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『星導く祷』のはなし③

ちょっと時間が経っちゃったけど、ブログです。
毎度の文量で様々な方にドン引かれていると思いつつ、今回も自由に書いていきます。ブログという媒体は私向きな気がするね。今回は『星を落とす』について。「星導く祷のはなし」はこれで最後になると思います。多分。

「星を落とす」について

「星を落とす」は、2018年の『星辿る人』で初演。2019年『星紡ぎの唄』では、ロングVerで再演されました。今回の『星導く祷』で3回目の上演となります。星シリーズの核になる話で、シリーズの本筋を追うならこれを見なきゃ始まらない!という作品です。
今回も金村マリアの役で呼んでいただきました。大感謝。私は、2019年版の頃から、「星を落とす」は全員がずっと祈り続けているような舞台だな、と思っていました。幸せに生きてほしい、だったり、落ちてほしくない、だったり、ピアノ聞いていてね、だったり。『星導く祷』にぴったり。

バカすぎるので、3回もやらせてもらって、終演後にやっとタイトルの真意を理解しました。え、今更?

登場キャラクターについて

今回も一人一人についてコメントをしたいのですが、実は「星を落とす」、ずっと目を閉じてお芝居をしています。ご覧になった方はわかると思うのですが、金村マリアは失明していて目が見えないので、実際に私も視力0で演じていました。また、やり取りがあるのもベテルギウスだけで、あとは袖から見えたり見えなかったり…。なので、あまり大したコメントができる自信がありません。五感で感じたことを書きますね。
多分パパのことばっかりになります。

ベテルギウス

HORIZONの芝原鴇(しばはらとき)さんが演じられていました。ベテルギウスはろうそくが燃え尽きた金村マリアの魂を回収しにくる星(天使)です。
金村マリアの魂を救おうとすごく必死に頑張ってくれるのですが、必死になるのにはかなり重要な裏設定があります。ここでは敢えて言いませんが、小説版「星を落とす」を読んでいただくと、少しだけわかるかもしれません。芝原さんとのお芝居は、すごく楽しいです。やりたいことを丁寧に拾い上げてくれて、自分のしたいことも調和をとりながら提示してくれる。そんな印象です。
私は見えていないので正直何が起こっているのか、どんな技術を使っているのかわからないのですが、芝原さんは、息を合わせる、ということができない状態の私とバッチリ呼吸を合わせてくれます。本当にすごいと思う。目を見て会話してないのに、すごく近いところでつながっている感覚。
マリアとのシーンは常に「パパ」か「マリア」のどちらかの呼びかけから始まるのですが、どちらからセリフを出すか、実は毎回ちょっとした駆け引きがあります。でも、なぜか同時に出たことはないんです。これも私は何もしていないので、全部芝原さんの力。
そして、音ハメもめちゃくちゃ上手いんです。お気付きですか?ベテルギウスとマリアの最後のシーンで「around the world」という曲が流れるのですが、この曲の盛り上がるタイミングに、セリフや動きを綺麗に収めてきます。毎回本当にすごいと思っています。私は音を意識していない時間が長いので、多分芝原さんにちょうど良くなるよう誘導されているんだと思います。
ベテルギウスは最初に出会った時にはすごく、任務中のマスター然としているのですが、少しずつかかわり方が揺らいでくるのが感じられて、面白いです。表情も動きも見えないけど、それ以外の要素すべてでパパの優しさを感じます。本当に大好き。

シリウス

HORIZONの草野冴月(くさのさつき)さんが演じられていました。ベテルギウスの裁判を担当することになった、ベテルギウスの一番弟子です。
今回のシリウスはボイスドラマ『おおいぬ座の見つけ方』を経ているので、解像度がめちゃくちゃ高い。そりゃもう、ベテルギウスの暴挙を必死に止めますよね。『おおいぬ座の見つけ方』で、初任務で星のなんたるかをベテルギウスから学び、彼に陶酔する様子が描かれることで、余計に師を裁くということの残酷さが色濃くなりました。「僕はあなたに落ちてほしくない」の切実さ、苦しくなりました。
マリアをやっている手前、あんまり言うと怒られちゃうんですけど、シリウス、格好いいですよね。

ハレー

ハレー役はHORIZONの結城あさと(ゆうきあさと)さん。美しいお姉様です。
黒いベールに包まれた、凛として美しく強く儚く優しい存在。なんだろう。『彗星のしくみ』を見ているから、矛盾だらけの存在であるハレー、というお芝居の厚みや奥行きを見た気がしました。
ハレーさんがいることによって本当に『星を落とす』という作品に広がりが出るし、本当に現在進行形で大罪を犯しているんだな、とわかる。
すごく大事なキャラクターだな、と思います。

リゲル

HORIZONの月野天葵(つきのそら)ちゃんが演じていました。リゲルは、罪を犯した直後のベテルギウスと出会っていたことで、裁判に同席することになります。
今回「星屑のセレナーデ」があったことで、本当に嬉しそうな気持ちが伝わって来るので、ベテルギウスとのシーンが余計に皮肉な感じがして辛い。毎回、「なんだか悲しそう」というセリフに心がざわつきます。
最初の天則を読んでいるときの、声の震え方や必死さがリアルで好きでした。ベテルギウス天則を唱えないから、動揺したんだなぁ…という感じが伝わってきました。

金村マリア

マリアについては、ちょっとした裏話だけご紹介。彼女は「Moonlight」の流れているあの時間、両親の飛行機事故の夢を見ています。彼女は飛行機が嫌いです。
あと、今回のマリアは、星を落とすでもサンタマリアでも、最後は笑顔で別れようと努力します。
別れる、ということ、相手に覚えていてもらう最後の顔は笑顔がいいと思える強い子になりました。全然できてないけどね。

前回から今回の間の様々について

2019年版『星を落とす』以来、今回の役作りにも影響された様々な出来事がありました。スペースでも少しお話しましたが、ここでも少し触れさせていただきます。

祖父

私は、根からのおじいちゃん、おばあちゃん子です。産まれてからずっと祖父母と暮らしており、親よりも祖父母に可愛がられて育ちました。
祖父には学校への送り迎えをしてもらったり、一緒にご飯やカラオケに行ったり、部活の応援に来てくれたり、思い出は語ればキリがありません。
そんな祖父が、2019年に亡くなりました。
近い身内の死、お葬式を初めて経験しました。祖父の生前からの言付けだったので、弔事も私が読みました。人が亡くなるとはどういうことかを実感しました。

入院

2019年10月、これを読んでいるほとんどの方はご存知かと思いますが、かなり大きな交通事故をしました。『TRUMP』初日の前日、マリナートからの帰り道でした。祖父が、亡くなった翌月の出来事でした。事故を受けて、2ヶ月間の入院生活を送ることになりました。
その中で、たくさんの方に心配され、何度も「生きててよかった」という言葉をいただきました。もしも私が死んでいたら、この暖かい言葉をくれる皆さんにどれほどのショックを与えてしまうところだったんだろう、と怖くなりました。また、人は案外すぐ死ぬんだな、と何故か納得してしまいました。身近な人の死が怖くなりました。
そして、色んな手術を終え、退院も決まった入院生活最後の日、その日がちょうどふたご座流星群の日でした。とても晴れた天気のいい夜でした。オリオン座の側を横切る、強く光る流れ星を見ました。
入院中、ずっと金村マリアのことが頭をよぎっていました。本当に他人ではないような気持ちになりました。

こうした様々な経験をして、金村マリアの言葉ひとつひとつに自分の経験を重ねて、より深い理解でお芝居をすることができました。人生経験は何事にも必要ですね。たくさんの想いを重ねて演じた金村マリアという役は、よりかけがえのないものになりました。

おわりに

今回、『星導く祷』で、「星を落とす」「Santa Maria」の2作品で金村マリアの役を続投させていただけたこと、本当に嬉しかったです。
『星導く祷』のブログはこれでおしまいにします。
また金村マリアに会えるといいな。

最後まで読んでいただいた皆さん、本当にありがとうございました。

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