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未来予測能力

青年には、未来を予測する能力がありました。

あるいは、それも「ディケンズの分解メス」の能力の一部だったのかもしれませんし、全く別の力だったのかもしれません。いずれにせよ、未来に起こり得る可能性の1つをイメージとして見る瞬間がありました。

たとえば、こんなイメージ。

どこかのボランティア。子供たちを引き連れて、ハイキングか何かに行っている。
青年は「あの人」と一緒に並んで歩いていて、それを見た子供たちにはやし立てられる。
「2人は、お似合いのカップルね♪」みたいなコトを言われて。

「これは実現するな!」という直感が働きました。

事実、このシーンは実際に体験することになります。ただし、それが「いつ起こるか?」まではわかりません。この時は、3ヶ月ほどのタイムラグがありました。

イメージを見てから3ヶ月ほど経ったある日、ボランティアで子供たちの引率をして遠くの公園まで遊びに行くことになりました。

青年は、あの人と並んで歩いていて、何事か熱心に話し込んでいます。それを見た女の子の1人が「2人はつき合ってるの?」と聞いてきました。

青年は、なんて答えていいのかわかりません。肯定するのもおかしな話だし、真っ向から否定するのも気が引けます。

言葉を探している内に、女の子の方が先に次のセリフを発してしまいました。

「だって、2人の間からピンクのオーラがいっぱい出てるんだも~ん!」

その瞬間、青年は「あ!このシーンだ!」と思いました。間違いなく、夢で見た映像です。若干シチュエーションは違っているものの、おおまかにはイメージ通りの出来事です。

そんなコトが何度もありました。ただし、それを人に話すと実現する確率が格段に下がります。特に当事者に話すと、未来が変わってしまうのか、イメージ通りの出来事が起こることはなくなります。


未来予測は、いいイメージの時もあれば、悪いイメージの時もありました。「絶対の自信」がある時も、ボンヤリとした不確実な時もありました。

悪いイメージでいえば、「事故」「病気」「死」でしょうか?

たとえば、父親の病気。「あ!このままだと父親は病気になるな!」という直感が働きました。この時にはイメージだけではなく、根拠がありました。理由は母親です。

青年の母親は非常に口うるさいタイプであり、かつ「自分でこうと決めたコト」に関しては絶対に曲げません。青年が小学生時代に受験戦争に巻き込んでおき、絶対に後には引かなかったように。

だから、確信があったんです。「あの母親の側でずっと暮らし続けていたら、精神的にまいってしまい、必ず病気になる!」と。

それを防ぐためには、母親以上の信念を持つか、なんらかの「防御手段」が必要でした。青年は、長い年月の間にその防御手段を確立しつつありましたが、おそらく父親はそれを持ち合わせてはいないでしょう。

母親の両親も、また同じでした。青年から見て祖父母。おじいちゃんとおばあちゃん。

おばあちゃんは、母親と同じように「世界は自分を中心に回っている」という生き方をしており、絶対に自分の意見を曲げません。そんな人と長年連れそっていれば、精神的ダメージは蓄積していきます。

結果、おじいちゃんは、くも膜下出血で意識を失ってしまいました。最悪なコトに、自動車の運転中だったため民家の石壁に衝突し、そのまま亡くなってしまいました。同乗していた知人も亡くなりました。

ところが、一緒に乗っていたおばあちゃんは生き残りました。なんという悪運の強さでしょう!

その自動車の免許だって、60歳を越えてからおばあちゃんがおじいちゃんに無理やり取らせたのです。

運命とは、そういうもの!


話がそれてしまいましたが、「父親が病気になる」という青年の勘は当たってしまいます。なぜなら、そのコトを誰にも話さなかったから。

「あんまり口うるさく命令ばっかりしてると、お父さんは病気になるよ」と、たった一言告げていれば、事態は変化していたかもしれないのに…

結果、青年の父親は肺ガンにかかります。余命数ヶ月の命でした。

noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。