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シャレン!アウォーズとは映え選手権です

美味しんぼの22巻で究極のメニューvs至高のメニューは、豆腐が題材でした。
至高のメニューが出したのは汲み出し豆腐。
豆腐を作っている途中段階の汁気たっぷりふわふわ状態のものを文字通り汲み出して食べるものですが、普通の豆腐を作っていると、水分を抜くために重しを載せることで水分といっしょに失われる豆腐本来の風味を楽しめるのが魅力です。
豆腐の本質に迫った汲み出し豆腐の衝撃に前に、下手に手の混んだ豆腐料理では大恥をかくと懸念された究極のメニュー側が出したのは、同じ汲み出し豆腐と思いきや、布巾を敷いたザルの上で水分を切っていただくというもの。
汲み出し豆腐に味は劣らず、より豆腐らしさのあるざる豆腐の勝ちと判定されたのです。

それに対して29巻で登場した団社長はこの対決を振り返って、「審査員はざる豆腐の勝ちとしたけれど僕は汲み出し豆腐のほうが好きだ」と自身の見解を述べます。
「豆腐の形がどうとか、料理しやすいとかどうかとか、功利的なことは考えずに、豆腐の美味しさの本質はどこにあるのか、じつになんのてらいもなくあっけらかんと見せてくれた」

「美味しんぼ」29巻より

ということで、4回目のシャレン!アウォーズが開催されています。
各クラブが地域で行っている社会と連携した活動について、審査員が表彰する活動を選んでいくものです。
去年もこのアウォーズに対しては「順位付けするのっておかしくないか?」「優劣をつけるものじゃないだろう」という批判の声があちこちから上がりました。
「マスコット総選挙から間髪入れずに、また変なことで競争を煽って」みたいな記事もありました。
仰るとおりです、気持ちはわかります。
僕も意味の分からない順位付けとか勘弁して欲しいって思うし、ましてやお前58位!お前59位!お前60位!とか烙印押される側の気持ち察しろよ、F◯◯K、とか思わないではないです。(というか実際に会議の場でJリーグ関係者に噛み付いた過去も何回かあります)
が、このシャレン!アウォーズに関しては、しかるべき意味があってやっていることだとは1年前もこのnoteで書かせてもらいました。
そもそもシャレン!アウォーズは順位付けていないんですけどね苦笑

あれから1年、シャレン!アウォーズってなんだろう、どう存在意義を説明すれば良いんだろうって考えた末に30年前に読んだ美味しんぼの豆腐対決がふと思い出されたのです。
で、実家の段ボール箱から22巻と29巻だけ引っ張り出してしまったのです。

それを踏まえてあえて言い切るけど、シャレン!アウォーズとは「映えを競う大会です!」。
映えとはインスタ映えとかの映えですね。
ここで競うのはメディア映え、スポンサー映えです。
料理の味ではなく盛りつけの美しさを競っているようなもんです。
活動の本質的な価値はあんまり関係ありません(多分)
江頭2:50風に言えば「お前ら全員金メダルだ!」が大前提なんです。
じゃあなぜ「映え競争」が必要なのかという話です。

Jクラブにまつわるニュースは日々無数に世の中に流れています。
そのなかで耳目を集めるニュース上位3つを(小林の肌感覚で)挙げると、、、
・試合に勝った負けた優勝したできなかった昇格したできなかった降格した
・監督や選手の去就つまり契約更新、契約満了、移籍、現役引退
それで最後のひとつはというと、、、
・警察沙汰や規約違反や違法行為などの不祥事
他のことも含めてですがホームタウン活動でもシャレン活動でもいいですが、ニュースにされる優先順位では不祥事に大きく負けているんです。

NHKでプロフェッショナルなどを担当していた小国さんが長年の経験を込めておっしゃっていたことですが
「良いことほど伝わらない」
なんです。

だからホームタウン活動とかその必要性は理解されているし、自分たちの地域でもやってくれとも言われるけれど、やっていることを広く世に伝えるって本当に難しいです。
そんなわけで田上裕が徳之島でサッカー教室やっても、長島町で子どもたちに全力夢講話をしても、大崎町で小学生とガチ50m走で競争しても「鹿児島ユナイテッドFCは鹿児島市だけでやってるクラブ」という認識は動かせないのです←これは小林の力不足が大きく申し訳ないです。
鹿児島はかなりマシな方ですが、むしろ勝てない時に「そんなんやってないで練習しろ」とヘイト集める要素トップ3に入るくらいです。
(パリィできればいいのですが以下略)

外からJリーグに来られた方々はたいてい最初に愕然とします。
「なぜこれだけ素晴らしい活動をしているのに、この価値が世の中に伝わっていないのだ?」と。
でも実際問題なかなかクラブの外に伝わらないから、クラブに還元されるものがなく、だから経営する側としてはどうしても予算をかけることができず、夢を抱いてやってきた現場の人材は摩耗して業界から去っていく。

この問題意識がシャレン!アウォーズにつながりました。
知ってもらうのが難しいからこそ、各クラブの人たちには伝える努力を続けてほしいし、リーグとしても知ってもらうための努力をするし、知ってもらった先に興味を抱くスポンサーとつなげる努力をする。
今回のシャレン!アウォーズで「人気投票」「SNS強クラブ・ビッグクラブによるマウント合戦」になるリスクを重々承知の上でファン・サポーター賞を設けたのは、一番クラブを愛してくれている人たちにこそ、まず知ってもらわなければならないからです。
知ってもらえない活動は、知らない人にとってはしていないに等しいのです。

良いことを続けるためにも「映え」が必要なのです。
メディアに「たくさんの人に閲覧してもらえそうだ」と積極的に報じていただけるように、スポンサー企業に「協賛することで企業イメージが向上する」と興味を持っていただけるように、あるいはクラウドファンディングとかの形で収益化できるように。

話が長くなってきたのでまとめます。
シャレン!アウォーズとは、活動の本質的な価値を競うものではありません。
誰の実家の料理が一番美味しいかなんて話題、無粋の極みじゃないですか。
まさに豆腐対決でざる豆腐が勝った理由が「料理しやすい」「豆腐と言える」と言った功利的な要素だったように、今回受賞できないクラブも活動の価値が劣っているわけではないのです。
それでも、そんな烙印が押される懸念、副作用は承知の上で、それでもメディア映えさせることでニュースとして報じていただきやすい下地を作り、企業の方々が「協賛するに値する」と思っていただけるようにしなければ、活動に未来はないからこそ、Jリーグの人たちはシャレン!アウォーズを実施しているんです。
ジュンさん、アオさん、ギータさん、そうっすよね?
(違ったらごめんなさい)

4回目を迎えて明治安田生命による賞が新設されました。
Jリーグのタイトルパートナーが、シャレン!アウォーズにも一枚噛む意思を示し、シャレン!にもまたタイトルパートナーである意義を見出してくださったのです。
リーグ関係者の皆さま、よくぞここまで持ってきてくださいました。

明治安田生命の皆さま、ありがとうございます。

鹿児島ユナイテッドFCが受賞できるかどうかは別にして、「映え」という視点はこれからも持ち続けて行きたいもんです。
以上、クラブからもリーグからも「そういうんじゃないんだけどなー」と言われるリスクを承知の上で、小林なりにシャレン!について語らせていただきました!

多分、来年もなんか書くんだろうなー笑

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