二人揃ってドヤ顔でフロントの男を見る。

 これも同じく25秒。ビールは出てきませんが、このやりとりはちょっと飲みたくなります。


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