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「Numberと週刊SPA!に書く文章が同じでいいと思う?」by金子達仁さん

自分は2009年秋から2010年初めにかけて金子達仁さんが主宰するスポーツライター養成講座「金子塾」に通っていました。
その後に地元鹿児島の情報誌LEAPで編集者として3年半働いて、現職に至ります。

この日々で文章を書く上で色々と教わったこと、学んだことがあるので、復習のため何回かに分けて整理することにしました。
まず今回は金子塾の第一回で金子さんに言われたこと。

「誰が読むのかを考えること」

これは塾生募集の際に、応募者がそれぞれ提出した課題文についておっしゃっていたことです。
要は塾生みんなの文章が上手い下手以前に、自分が言いたいことを書き連ねているだけであり「(塾の主宰者である)金子達仁が読む」「金子達仁の興味を引く」ということを意識できていない、と。
だから最初の2行だけ読んで、あとは軽く読み飛ばした、とまでおっしゃっていました。
目黒の会議室に集まった約30名を取り巻く空気が一気に緊張感に包まれていました。

そして、かなりタメておっしゃったのが、見出しの言葉です。
・あらゆるスポーツにおける人物や試合を深彫りする「Sports Graphic Number」
・尖った企画で読者を楽しませる総合雑誌「週刊SPA!」

読者が違えば、求める情報、おもしろいと感じるツボは違って当たり前です。
同じ試合、同じサッカー選手のことを、同じライターが書くとしても切り口や表現を変えるのも当たり前のことでしょう。
自分の意見そのものを曲げてでも読者の趣向に合わせろとかではなく(それはただの二枚舌です)、伝えたいことの本質は保ちながらも、伝え方を工夫しなければならないわけです。

これって長年やっている人でも見落としがちな急所です。
文章を書く技術や取材の成果以前の重大な問題です。
もちろん自分含めて、分かっているけど、ついつい「オレはこれを言いたい」が強すぎて読者にきちんと伝わる表現に意識が及ばない事はあると思います。
だからこそ、意識することを意識する必要があります。
自分の考えは正しいという信念が強ければ強いほど、読み手の感情を意識する必要があります。

誰が読むのか?
その表現で相手に伝わるのか?
きちんと関心を持ってもらえるのか?
聞き流されないか?
逆に反発されないか?
納得してもらえるのか?
何より、おもしろいと思ってもらえるのか?

もちろん、個人が趣味で書いているブログとかSNSについてはこういったことを意識することは、必須ではないとも思います。

追記
鹿児島ユナイテッドFCを取り巻く環境は良い意味で大きく変わってきました。
小林はもともと雑誌編集者であり趣味カメラマンだったことで、クラブ職員になってからもよく写真撮影をしていましたし、クラブマガジンやマッチデープログラムやチラシやポスター制作、Web更新のお手伝い、とにかくホームタウン活動以外も色々やってきました。
今も継続していることはありますが、クラブが成長するにつれて、きちんと想いと技術を持ったプロが担って下さる領域が広がってきました。
ということでカメライター小林の出番は今後も縮小していくだろうなーという節目に、文章のことと写真撮影のあれこれをまとめようと思った次第です。
金子塾では他にも「熱と骨」「親であれ」「目線の違い」「素材の力」「予見の功罪」「2行と1文」「引きを作る」などを教わったので、まずはそういったことからまとめていこうと思います。

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