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あなたの年金、わたしの年金

年金事務所に行ってきました。
昨年、60歳になったので、もう国民年金を支払う義務はありません。でも、受け取るまでには、まだすこし時間があります。

会社員歴が長かったので、けっこうしっかり払ってきた自分に驚きました。
未納だったのは学生時代の数ヶ月間だけ。法律改正前で、当時は任意加入だったんです。

リストラ後に収入が激減して、減免の申請もしていました。てっきりその分はないと思っていたのですが、半額はカウントされるそうです。知らなかった…。

短期間、大手の外資系企業に勤めていたおかげで、厚生年金基金も上乗せされています。そのため未納と減免期間の不足分は、結果的にほぼ相殺されていました。厚生年金基金は会社を辞めてから届いた書類をなくしてしまい、金額は「ちょっとだけ」だったことしか覚えていませんでした。

それと、毎年届く「ねんきん定期便」には減免期間の追納の案内があって、ずっと気になっていたのです。

「すでに半額分はカウントされているし、だったら未納の半年分だけを追納する方がわずかですが受給額が増えますよ。
でも、失業中に支払うのは大変じゃないですか? 手続きだけしておいて、2年以内に支払うこともできますが」

4月から失業中なので、その分を支払えるかどうか聞いてみたら、

「遡って支払うことはできないんですよ。お勤めして厚生年金を払うようになればできません。厚生年金に加入していないことが条件なんです」

将来的に受給額を増やすなら、お財布が大変なときに無理に追納するより、さっさとお勤めして、できるだけ長い間、厚生年金を払うほうがよさそうです。


老齢年金の受給開始年齢は、65歳ですが、1986年に法律が変わり、現在は旧厚生年金法の受給開始年齢だった60歳から、徐々に65歳へと移行している途中段階にあります。

この期間の給付を「特別支給の老齢厚生年金」といって、受給資格として以下の要件があります。

・男性は1961年4月1日以前に生まれた人、女性は1966年4月1日以前に生まれた人。
・老齢基礎年金の受給資格期間(10年)があること。
・厚生年金保険等に1年以上加入していたこと。
・60歳以上であること。

現在の年金システムは2階建てになっていて、わたしの場合は62歳から65歳までの3年間、その2階部分のみを受給できるのです。

この金額は、今後62歳までにお勤めすれば(パートでもアルバイトでも派遣社員でも、厚生年金に加入していれば)、その分、加算されます。


ちなみに働きながら年金を受給することができるかというと、できます。
ただ、現在だと月給+年金の総額が28万円を超えると、超えた分の半額が支給停止になっているのですね。
これが来年4月から月給+年金の総額が47万円に変わります。

特別支給分は3年分まとめて受け取ることもできるし、2ヶ月に1回受け取ることもできるそうです。


それでふと思い出したのが、昨年、東京・笹塚のバス停で殴られて亡くなった女性のことです。彼女は64歳でした。
それなら昭和31年うまれ。60歳から特別支給分が受給できる年齢です。

もちろん、受給するには条件があるし、厚生年金の加入期間が短ければ金額も少ないでしょう。資格はあっても、年金は自分から申請して手続きしなければ受給できません。家を失っていたそうなので、もしかしたら「おしらせ」が届かなかったとも考えられます。なにを差し置いても住民税は払っていた人だったそうなので、年金もきちんと納めていたのではないでしょうか。それを思うと悲しくなりました。

わたしはいざとなったら恥も外聞もありませんが、離れて暮らす家族に連絡が行くのを気にして生活保護を申請しない人はすくなくないそうです。でも、年金は誰にも恥じることなく受け取れるお金です。

彼女は知っていたのでしょうか。受給できていたのでしょうか。
報道番組でも記事でも生活保護に言及するものはよく見かけますが、年金にふれたものは見たことがありません。

年金って人によって違いすぎるので、取材するメディア側もそこまで考えが及ばなかったのかもしれません。わたしも自分の受給分についてわかっていませんでした。

60代、独身、非正規…多くの女性が彼女に自分を重ねたと思います。わたしもそのひとりです。いまのところ家はありますが、この先どうなるかは自分でもわかりません。


かつてのように60歳で定年を迎え、すぐに年金を受給できれば、そういう不安はすくなかったでしょう。いまは、60歳で無職になってしまうと、年金受給開始までエアポケットのような数年間を経験することになります。

見通しが甘かったことも世の中のしくみについても、嘆いてもはじまりません。応募したところに受かることを祈りつつ、アルバイトを探します。


※日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/



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